1億7500万円もの


大金の借金を


別れた夫からもらい受けた離婚




その上に、女手ひとつで


幼い息子を


育てあげないとならない母子家庭




そんな厳しい状況のなか


新たな講演業界にも


足を踏み入れて


我が身に


ムチを打ち続けて働いていました





そんなある日のことでした



保育園ママ友達と


話していた時のことでした




なんだか…


話しづらくなってきたんです




すると、お友達が


「松居さん、顔がなんだか変よ…亅と


教えてくださったので…



慌てて鏡を見たその時



自分の顔に驚愕をしました




鏡に映る自分の顔半分が


曲がってきているのです



それも,刻一刻と


だんだん酷くなってきました



側にいた4歳の息子は


「ママの顔がお化けになってきた〜亅と


泣き叫ぶくらいに


顔に異変が生じてきたのです




その異変は顔だけには収まらず


舌にも麻痺が入ってきました



みるみる


話せなくなってきたのです



顔がどうなるのか…


何科を受診したらいいのかわからず




息子を抱えて…


狼狽えるばかりでした




友達の耳鼻科の女医さんに連絡をしたら


耳鼻科が適切な科で


あることを教えてもらい



彼女が勤務する


文京区にある順天堂病院へ


隆一を連れて駆け込みました





この時は


すでに話すことができなくなっていました



タクシーの運転手さんには


筆談で行き先を伝えるような状況でした





順天堂で友人の女医に


診察をしてもらったところ

  


ここまで酷い顔面麻痺を見たことがないと


言われてしまうくらいに


顔は曲がってきていました




もう、その時には


ほとんど言葉を


口から発することが


出来なくなっていました





滋賀県の両親へ何度も


電話を入れていましたが



悪戯電話だと思われて切られてしまう始末



仕方なく、


友人に電話をしてもらい


やっと,両親に


緊急事態を伝えられました




両親は着の身着のままで


滋賀県から順天堂大学病院まで


駆けつけてくれました




松はそのまま


入院をすることになってしまったので


4歳の息子を


両親に頼むしか道はなかったからです




両親と対面をした際に



お化けのような顔になった


娘の私の顔をみた母は


泣き崩れてしまいました



「こんな顔になって…

 隆一を抱えてどうして生きていくの…亅と


病室の床に


座り混んでしまいました



泣きたいのは


母以上に松自身でした




しかし、無情にも


麻痺が起きた顔からは


涙も流れませんでした




瞬きでさえ


出来なくなっていたのです






幼い息子は


おじいちゃんとおばあちゃんに


手を引かれて…


病院から


駅の方へ歩いていきました




見えなくなるまで…


お互いに手を振り続けました





お気に入りのワンコの靴をはいた


息子のその時の姿は




30年ほどの月日が流れましたが


今も決して


忘れることはできません




脳裏に焼き付いた


息子とのはじめての別れでした