プログラム〜〜〜

イベール モーツァルトへのオマージュ

サン=サーンス バイオリン協奏曲第三番

モーツァルト 交響曲第四十一番「ジュピター」

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神奈川フィル。

神奈川県立音楽堂でのフレッシュコンサートと題して、神奈川出身のソリストと指揮者での公演。新年早々真剣勝負のプログラム。

客入りは結構埋まってるくらい。



↑コレのやつ。演奏動画事前に上げられると行く予定じゃなくても行きたくなるし、いいね。


イベールの曲は初めて聞いたけれど、モーツァルトのエッセンスを現代らしく詰め詰めにしてダイナミックにしたらこうなる、という感じの曲。フレーズを引用してこねるわけでもない。爽やかに聞けた。


協奏曲はソリストが慣れきっているし、あとはどう聞かせるか、という感じのレベルでスタート。オケのバランス感は文句なし。ソリストを超えないし、不足感もない。ジュピター同様コーダの多い曲だったから、なんとなくテーマに沿っているのか?(考えすぎか)


メインのジュピターは、どちらかといえば快活に、モーツァルトらしく明暗パッパと切り替えて演奏されていた。繰り返しで表情を変えているのがわかりやすい。筋肉質な感じで押し切るわけでなく、割と滑らかな部分が際立っていたと思う。


指揮者の坂入健司郎さんは、ジュピターが十八番らしい。けれども、終始少し緊張してる?ようにも見えた気がする。席の問題で背中ばかりずっとみていたからなのかもしれないけれど、戦ってるみたいな緊張感がずっとある佇まいに感じた。いつものスタイルなのか、今回への思い入れなのか。


神奈川フィルは首席陣がいつもの定期と異なっていても安定の弦のサウンド。こういうイレギュラーな時に、神奈川フィルはネクタイとかをみて楽団員さんかを見ればいいから、すぐにわかっていいね。コンマスは調べたら千葉清加さん。日本フィルの方らしい。

音楽堂での木管の響きがいいのを発見できたのも良かった。確かにココで木管アンサンブルなら聴きたいな…


編成は10型(コンチェルトでちょっとバイオリンの人数を変えたりはあったかも…覚えていない。)。音楽堂としては適切サイズだと思う。

やることもないのでOperaVisionをYoutubeで見ている。第九もマンネリ化してきたようなお正月にどうでしょうか。

OperaVision | Your favorite shows live and on-demand

公開期間が決められていて、さまざまな国のオペラやバレエ公演を無料で共有する,EU圏発信のチャンネル。

 

日本語字幕がついているものは、おそらくソフト化のタイミングと重なっているから準備できるといった類の事情で付けられていて、そのため大半は付いていない。あとは、新国立劇場の公演は流石に付いている。

英語字幕はついていたりするし、有名な作品ならオペラ対訳プロジェクトを見ればあるものはあるので、それを見れば見れる。対訳ができていなくても、著作権的に問題ないものであったら、元の台本をDeepLに貼り付けて翻訳してもらえばいい。

 

最近見たのは、

・リムスキー=コルサコフ「Christmas Eve」

・グルック「オルフェオとエウリディーチェ」

・モンテヴェルディ「オルフェオ」(英語字幕)

である。

 

 

 

 

(リンクを貼っても何か月後かにはすべて非公開になるが...)

 

あと,来年2月に行われるトゥーランドットも日本語字幕が無いが見られる。参考にどうぞ。

 

リムスキー=コルサコフのオペラは、音楽的に楽しいし、一度見れば何故残る作品になっていかなかったのかがわかる。

まず空中浮遊しながらの歌唱を箇所箇所求められる時点で見どころである(これ、初演の時どうしていたんだろう…⁉︎ト書きからして飛ばざるを得ない。)。

ヒロインが「自分の美しさに最高の自信がある」女性で、自分がいかに美しいか歌うシーンが1幕にあるのだが、演技含め最高である。あとは2幕の合唱+ソリスト5人程度の重奏もすごく快感がある譜面で、聞き応えがある。

2幕に少し色っぽいシーンもあるけれどギャグ程度に扱うくらいで、そういうのが過度に気になる人でなければ大丈夫だと思う。

それでも、ストーリーの運びは面白い筋書きを作る気があまり見られないし、印象的にはならない。Wikipediaによるとチャイコフスキーも同じ題材で書いているから、何らか魅力があるのだろうけども。メルヘンなところだろうか、それとも民族的な違いでわからない共感とかだろうか、この演出と自分の間では合意できなかった物事があるのだろうか。

