本論文は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と肥満を有する女性における減量による排卵回復効果について検討したものです。
Hum Reprod 2026; 41: 809(英国)doi: 10.1093/humrep/deag037
要約:2020〜2023年にPCOS、BMI 35以上、希発月経または無月経の女性75名を対象に、減量処置を実施し(内科的治療39名、腹腔鏡下スリーブ状胃切除36名)、減量と排卵回復がどの程度見られてかについて52週間前方視的に検討しました(BAMBINIランダム化試験のpost hoc解析)。なお、排卵回復は追跡期間内にP4値5.0 ng/mL以上が3〜5週間隔で2回連続みられたものと定義しました。総体重減少率、各種ホルモン値、排卵回復についてロジスティック回帰で解析しました。
1 排卵回復率50.8%:体重減少なしで19%、体重減少ありで50%以上
(0〜5%減量で57%、5〜10%減量で50%、10〜15%減量で100%、15〜20%減量で50%、20%以上減量で58%)
2 体重減少1%につき排卵回復オッズが5.6%増加
3 高AMH(OR 0.963、P=0.004)と高総テストステロン(OR 0.324、P=0.008)は、排卵回復の低下と有意な関連を認め、ベースラインのBMIや体重との関連は認めない
4 体重減少増加、SHBG増加、遊離アンドロゲン指数低下が排卵回復と有意に関連
5 手術治療群では内科的治療群と比べ、排卵回復のオッズが高く(OR 5.85)、黄体期のLH、総テストステロン、アンドロステンジオン、空腹時インスリンが有意に低値
解説:PCOSは生殖年齢女性の11〜13%に認められる無排卵の最大の原因です。また、肥満はPCOSのインスリン抵抗性、高アンドロゲン血症性無排卵をさらに悪化させます。5〜10%程度の減量でも排卵機能が改善することは知られていましたが、より大幅な減量が排卵回復にどう影響するかは不明でした。本論文は、BAMBINIランダム化比較試験のpost hoc解析として、PCSOと高度肥満(BMI≥35)を有する女性における減量と排卵回復の関連を詳細に検討したものであり、いかなる程度の減量も排卵回復に有益であることを示しています。ただし、症例数が少ないため、今後の大規模な前方視的研究が待たれます。