おとうちゃんの話になりますが…






とにかく身軽な人で…




あんなにフットワークの軽い人は


見たことがないくらいの


身のさばきでした





忍者みたいに…


ピョンピョンしていましたからね





時は


私が中学生ぐらいの時のお話です




目のご不自由な


かなりの高齢のお婆さんが


白い杖をついて


ウチの前の道を…




晴れていても長靴で


よく歩いていらっしゃいました




かなり道の真ん中を


歩かれていたので…



近所のみなさんが…


危ないと噂をしていたんですよ





そんな、ある日の朝でした




おとうちゃんが車を出しているので



「どこへ行くんやぁ…亅と聞いたら


「オバハンを乗せたるねぇ亅と言って…



父は慌てて外へ出たんですよ



なにごとだと思って…



私も外へ出てみたら…



なんと、その!


目のご不自由なお婆さんを


車に乗せていたんです




私はまだ子供だったのですが…



「なかなか…ええ奴やなぁ…亅と


思いながら…


父を眺めていたことを


今でも覚えています




それは一回ではありませんでした



父はそのお婆さんと出会う度に


いつも送って差し上げていました




父の話によると…


そのお婆さんは


マッサージ屋さんで




街まで仕事に


行かれていたそうですよ…👂