今回は、いわゆるコミュニティ・スクールについてお話をさせていただきます。

 

みなさんは、コミュニティ・スクールをご存知ですか?

コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会制度という制度によって、保護者やその学校が所在する地域の方々が教職員とともに学校運営をすることを指定された学校の事です。

 

この制度に、僕は大きな期待を寄せています。

というのも、2年ほど前にコミュニティ・スクールの先進地である山口県を視察させていただいて、僕はすっかりコミュニティ・スクールの信者になったんです。

山口県では、知事肝入りの取り組みとして、県内全ての小中学校でコミュニティ・スクールを導入しています。

その説明に関して、僕の平成28年12月定例会での一般質問の議事録をお目通しいただくのが分かりやすいかと思いますの、以下に記します。

 

 

○議長(永松弘基) 次に参ります。 
 1番、松木議員。 
○1番(松木大輔)(登壇)(拍手) 1番、自由民主党、松木大輔です。 
 発言通告に従いまして、一問一答方式にて、コミュニティ・スクールについて質問をさせていただきます。 
 私は、本年10月に山口県岩国市に視察に伺い、主に学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクール制度についてお話を聞かせていただきました。 
 この視察の中で、私が特に感心したのは、岩国市を初め、山口県では全小中学でコミュニティ・スクール制度を導入しているということでした。各学校では、学校と地域の方とが子供の教育についてフランクに話し合い、生徒会と地域の方が協力して実施する朝の挨拶運動や校内の花壇の管理、卒業生である高校生にも参加してもらう土曜日の学習支援、その土地の環境に特化した自然環境の保全活動や安全マップづくりなど、徐々に成果が出てきているとの説明を受けました。 
 学校の取り組みだけでなく、岩国市の教育委員会の方からは、国立青少年教育振興機構の調査によれば、地域の人とのかかわりが多い子供は協調性が高くなる傾向が見られる、小学校低学年では、友達との遊びの時間が多い児童は関心、意欲が高い傾向にある、小学4、5、6年生では、自然体験が多い児童は人間関係形成能力が高い傾向にある、中学生では、地域活動への参加が多い生徒は自尊感情が高い傾向にあるという結果がそれぞれ出ており、自然体験などのさまざまな体験、多様な人々とのかかわり、地域社会とのつながりによって協調性や社会性、人間関係形成能力、関心や意欲、自己肯定感や自己有用感といった自尊感情を育むことができるというデータに基づいた教育理論の説明も受けました。 
 そして、地域が主体的に学校運営に参画することができる仕組みである学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクール制度の導入が、都市化や情報化の進展により人間関係や地域社会の一体感が希薄化している現代社会において、子供たちの生きる力を育むために大きな効果を発揮する可能性があるのだと理路整然と説いていただきまして、すっかりコミュニティ・スクールのファンになって、私、大分市に帰ってまいりました。 
 また、当然のことかもしれませんが、自己肯定感の高い若者は将来への明るい希望を持っている割合が高いという統計も見せていただきました。ここまで、つれづれなるままにコミュニティ・スクールの魅力について語らせていただきましたが、いよいよ質問に入ってまいります。 
 まず、全国のコミュニティ・スクール制度の導入の状況についてお聞かせください。 
     〔1番議員、質問席へ移動〕 
○議長(永松弘基) 秦教育部教育監。 
○教育部教育監(秦希明)(登壇) 松木議員の教育行政に係る御質問にお答えします。 
 学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールは、平成16年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正によって導入された制度であり、学校評議員制度をさらに進め、保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画することを可能とするものであります。 
 文部科学省においては、平成29年度までに、全国公立小中学校の約10%、3,000校に導入することを目標としているところであります。 
 このようなことを受け、全国的な状況としては、コミュニティ・スクール指定校数が、平成27年4月1日時点の2,389校であったものが、平成28年4月1日時点では417校増の2,806校、設置率は全公立小中学の約9%となっているところであります。 
○議長(永松弘基) 松木議員。 
○1番(松木大輔) ありがとうございました。 
 全国で29年度までに10%を目標に、そして現状は9%というお話でしたが、続いて大分市におけるコミュニティ・スクールの取り組みについてお話を聞かせていただきたいと思います。 
 大分市が既にコミュニティ・スクールの取り組みを進めていることは、これまでのこの議会での執行部の御答弁で存じておりますが、ここからはその詳しい取り組み状況について何点か確認をさせていただきます。 
 まず、大分市におけるコミュニティ・スクール制度の導入状況についてお聞かせください。 
○議長(永松弘基) 秦教育部教育監。 
○教育部教育監(秦希明) 本市におきましては、平成26年度に竹中小学校、竹中中学校、2校を初のコミュニティ・スクールとして指定をいたしました。その後、碩田中学校など7校を加え、現在9校、設置率は約10%となっております。 
 なお、コミュニティ・スクールの試行として、現在8校が取り組んでおり、平成29年度には合計17校、設置率は約20%となる計画であります。 
○議長(永松弘基) 松木議員。 
○1番(松木大輔) ありがとうございます。 
 先ほど全国の目標が29年度10%、大分市では20%ということで、大分市が全国の導入状況と比較しても遜色なくというか、むしろすぐれてるのではないかということが確認できて、うれしい限りです。 
 また、個人的にいろいろな情報を見てみると、特に県庁所在地等でこれだけ取り組んでいる都市というのも少なくて、本当にうれしいなと思っております。ぜひ今後も着実に取り組んでいただきたいと思います。 
 そこで、今後の取り組みについて質問させていただきます。 
