松原仁が行く! 2017年3月31日(金)衆議院国土交通委員会

 

3月31日に、衆議院国土交通委員会にて行いました委員会質問の動画をご覧ください。

衆議院において当日の議事録が確定・公開されましたので、動画の下部に追加掲載させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

【衆議院議事録より】

 

西銘委員長 次に、松原仁君。

松原委員 トン数標準税制が、今、世界の、特に海洋国家においても大きな中心になっているわけでありまして、プラザ合意後において、日本籍船は千五百隻余から九十隻余に減ったということであります。これに伴って、船員数も三万人余から二千人余に減少した。このことがどういうふうな国家的なデメリットになっているのか、まず、大所高所から石井大臣の御認識をお伺いいたします。

石井国務大臣 四面を海に囲まれた我が国にとりまして、貿易量の九九・六%を担う外航海運は、我が国経済、国民生活を支える基盤として極めて重要であり、我が国における安定的な国際海上輸送の確保を図る上で、日本船舶、日本人船員はその中核となるべき存在であります。

 さらに、日本船舶、日本人船員は、我が国の管轄権が排他的に及ぶため、経済安全保障の観点から通常時より一定規模を確保することが必要であるほか、海上輸送の安全性の確保や、操船技術等の海技の世代間の安定的伝承等の観点からも重要な意義がございます。

 このため、プラザ合意後の日本船舶、日本人船員の減少により、経済安全保障の確保等に懸念を抱かせる面もあったと考えておりまして、日本船舶、日本人船員を再び増加させることは極めて重要な国家的課題であると考えております。

松原委員 それは当然そうなんですが、今私がお伺いしたかったことは、このことが、日本の経済安全保障とかそういう議論は当然ながら、海運産業、海運の世界におけるソフトパワー、ハードパワー、こういったことに結果として大きなマイナスになっているのではないかというふうに私は思っております。

 この辺については海事局長に逆に今質問させてもらいますが、このことによって、プラザ合意以降、日本だけではない、ドイツやイギリス、またノルウェー等においても非常に船舶数が減ったというふうに言われております。

 きのうレクで話をしたんですが、なかなか数字的なものはまだ取りそろっていないというのは承知をしておりますが、いわゆるプラザ合意以降の日本籍船の激減の産業構造的なもの、造船関係における仕事量とか、そういった観点から大きな国家的なマイナスがあったか否かについて、海事局長、御答弁をお願いします。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のプラザ合意以降の円高等の進展により、我が国の海運企業は大変厳しい経営状況に置かれておりました。その中で、先ほど大臣からお話ございましたように、我が国の貿易量の九九%を支える、こういうことでございますので、世界の各国との厳しい競争をしながら事業を進めていかないといけない、こういうことでありまして、その中で、経済安全保障にも重要な日本船舶あるいは日本人船員の確保に懸念が生じるような事態になっていたのは事実であります。

 このこと自体も一つの課題でございますが、さらに、日本の海運企業が厳しい状況に置かれたままであったことが、例えば、日本の海運企業は、造船を発注するのは基本的に我が国国内の造船会社に発注いたしております。我が国国内の造船会社は、各地各地に基盤を持っております。その意味で、我が国海運企業が非常に厳しい状況にあり、船舶の新造などを抑えたということは、各地の造船企業にとっても影響を与え、そのことは、ひいては我が国全体の地域経済あるいは雇用にも影響を与えてきたものだというふうに考えております。

松原委員 このトン税、トン数標準税制は、今やもうグローバルスタンダードになった。一九九六年にこれを採用した国家が幾つかあるわけでありますが、これは、今、どのような経緯で世界標準になったのか、それに関してどのような認識をお持ちか、お伺いします。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 トン数標準税制は、最初、一九九六年にオランダ及びノルウェーで導入され、翌一九九七年にEUにおきまして登録船舶の便宜置籍国への流出の防止を目的といたしました海運への国家支援に関するガイドラインが定められたことを皮切りに、欧州の主要海運国において相次いで導入されました。

 その後、我が国や米国、韓国、台湾などの欧州以外の海運国等におきましても同制度の導入が進んでおり、トン数標準税制は国際海運において世界標準の制度となっていると認識いたしております。

松原委員 これは、トン数標準税制という税制も含めて、一度その国から他に流出したいわゆる便宜置籍船を何で戻そうとするのか、これをやはり分析しなきゃいかぬと思うんですね。そこの問題意識をどのように捉えるかというのが日本の海運の大きな、重要な要素になっていると思います。

