デフレからの脱却ができない環境での増税は絶対に許されない。

 

 

 

明日の党代表選を前に、私の現在の日本経済に対する考え方をまとめておきたい。

私にとって何よりも譲れない一線は、デフレ経済下での、異常な内需の落ち込みと人件費の下落を改善せずに、安直に増税を行うことは許されないということである。

 

 

 

1、デフレの要因

 

デフレが克服されない中での増税は、税収を増やすどころかさらなるデフレを促す。

そのような政策が、中長期的には、むしろ国家の歳入を減少させることになるのは、これまでの経験上明らかである。

 

あまりにも当たり前のことだが、デフレは物価が下がる、すなわち貨幣の価値が上昇するということである。

すなわちデフレは消費者に対し、できるだけ消費を回避し貨幣を持ち続けることこそが、最善の経済選択であることを示唆する。

 

わが国においてはこうしたデフレマインドこそが、まさにデフレスパイラルを引き起こしている主要因だろう。

こうした事実を考えると、デフレを克服しなければ、国家の経済と景気は良くならないことは自明の理であると考える。

 

一方、経済のボーダレス化がデフレを正せない最大の理由という人がいるが、必ずしもそうとは言えない。ヨーロッパの諸国は日本よりもボーダレスだが、こうした国々が日本のような深刻なデフレに陥っていないことをどのように理解すればよいのだろうか。

 

 

2、異常に安価な人件費の是正

 

先日、クロネコヤマトが宅配料金を引き上げ、人件費への配分を増やしたことは評価すべきだろう。

なぜなら、行き過ぎた運賃の「安さ」は、多くの運送業者にとって、むしろ人手不足の悩みを助長する要因となっているように思われるからである。

 

こうした問題は運送業に限ったことではない。

新自由主義的な経済政策の下で、あまりに安くなり過ぎた商品やサービスの価格のしわ寄せが、特に労働者に強く及んでいるのではないかと思われる。

 

このような状況下においては、むしろ独占や寡占を招かない範囲での価格カルテル等のシステムを肯定する声も聞こえてくる。

モノの値段がカルテル等によって高止まりすることがあってはならないが、行き過ぎた需給バランスを直すことにより、正常な人件費を取り戻す必要がある。

こうした異常な需給バランスの是正は、とりもなおさず内需を正常に戻すことを意味する。

 

 

3、我々が進めるべきデフレ脱却政策

 

冒頭で言及した通り、少なくともデフレ下での増税は国家の財政を潤わすことはできない。

従って、そうした増税の実施は国民にとって幸福をもたらすことはできないと考える。

 

我々が今進めるべきは、前述したようにあまりにも下降指向の強い商品やサービス価格の安定・上昇と、それに伴う労働者の給料の増加を促す経済・社会政策である。

 

同時に国家財政を鑑みれば、財政出動を伴わないデフレ脱却政策も積極的に打ち出していく必要がある。

その具体例として、例えば建築基準法等の関連法令における容積率の緩和は、新たな財源を必要とせず、資産価値を上昇させる一案として十分検討する価値があるだろう。

 

民進党の経済政策として、デフレを脱却しない中での増税は絶対に許されないものである。

いまや、上述したような各施策による地方経済の活性化や建設需要の喚起、そしてそれに伴う労働者の給料を上昇させることこそ、我々の仕事である。

 

私は今回の代表選を通じて、候補者に対して何よりも強く、こうした考え方に沿った経済政策を打ち出すよう求めていく。

そしてわが国の国民の生活を向上させるために、最大限努力していきたい。

 

衆議院議員 松原仁