こんにちは。渋谷経営塾講師の松田太一です。
今日も受講生からのご質問にお答えします。

Q「なぜ財務分析は難しいと感じるのでしょう?経営で大事なことって、儲けることでしょう?なのになぜ財務分析ではROEなど小難しい指標を用いるのですか?」

A.その通り。経営で儲けることは大事ですよね。
その視点は正しいので、儲けに「立場と目的」とを付け加えてみると理解しやすくなります。

財務分析の講師をしていて感じるのは、財務分析が小難しく感じられる原因は、立場や目的を明確にしていないことにある、ということです。

財務分析は、見る立場やその目的によって、見るべきところも評価も全く異なりますよね。

しかし多くの書籍や講座では、誰の立場から評価したらそうなるのかという点をあまり明確にしていない。そんなの当たり前でしょ、ということなんでしょうか。だから混乱してしまう。


例えば経産省がまとめた通称「伊藤レポート」では、経営者は株主の立場から見た持続的な企業価値経営を目指し、その立場と考え方に基づいてROEを中核にすべき、と主張しています。

ところが信用格付け大手のムーディーズスタンダード&プアーズの考え方をみると、いずれもROEは全く重視されていません。

例えばある企業は過去5年で徐々にROEを下げていますが、信用格付は上がっています。

同じ財務分析のプロが見るのに、なぜこんなに意見が違うのか。これでは学習者にとってみると、難しいと感じて当たり前でしょう。

伊藤レポートと信用格付会社の主張の違いは、立場の違いです。

伊藤レポートは株主の立場、信用格付けでは銀行の立場から見ているからです。

株主は自分の持ち分である株主資本に対する利益率を見たくなるし、銀行は自分の貸したお金がきちんと返って来るかを見たいのでどのくらいキャッシュを生んでいるかとどのくらい借金しているかを見たくなる。

だから伊藤レポートではROEを、信用格付けではキャッシュフローとレバレッジとを重視する、という流れです。

財務分析に迷ったら、「株主・銀行・経営者」のどの立場から、どういう目的で分析をしようとしているのかをもう一度明確にしてみて下さい。
きっと糸口が見つかります。