 私が調べたところによると、コミュニティ・スクールには幾つかのタイプがあるようですが、あるタイプの学校では、協議会で学校の運営について話し合うだけではなく、地域の子供の教育には地域も一役買って出るんだという考えのもと、地域の関係団体が協力して、学校教育への支援とともに、公民館活動や放課後の活動など子育て全般に取り組んでいるとのことでありました。これは大変すばらしいことだと思います。 
 そこで質問ですが、大分市内のコミュニティ・スクールにおいて、特色ある取り組みが実施されておりましたら、詳しくお聞かせください。 
○議長(永松弘基) 秦教育部教育監。 
○教育部教育監(秦希明) 小規模校である竹中小学校及び竹中中学校区においては、以前より地域で育てる竹中っ子を目指し、自治会会長、公民館長、体育協会会長、文化協会会長、商工会代表者等を会員とする竹中っ子を育てる会が存在しており、学校のさまざまな教育活動を支援する体制が整っております。 
 また、平成21年度から開始した小中一貫教育においても、この会を初めとする地域や保護者の方々の理解や力強い支援のもと、取り組みが推進されてまいりました。 
 平成26年度には、この会を母体として小中学校が合同となった本市初の学校運営協議会を組織したところであります。 
 本運営協議会では、学校教育目標や学校経営の基本的方針の承認など、学校運営に関する事項について協議するほか、竹中っ子を育てる会の年間活動と学校行事をリンクさせ、特色ある教育活動を展開できるよう計画するなど、学校を支援する体制づくりを進めております。 
 具体的には、自治会と連携した挨拶運動や校区クリーン活動、体育協会と連携した小中地区合同運動会、文化協会と連携した小中合同文化祭、商工会と連携した職場体験学習、地域施設の協力による福祉体験等、関係団体や地域の方々、保護者の参画を得ながら、学校、家庭、地域が連携、協働した取り組みが行われているところであります。 
 その成果といたしまして、学校から児童生徒につきましては、思いやりのある気持ちが高まっている、地域行事の参加がふえた、また、地域や保護者の方々については、学校行事への参加がふえてきた、学校へ協力したいという思いが増してきたなど報告されているところでございます。 
○議長(永松弘基) 松木議員。 
○1番(松木大輔) ありがとうございます。 
 竹中小中学校の竹中っ子を育てる会というものを、今、紹介していただきましたけれども、お話を聞く限りは本当に地域の中でも主要な団体がかかわって、そして挨拶運動、清掃、運動会、文化祭、職場体験や福祉の体験とさまざまな事業が行われているなというのが率直な感想です。 
 実際、コミュニティ・スクール制度が導入されていない学校でも、こういった取り組みをしてるところはちょこちょこあると思うんですが、やはり学校運営協議会制度を置くことによって、より地域の方々が主体的に参画していく中で、学校とともに地域がいろいろな事業をできるのかなというふうに感じました。 
 また、大分市においても、このような地域の方の熱い思いが寄せられているというのは大変うれしいことだというふうに思いました。 
 子供の健やかな成長を家庭や学校だけではなく、地域の皆さんとも協力して支えていけることは非常にすばらしいことだというふうに考えます。 
 このような取り組みを広げ、より活性化していく上で、コミュニティ・スクールと各地域の社会教育団体や公民館などとの連携、協力は、とても重要なものになってくると私は考えます。 
 コミュニティ・スクール制度の指定校は、もちろん先ほどのお話にもあったようにふえていくということになっているんですが、それとともに、今、竹中の紹介がありましたけれども、社会教育団体や公民館などの社会教育の分野からの支援体制の構築という取り組みも、ぜひとも進めていただきたいというふうに私は思うのですが、見解をお聞かせください。 
○議長(永松弘基) 秦教育部教育監。 
○教育部教育監(秦希明) 各学校においては、子供たちの学びを支える教育環境の充実を図る上から、これまでも登下校中における通学路の安全指導を初め、学校及び地域が連携して行う各種行事や放課後の学習支援等において、多くの方々に御協力をいただきながら、取り組んでまいりました。 
 本教育委員会といたしましては、今後ともコミュニティ・スクール設置校における成果と課題を検証する中、地域の実情に応じて、平成29年度には17校、約20%、平成31年度には30校、約30%を超えるよう計画的に設置してまいりたいと考えております。 
 またその際、学校が必要とする支援については、学校運営協議会において、学校と地域における社会教育関係団体や公民館などとの連携、協力を一層図り、地域が一体となって子供たちを育む、地域とともにある学校づくりを推進してまいりたいと考えております。 
○議長(永松弘基) 松木議員。 
○1番(松木大輔) ありがとうございます。 
 私は、教育委員会にいつも質問をすると、何といいますか、前向きだなと捉えていいものかどうかなという答弁をいただくことが非常に多いんですけど、今回はその中でもかなり前向きな部類に入る御答弁をいただいたような気がしております。 
 どんどんコミュニティ・スクールの指定校数をふやしていくということでありますが、あくまでもこのコミュニティ・スクール制度というのは子供たちの教育環境をよくしていくという目的のもとでつくられたものでありますので、この機能がより効果的に発揮されるように、やはり学校だけではなくて、社会教育分野もそうですけれども、さまざまな分野から支援ができるような、そういった形づくりをお願いしたいと思います。 
 また、ここまで私、教育に関することばかりを語っていましたが、地域が教育に加わっていくという面だけでなくて、私も地元の地区で地域の行事等にさまざまな形で携わらせていただいておりますけど、どうしても地域コミュニティーの側から見ると、今、子供であったり、あるいはその保護者の方の世代であったりという部分と、地域コミュニティーと隔たりが見られていると、なかなか行事等に参加していただくことが難しい、そういった現状もあります。そういったことからも、このコミュニティ・スクール制度をどんどん導入して、また活発化していくことによって、地域コミュニティーにとっても、若い世代また子供たちが地域の行事等に参加しやすい環境ができるというように、私、期待しております。 
 ですので、そういった面からも今後ますますコミュニティ・スクール制度導入、またさまざまな形での支援に対して御尽力いただきますように、お願いを申し上げまして私の1期目、4年目、最後の質問とさせていただきます。ありがとうございました。 

