先日、大分市美術館特別展『開館20周年記念 蜷川実花展ー虚構と現実の間にー』の開会行事並びに蜷川実花さんのトークイベントに出席させていただきました。
実は大学生の頃からの蜷川さんファンである僕は、張り切って現在イチオシのシャーロック・ホームズルックで登場し、他を寄せ付けぬ存在感を発揮してきました。
その結果、ピントも寄せ付けなかったようで、蜷川さんの作品を背景に撮った記念写真はブレ気味です。
写真はブレましたが、生き方はブレずにまいりたいものです。
さて、肝心の展覧会の感想ですが、とても素晴らしいの一点張りとさせていただきます。
蜷川さんの代名詞でもある鮮やかな色彩が映し出された作品はもちろん、二次元に留まらない”空間”を体験することができる作品、自分だったら撮らないよなぁというような面白い被写体を撮影した作品など、展示されている作品は、どれも感性をくすぐられるものばかりでした。
それに加えて、トークイベントでは、蜷川さんの創作者としての哲学に触れることができ、大いに知性もくすぐられました。
僕の中では、蜷川さんは、コチョコチョが得意な人ということになりました。
ここからは、特に、トークイベントで触れることができた蜷川哲学についてお話をさせていただきます。
僕の主観溢れる解釈について語りますので、あらかじめご了承をお願いします。
僕は、蜷川さんのことを、非常に直感的な方なのかと思っていたのですが、創作哲学をお聞きし、印象が一遍しました。
誤変換によって踊り念仏を唱えているかのようになりましたが、みなさんの補完能力を信じ、このままでまいります。
蜷川さんは、今回の特別展のタイトルにもなっている『虚構と現実の間に』というイメージを作品化しているようです。
僕たちの世界は、作られたものに囲まれています。
それは、物質的なものだけでなく、文化や思想といったものを含め、あらゆるものが人工物です。
受動的に生きていれば、その世界の中で、僕たちも人工物のうちの一つと化してしまうのではないか。
虚構の中で、僕たちはどうやって現実を見出し、生きていけばいいのか?
お話を伺ってみて、蜷川さんは、そのことを作品を通して僕たちに問いかけているのだと感じました。
生きていくことと向き合いながら創作活動を続ける蜷川さんは、とても知的であり、前向きであり、そして強い方なのだと思います。
そういったことを踏まえて、今回の特別展は、とても分かりやすい『目で感じる面白さ』はもちろん、コンセプトや背景といった作品の裏側にある『頭で感じる面白さ』も堪能できるとても素晴らしいものだと感じたわけです。
僕は、ますます蜷川さんのファンになりました。
是非とも、多くの方に大分市美術館まで足を運んでいただき、蜷川哲学に触れていただきたいと思います。
余談ですが、トークイベントの最後に質疑応答の時間がありました。
そこで僕は、一番槍として、蜷川さんに『お友達になってください』という申し入れをいたしました。
会場からのクスクス笑いを追い風に、妥協点として、僕のブログを読んでもらうというお友達ファーストステップに辿り着いたのですが、千里の道も一歩からの精神から言えば着実な一歩と言えど、この一歩はアリさんの一歩が如き小さな一歩であると自己分析しています。
ということで、最後に蜷川さんへ一言・・・
お友達セカンドステップ、待ってますよ!