教育は気の長い仕事。


と教えてくださったのは名工大のE先生。

長い目で見れば、いつの時代にも重要なことだと思います。

インテリアの愉しさ、重要性、可能性、伝えていきたいと思います。


5/10号インテリアビジネスニュースに掲載されました。

業界の皆様に大学での取り組みを知っていただけるのは本当にうれしい。

インテリアビジネスニュースの善明社長、ありがとうございます!

 



(全文ご紹介)くらしスタイリスト
「エイジング・インテリア」テーマに
学生にインテリアのチカラを伝える


愛知淑徳大学
創造表現学部創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻
松本佳津氏(マツドットコムアイエヌジー)

日本にインテリア文化を根付かせるためには、インテリア教育の普及は欠くことのできないテーマである。早いうちにインテリアの魅力を伝えていくことで、インテリアビジネスに従事する優秀な人材を確保することができるし、また感度の高いユーザーを生み出すこともできる。
 こうしたインテリア教育の重要性に着目し、2015年4月から愛知淑徳大学・創造表現学部創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻の教授として教鞭をとっているのが松本佳津氏(㈱マツドットコムアイエヌジー)である。
 「建築を勉強していて、インテリアに興味がある学生であっても、インテリアのイメージというのはモノを飾って楽しむくらいのイメージしかないのが実態です。教育の場を通して、インテリア本来のチカラ、デザインの愉しさを伝えていきたいと思っています」と語る松本佳津氏。
 松本氏はこれまで、インテリアコーディネーター、かつ窓装飾プランナーとして多忙に現場をこなしながら、セミナーや講演会、私塾「ガールズリノベ塾」の運営といった啓蒙活動に取り組むなど、地元ではインテリアコーディネーターのリーダー的存在として活躍してきた。そうした活動を通じて、常にインテリア教育の重要性を感じていたとのことで、その活動の延長上として教育分野に携わることになったわけだ。
 さて、松本氏は昨年1年間、愛知淑徳大学にてインテリアを専門とした「松本ゼミ」を開講、3年生(現4年生)12名を受け持ってきた。ゼミの研究テーマとしたのは「超高齢社会のインテリアのあり方~エイジング・インテリア」。周知の通り、日本は超高齢社会に突入し、少子高齢化、人口減といった大きな問題を抱えている。また在宅介護が主流となると予測される。そうした問題に対して、ゼミでは「インテリア」を切り口にインテリアでできることを追求、考察してきたという。
 「学生たちには、高齢者が自立しながら、生き生きと生活するために必要なこととは何か、介護が必要な高齢者だけでなく介護者も過ごしやすい空間とは何か、といった課題を提示して、今後のインテリアの役割や在り方を研究してもらいました。インテリアの持つチカラがもっとも理解できる象徴的なテーマだと考えています。学生らしい自由な発想で、さまざまな切り口が提案されて、私自身も勉強になりましたね」
 例えば、高齢者が住みやすい環境づくりとしてカラーに注目し、見間違えやすい色を調査しながら最適なカラーコーディネートの在り方を模索する。または照明計画について、住空間内での事故を防止するための照明位置の研究や、心地良い光の種類、シーンによる照明の使い分けを考察する。さらには多世代家族に対するインテリア提案、リタイア後のリフォーム提案、あるいは子供の成長や街づくりとインテリアの関連性までを捉えた研究など、その内容はまさに多種多様である。
 さる2月19日(金)には、学校関係者をはじめ、一般向けに公開ゼミを実施、1年間の研究結果をゼミ生1人ひとりが発表、あわせて成果をまとめた冊子も製作した。
 「学生たちは、まさにこれから超高齢社会の中で生きていくわけですが、現時点では高齢者の苦労や介護現場のことを実感できていないのが実情です。こういう社会になることの大変さ、そこにインテリアのチカラを活用することの重要性を理解してもらえればいいですね」
 また、こうした松本氏の活動にインテリア産業協会も「インテリア関係の調査・研究活動テーマへの助成事業」として支援、研究費用の一部を助成した(今年度も申請中)。
 4月からスタートした新年度では、4年生は引き続き「エイジング・インテリア」を研究、また新たに3年生8名がゼミ生に加わった。さらに昨年から後期に「インテリア設計」という授業も受け持ち、インテリアの基本からインテリアビジネスまで、現代のインテリアについて多角的な視点で実務を交え講義を行っている。
 「学生たちと接するようになって、『伝える』ことの大切さを痛感しています。『教える』のではなく『伝える』。各人が持っているものを引き出すイメージですね。一般ユーザーに対する啓蒙活動も、こうした視点が大切だと思います」と松本氏。現在は4年生の就職活動の真っ只中で、「教授として、またインテリア業界の先輩として少しでも参考になるようなことをアドバイスできればと思っています」とのことであった。