 

 

長い議事録にお目通しをいただき、ありがとうございます。

最後の方は、まどろっこしい発言になっているなぁと、自分でも少し恥ずかしい想いがします(笑)

 

それはさて置き、コミュニティ・スクールの可能性については感じ取っていただけたでしょうか?

 

この時の質疑では触れていませんが、視察では、山口県での実績として、公民館活動を学校体育館でも行うことによって、小中学校の児童生徒が乳幼児や高齢者との日常的なふれあいを持つことができているというものや、いわゆる防災教育として子どもたちが地域の方と一緒に地域内の調査をし防災マップの作成をするといったフィールドワークの実施、不登校児童生徒対応にも地域が協力し成果を挙げていることなどについても説明を受けました。

その他、学校が主催者となって地域の避難訓練を実施したという校区もあり、地域主催の避難訓練では参加率が低い小中学生の保護者を巻き込んだ訓練が実施できたこと、そのような取り組みの中で、保護者世代と地域コミュニティの繋がりが増していったというお話も聞かせていただきました。

 

また、山口県外の話として、東日本大震災の分析の中で、学校と地域の連携が密な所では、避難所運営がスムーズに行われたというデータがあり、これは、日頃からのコミュニケーションによって、災害発生時に教職員と地域コミュニティとの役割分担が行われやすかったのだろうというお話もありました。

 

 

以上のように、コミュニティ・スクールの導入によって、多くの効果が生まれているわけですが、勘違いしてはいけないことは、制度を導入しただけで効果が得られるわけではないということです。

関係者の努力によってこそ、より大きな効果が得られるという仕組みなのです。

 

大分市では、人口規模の近い都市と比較してコミュニティ・スクールの指定率が高いです。

ですが、そこで止まるのではなく、どのような運営が実施されているのかというところに主眼を置いて、僕は、これからもこのテーマについて調査研究を続けていこうと思います。

 

 

子どもは社会の宝であり、未来そのものであり、大きな希望です。

そして、その子どもたちの輝く姿は、僕たち大人に活力をくれます。

だから、子どもが輝くことで、僕たちも充実できるんだと思います。

 

子どもの頃、僕も沢山の大人から大切にしてもらいました。

そのことに心よりの感謝を申し上げるとともに、その大きな恩を、子どもたちに還元していくことを宣言し、今回の記事の結びといたします。

 

 

最後に一言・・・大分に元気とまつき!!