 

2人の作曲家による「オルフェオ」も、二つ原題が同じオペラを見ることは少ないから、面白い。

モンテヴェルディの方が、ノリがロックを感じる箇所があるので、こちらの方が音楽的には入門的かもしれない。でもグルックにあるカウンターテナーの活かされた俊逸な音楽も触れるべきだと思う。

 

モンテヴェルディの方は、序盤は映画「ミッドサマー」の予告みたいなビジュアル。古楽器隊もステージに上がっており、ある意味ではセミステージ方式。

合唱がとにかく上手い。録音の状況もすこぶる良いと感じるので、心行くまで古楽器を堪能できる。きちんと劇的に演出された音楽として見せられている演奏が素晴らしいし、これをオペラ最初期に書いているんだからすごいものである。どこまでが即興?と思うくらい今っぽい。

英語は,慣れれば何が起こっているかは読める程度だと思う。宗教歌のような場面は少し諦めた。

 

グルックの方は歌手とダンスが見ものである。公演時から好評であったけれども見には行けず、映像で見てみるとすごいことになっていた。勅使河原三郎が総合的に監督したプロダクションだけれども、ぜひ今後も再演されるようなプロダクションになるよう努めてほしいと願う。

録音の音質やカメラワークについては他の物よりシンプルに悪い。そこだけがとにかく、勿体ない。

曲目~~~

バッハ 神のひとり子なる主キリスト BWV601

バッハ トッカータとフーガ ニ短調 BWV565

ベートーヴェン 交響曲第9番 Op125

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読響の第九の演奏会.

今年は全7公演で,鈴木優人と東京横浜大阪をぐるぐるという具合の読売日本交響楽団.

初っ端はいつもの池袋・東京芸術劇場から.

 

第九と言えば本編も大事だけども,付け合わせを何にするか...

今回は,鈴木優人の演奏するオルガンが各公演曲違い.バッハを二曲.

芸劇でバッハなので,茶色いバロック調性の方のオルガンで演奏.

(オルガンがひっくり返る動画いつ見ても面白いので見てほしい)

 

 

他のホールだったらふーんという感じなのだが,芸劇だと話は違ってくる.

オルガンを使うとなったら,反響版を下ろさないようにするしかないのだ.

私が見た中だと,N響も読響も基本使わないならば反響版を下ろして公演する.

そうすれば,たとえ3階でも音量・音圧が稼げる,1階でも管楽器に助けができる...と思う.

しかし,今回は下せない.なので,響きとしてはよく思う”まん中がなんか抜けすぎる感じ”になると思っていた.

 

けれども,今回はそんな具合ではなかった.聞いたのは三階からだったけれども,引き締まったアンサンブルとバランス感,表現したいダイナミズムはきちんと伝わってくる.ただちょっとマスター音量としてはやはり小さく聞こえてきてしまう席だった.もっと位置をこだわっていきたい...それでもオルガンを伸ばした時のびりびり,合唱のびりびりはきちんと伝わる.一つのラインとして具体的に見えてきたりする場面もあるティンパニが面白かった.まだまだ第九については不勉強だけれど,こういうふうにもなるんだ.

 

やっぱり鈴木優人で外れることは無いなと思わせてくれる,シンプルなアンサンブルの安定感と,明瞭な方針.

 

また,ネットを見た感じ独特と思った人が多かったのが,歌手の入場方法である.

4楽章前に合唱・ソリストが一気に入るのではなく,出番に間に合うように曲中にバラバラに入ってくる(ついでにピッコロ,打楽器も.)(ならトロンボーンも2楽章の出番からでよくないですか!?)

それも相まって最初のバスソリストの始まりは本当にかっこよかった.タイミングがスパッとあっていて,すらっと歌い始めて,超然としていて...ぜひ12/29の読響プレミアで見てほしいし,映してほしい.

 

弦は12-12-10-8-6,だったと思う...確証がない.14型かと思ったら1stが2本無かったと思うけれど...

配置は対向。トランペット・トロンボーンを上手にがっつり置くタイプ。合唱が来るから、ティンパニと打楽器も上手側に寄っていた。