前回のブログからだいぶ日数が空いてしまいました。

今回は、当院心理士の田中より、「心理検査とはどんなものか?」についてご紹介したいと思います。

それでは以下どうぞ。

 

・・・・・・・・・・

 

今回は、当院でも希望される方の多い心理検査について、お話していきたいと思います。

 

心理検査、と聞いてどのようなものをイメージされるでしょうか?占い?自分の気持ちがわかるもの?賢さを測るもの?障害があるかどうか、診断するためのものと思われている方も多いのではないかと思います。

 

今、巷には心理テスト、と呼ばれるものがたくさんあります。ネットやSNS、雑誌でもよく見るいくつかの質問に答えて“Aを選んだあなたは…”と言い当ててくれるものもあれば、特定の病気や性格タイプを基準にチェックリストのようなものに答えて、性格やあてはまる度合い、そこから向いている職業などまで分析してくれるものまで様々です。私もこういった心理テストが好きで、心理士という職業に就いた今でも時々気になるものがあればやってしまい、一喜一憂しています。

 

それでは、このような一般的な“心理テスト”と心理士などによる専門的な“心理検査”はどのような違いがあるのでしょうか。

 

まず、根拠の違いです。巷でよく見る“心理テスト”にも根拠はありますが、その多くはテストを作った方独自の基準や直感によって作られているので、とても主観的なものです。テストを受けた人やその日の気分によって“当たってる!”と納得できることもあれば、なんとなく合わない、ピンと来ないこともあるかもしれません。“心理テスト”なるものを信じる・信じないといった趣向もあるでしょう。一方、心理士などによる“心理検査”は特定のものを測ることを目的に、質問や判定の基準が決められています。古くから行われているものも多く、研究や改良を多くの人が重ねながら作ってきたため、完全ではないですが客観的な裏付けがあるものです。客観的に見て、ある基準と照らし合わせたときにその人がどのような状態にあるのかを分析することを目的としています。

 

それでは、診断と違いがないのでは?という声が聞こえてきそうです。ですが、心理検査=診断、ではありません。心理検査を行うとき、その多くは心理士と、検査を受けられる方が対面して行います。検査の種類などにもよりますが、短い方でも30分程度、長い方だと2時間を超える時間がかかります。その間、検査を通して2人でたくさんやりとりをします。前回のカウンセリングについてのブログでも触れられていたように、検査でも言葉による表現だけでなく、言葉によらない部分、表情やしぐさ、取り組みの様子であったり、検査の課題自体が描画など言葉を使わないものであることもあり、いろんなところから検査を受けられる方の人となりを読み取ることを大事にしています。このように、様々な角度から検査を受けられた方がどのような人なのかを知り、困っていることの背景に何があるのか、どのように対処していけばよいかを考える手がかりになるのが心理検査です。

 

心理検査を受けていただいた後、当院では検査結果を心理士から直接お伝えするのと同時に、医師による診察も受けていただいています。検査結果は文書でお渡しするのですが、表現のニュアンス、検査時のご様子、文書には書ききれなかったこともあわせて一緒に共有していきながらお伝えするために直接お話する形を取っています。心理検査を受けてからがその方らしい生き方を模索するスタートになることも少なくありません。医師や心理士もそうですが、何よりご自身と周りの方に“どのような人なのか”“なぜ、どのようなことに困っているのか”を知ってもらうことが大きな助けになります。とはいえ検査を受けること自体も負荷がかかりますし、検査結果に向き合うことを辛く感じる場合もあり、どうぞお気軽に、とは言いにくいですが、“自分を知りたい”“なぜこんなことになっているんだろう”と思われたタイミングで、心理検査もご検討いただけると幸いです。

 

と、さも大人の方向けのように書いてしまいましたが、自分のことで悩んでいる中高生のみなさん、学生さん、お子さんとの関わり方を考えたい保護者の方々の手がかりにもなるかと思います。困ったときに心理検査という方法があること、覚えておいてもらえると嬉しいです。

 

・・・・・・・・・・

いかがでしたか?

心理検査に対するイメージが少しでも湧いたでしょうか。

 

田中も言及しているように、心理検査だけで発達障害(を含めた様々な病名・障害名)の診断はできません。が、診断の大きな参考になりますし、今後の方向性や困りごとの解決の手がかりになる情報が得られることが多く、診療の中で重要な位置付けにあるのです。

この件については、どこかのブログで別角度からも触れてみたいなあと思います。