美しくも悲しい物語です。
 
 
【ブログ内お写真撮影  栗栖 真乃祐さん  / 旭 健太さん】   
 
 
近松門左衛門原作「冥途の飛脚」より梅川
 
 愛し合った二人がこの世で添い遂げることが出来ない破滅に堕ちてゆく悲しい物語です。
飛脚問屋の忠兵衛が遊女の梅川と恋仲になり、 お客からの預かり金を梅川の身請けに使ってしまい追われる身となります。
 

 
 
 
 プロジェクタのデータから幕に雪山の景色を映し出しています。
映像の雪に加えて、紙雪も5つの雪カゴで舞台上のバトンから降らせています。
 
 台詞の後、幕を開け、暗転の中ござで身を隠した梅川と忠兵衛にピンスポットを2本当て、見つめ合う梅川と忠兵衛から踊りが始まる演出です。
 
 
 
 
 
「♪あなたに逢えてこそ女に還れました。」
 遊女は自由な恋愛など許されません。身請けをしてもらえるまではお金で買われた商売道具です。
 
 
 
 
梅川の純粋な想いを忠兵衛は背中で聞いています。
 
 
「♪闇におびえる 峠越え」
先がないことを分かっていながら、「生きられるだけ一緒に生きたい。」祈る想いの峠越えです。
 
 
 
【左 ゲスト 百々香さん】
【右 松風流二代目家元 松風秀紀】
 
 
「♪罪の深さを大和路に 詫びて死にたいこの命」
 
 
 
 
 
 自分の為に身を滅ぼすことになってしまった忠兵衛の故郷、大和路の親を想って詫びています。
 
 踊りは歌と異なり、言葉を用いてダイレクトに伝えることが出来ない為、振りには深い意味が込められています。
どこまで心を投じてまたお客様が観て分かる様に踊るか、しかも「美しく」と言う事が重要です。
 
 また今現在には無くなってしまった当時の風習や生活様式や文化を表す振りもたくさん出て来ます。
終盤に小指を切る振り付けも入っています。
昔、遊女は「あなただけです」と言う意味から、自分の小指を切り落とし想い人に送ったと言う話もあります。
また「想い人」と思わせる為に、他の人の小指を送ったと言う話もあります。
芸歴の長い舞踊家でも知らないことがある程、知識が無ければ意味や良さや面白さが全く分からない為、日舞や歌舞伎を観るのは高い教養が必要と言われる所以の一つであり奥深い芸です。
 
 
 
 
 
 冷たい雪かと思ったものは愛しい人の紅い血であることに気が付いて幕となります。
胸えぐられる様な悲しい物語です。
 
 
 原作は「梅川忠兵衛」を題材とした浄瑠璃です。  
日本舞踊では「新口村」
歌舞伎では「恋飛脚大和往来」
また宝塚歌劇でも演じられている有名な演目です。
 
 今回は、島津亜矢さんの名曲、「梅川」より家元の振付です。
 
 当初、百々香さんにゲストコーナーで歌を歌っていただく予定でした。
大変苦しい決断でしたが、コロナの為、万全を期して百々香さんの歌のコーナーは無しにさせていただきました。
 
 門下生として踊りは一曲踊っていただくものの、歌手でいらっしゃるのに歌を一曲も歌えないなんて。。
百々香さんにそれをお伝えするのはそれは心苦しかったです。
百々香さんの一番御馴染みの「梅川」の生歌をバックに秀紀先生と枝舞妃で踊らせていただく予定にしていましたが、
「生歌をご披露いただけないのであれば、百々香さんの録音の「梅川」で百々香さんと秀紀先生が踊っては!!」
と言うアイデアを直近でひらめきました。
観に来て下さるファンの方に何とか申し訳立たないかと苦慮し、短い期間でのお稽古期間になることを承知の上でお稽古を始めることになりました。
 
 歌手としてはプロでいらしても、日本舞踊では今回が初舞台でいらっしゃる上に本当に直近でのお稽古開始となり大変なプレッシャーでいらしたと思います。途中、精神的につぶれてしまわれないかと心配になりましたがさすがプロでいらっしゃいます!
お歌同様に、梅川を美しく踊り演じ切って下さいました!
 
 踊り終わって舞台袖に降りられた瞬間は何と涙を流されていらしたのですよ。
 
「役に入る」こと、「舞台で最高の輝きを放つ」こと、
ジャンルが違っても、舞台に立つプロは、「舞台上で命尽きても悔いはない」と言う程の完全燃焼をされます。
会場全員の気を足しても勝る程のすごいエネルギーを発していらっしゃいます。
 
 百々香さんの日舞の初舞台を楽しみにしていらしたけれどもお越しになれなかったたくさんのファンのお方、本当に申し訳ございませんでした!!!
 
 百々香さん、初舞台を美しく、そして立派につとめあげられました。
お歌とは全く違う百々香さんの魅力いっぱいの感動の舞台でございました。
 
 コロナが落ち着きまして、またの「はなぶさの会」にはぜひ!ピンクの内輪を持って!
百々香さんを応援しにいらしていただければ幸いです。
 
こちら百々香さんの活動ブログです。
よろしければのぞいてみて下さいませ(^-^)
 
 

明日以降も、はなぶさの会のブログをご紹介して参りたいと存じます。

 
 
 

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