 プラザ合意以降、日本籍船の便宜置籍船がパナマ等にたくさん移ったことによって、税制的なものではない部分でどんなデメリットが日本の海運業にあったか、御認識をお伺いしたい。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘のとおり、自国籍船が便宜置籍船として海外に流出いたしますと、このことは、まさに今回の法律の背景にございます経済安全保障の確保という点にも支障がございます。

 さらに、ヨーロッパ、EUなどが、いわゆるトン数標準税制を入れて海外への流出を防止しようとしたという背景は、まさに、海運及びそれを支える造船、舶用工業、そういったもの一体が、海運を中心とするサービスをする基盤となる船舶が外に流出する、このことが欧州各国においての経済を弱めることになる、こういったことも勘案して導入されたというふうに承知しております。

松原委員 石井大臣、これは重要なことだと思うんですよ。冒頭の質問で、ちょっとそこも御答弁で触れていただければと思ったんですが。

 要するに、経済安全保障という観点は当然であります。しかし、海外の、ヨーロッパの国々が、日本の十年前からこういった便宜置籍船を減らす、戻すというのは、それだけではなくて、税的なメリット云々だけではなく、海外にその船の本籍が行くことによって、海外にそれが行くことによって、さまざまな関連するものが失われてしまう、そのことのデメリットを感じているがゆえに、それぞれの国がこのトン数税制を採用し、国際標準になったということが極めて重要なわけであります。

 ちょっと海事局長にお伺いしますが、なぜ日本は、先ほど大臣がおっしゃった、海洋国家であるにもかかわらず、今や世界標準、グローバルスタンダードになったこのトン税を入れるのがヨーロッパの最先端の国より十年もおくれたのか、この理由をどう分析していますか。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 我が国のトン数標準税制の導入が、最初に導入されましたオランダ及びノルウェー、九六年からおくれること約十年であったのは事実でございます。

 これにつきましては、我が国の海運企業は、その導入までの間に、実は、平成のバブルだとかそういったこともあり、経営が順調であった。そういうことも影響し、そして、諸外国の導入状況を見ながら進めている、こういうこと。その後、経営状況も勘案しつつ、船会社の方から、海外との国際競争状況がさらに厳しくなっているので、競争条件を同等、均等になるように、こういう要望が出てきて、それらを勘案し、議論して導入された、こういうふうに認識しております。

松原委員 これは極めて重要なことであります。何が重要かというと、日本は海洋国家であり、日本が最先端を行ってグローバルスタンダードをつくるべき国家であるにもかかわらず、このトン税に関しては、日本は先端を行くことなく十年おくれたということであります。

 その中身はまた後で財務省にも聞くわけでありますが、さらに、経済安全保障ということに限りなく的を絞っているわけであります。グローバルスタンダードを日本がつくり上げ、日本が海洋国家であるというこの原点を強く認識するならば、やはり、こういったものに関して、もっと早くそういうアイデアを日本が出すぐらい、もしくは最先端の方でやるべきであって、十年間おくれたことによる日本の海運におけるダメージといいますか、そういったものは実はあるんだろうと私は認識をしております。

 大臣にお伺いしますが、自国籍船が便宜置籍船として海外に流出することを防止することは重要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。石井大臣。

石井国務大臣 今委員が御披瀝いただいたような経済安全保障上の観点等々から、御指摘のとおり、我が国の外航海運企業の運航する船舶が過度に外国籍船となることはやはり問題であるというふうに考えております。

松原委員 当然のことでありますが、今申し上げているのは、海運に関係するさまざまな部分がやはりこのことによって弱体化してきたということを我々は認識する必要があるのではないかということを重ねて申し上げたいわけであります。

 ちょっと視点をより金銭的な部分に変えますが、諸外国では固定資産税や登録免許税がかからないということもあります。こうした保有コストについても国際標準まで下げるべきだと考えますが、御見解をお伺いします。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 パナマ、リベリア等、諸外国の外航船舶の登録免許税、固定資産税等は、非課税あるいは手数料並みというのが主流となってございます。

 これを踏まえまして、我が国におきましても、国際船舶につきましては、登録免許税を千分の四から千分の三・五に、固定資産税の課税標準を六分の一から十八分の一に、それぞれ軽減する措置を講じているところでございます。

松原委員 今海事局長が言ったその数値で、他の国に比べてイコールフッティングしていますか。

羽尾政府参考人 比較する国がそれぞれでございますが、先ほど申しましたパナマ、リベリア等の国で、登録免許税あるいは固定資産税を非課税、そもそも課していない、こういう国もあります。私どもも軽減措置を講じていただいておりますが、それと比べれば若干高目になっているという事実はございます。

