最近読んでよかった本を簡単に紹介します。
なお、紹介の順番は五十音順にしています。
私のブログでは月2回本の紹介をしています。
何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。
「桜のような僕の恋人」宇山佳佑
「朝倉晴人」は何気なく入った美容室で、美容師の「有明美咲」に恋をした。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指す。そんな晴人に美咲も惹かれ、24歳の二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる早老症「ファストフォワード症候群」を発症していたのだ。急速に衰える体力と老いていく姿。その姿を晴人にだけは見せたくないと、美咲は別れを決意する。幸せな前半と悲しい後半。ストーリーは見え見えで分かっているはずのに、後半は涙が止まりません。桜のように儚く美しい感動の恋の物語。おすすめです。2022年にNetflixで映画化されました。
「殺戮ガール」七尾与史
10年前、遠足で女子高生30人を乗せたバスが失踪した。この怪事件により姪を失った刑事「奈良橋」は独自に調査を続け、管轄内で起きた「作家宅放火殺人事件」をきっかけに、バス失踪の真相に迫っていく。「殺戮ガール」は、顔を変え、姿を変え、殺人を何とも思わず行い、とてもヒトとは思えない。確かにとんでもない悪女なのだが、お笑い芸人を目指す設定や、言葉の掛け合いなど、七尾与史らしいユーモアが多く、実際の凄惨さとは裏腹に軽めな感じに仕上がっています。
「たとえば、君という裏切り」佐藤青南
病に冒されたベストセラー作家に最期のインタビューをするライター、アルバイト先の常連の女子大生に恋をする大学生、公園で出会ったお姉さんから遠い国のお話を聞くのを楽しみにしている少女。最終話では3話分の登場人物、時代、出来事を再構築することで真実が生まれる。全く違う話が一つにつながり、驚愕の最終話へ。この叙述トリックは、乾くるみ的なものを感じます。素晴らしい作品です。
「ダブルアップ」ハセベバクシンオー
「ダブルアップ」とは、伏せられたカードの数字が7より大きいか、小さいかを当てるテレビポーカーのゲーム。当たればポーカーで獲得した点数が倍になり、外れれば0になるというハイリスク・ハイリターンの勝負。人生の勝負どころを「ダブルアップ」に重ねたのが本書。歌舞伎町で非合法のゲーム喫茶を経営する元シャブ中毒かつ元銀行員の「早瀬」は、3年前の歌舞伎町ビル火災で彼女を亡くした。早瀬は、幼なじみの警官「小林」が持ち込んだ1キロのシャブによって、ビル火災の謎と疑惑を知ることになる。やがて早瀬が辿り着く絶望的な真実。第2回このミステリーがすごい!大賞優秀賞受賞作家が描くノワール小説です。
「向日葵ちゃん追跡する」友井羊
元ストーカーで、現在はストーカー対策を担当する防犯アドバイザー「原向日葵(はらひまわり)」は、「おさらぎセキュリティ」で働く19歳の少女。自らの経験を活かして仕事に取り組んでいた。そんなある日、向日葵の顧客「粟田優子」が殺される。殺人現場から逃げた元恋人で過去のストーカー相手だった「佐藤晴馬」の姿を、向日葵は目撃してしまう。晴馬は美大を出たばかりの新進気鋭の日本画家。晴馬の無実を証明するため、向日葵は調査を始める。接近禁止を言い渡された元恋人の調査に難航するが、持ち前の話術で真実に近づいていく。