松原委員 きょうは財務省の方にも来ていただいているわけでありますが、最後は財務省がどういう判断をするかというのが極めて重要なわけであります。

 ちょっと財務省に幾つかお伺いしたいわけでありますが、財務省としては二つの尺度があると思っております。国内的な他の企業との関係におけるイコールフッティング、これは当然重要であります。しかし、国際社会においてその部分の他の企業とのイコールフッティング、これも重要だと思います。これについての認識をまずお伺いしたい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、国内におけるイコールフッティング、これも非常に大事でございます。同時に、国際的な観点も含めて、さまざまな観点から税制を構築することも大事であります。

 さはさりながら、一方で、各国の税制と申しますのは、各国それぞれの置かれた経済情勢でありますとか、ないしは各国の税制全体の中でもそれぞれ判断される面もございますので、そうした点も踏まえて勘案していくことが必要だろうと考えております。

松原委員 井上さん、日本の場合は、一国で経済を運営することができる他の大国と違って、貿易立国なんですね。国際社会の中において我々は生存を確保しているわけです。これが、日本の規模の二十倍の面積があって、経済的規模もでかいようなところ、資源がたくさんあるところ、こういうところだったら、国内税制のイコールフッティングを優先することもあるいは一つの考え方かもしれません。

 しかし、私は、海外とのさまざまなやりとりで国を繁栄させる日本は、国内的な税制のイコールフッティングよりも、国際的な税制のイコールフッティングが大事だというふうに思っております。

 その点からいくと、先ほど海事局長が言った点の、いわゆる登録免許税等々の部分においてパナマ等に比べて高い、このことについては、井上さん、どういうふうに考えていますか。

井上政府参考人 お答えさせていただきます。

 繰り返しになりますけれども、各国の税制は、それぞれ各国の事情それから税制全体の中で判断する面もあると思います。

 そういった中で、御指摘になった税制でありますとか、ないしは、きょう御議論になっておりますトン数税制もそうでございますけれども、いわゆる租税特別措置として、特定の政策目的を実現するために、いわば期限を原則として区切って例外的に措置するという世界の中で、今は、まさに海上運送法に規定します、我が国の安定的な海上輸送を確保するという観点で、日本船籍ないしは準日本船籍をふやしていくということに対して、我々としては税制でしっかりと措置をさせていただいているということでございます。

松原委員 海事局長、ちょっとお伺いしたいんですが、航海命令という項目がなければ、このトン税を選択するために戻ってくる船は、準日本国籍も含めて、これはより緩やかになるというのは当然だと思いますが、御認識をお伺いしたい。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 日本船舶の重要性につきましては、冒頭、大臣の方からも答弁させていただきましたように、安定的な国際海上輸送を確保するという観点、及び、海上輸送の安全性の確保、あるいは海技の世代間の安定的伝承等、日本船舶及び日本船員をあわせて見て重要な意義がある、こういうことでございます。

松原委員 経済安全保障は理解しています。四百五十隻というのも理解しています。経済安全保障だけがメーンなのか、日本の海事の繁栄というものを同時に考えているのか、どっちですか。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、海事産業、海運業、造船業、この重要性に鑑み、海事産業の振興に努めております。

 今御指摘の本件の税制につきましては、御説明申し上げておりますとおり、日本船舶及び準日本船舶を増加させていき、経済安全保障を確保する、こういう目的で設定されたものでございます。

松原委員 海事局長もなかなか熱い思いが言葉の裏にあると私は思っておりますが、お立場もあるので、そこが一つのきょうの御答弁かなと認識をしております。

 問題はこの分野だけではないと思うんですが、財務省にお伺いします。

 データはぜひ見てほしいんですが、他の諸国がこういったトン税をやっている、そういった国が、トン税とその他の法人の法人税の平仄の中で、やはり国内的には十分フェアかどうかという議論はあると思うんですが、その辺は研究したことはありますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 各国それぞれの税制の中の話でございますけれども、詳細については検討したことはございません。

松原委員 ぜひ検討してもらいたい。要するに、これは、損して得とれではないですが、繁栄することによって税金が非常に上がるだろうし、国家も繁栄する。これは一つの鉄則ですから、やはりこういう部分を財務省にはぜひ御検討いただきたいと思っているわけであります。

 先ほど言ったように、日本は大きな大国のように一国で経済を回せない。それは、原材料がやたらとあるわけでもない。つまり、国際社会とどういうふうにイコールフッティングでやっていくかが問われる。だから、国際社会との競争において、それは財務省だけの問題じゃないんですよ、海外から日本に人が来る場合の受け入れを含めて、さまざまな議論がある。こういったことで、そういうものに関して世界で最も競争力がある国家にする努力をしなきゃいかぬ。

 こういう登録免許税等に関して、パナマとかそういったところは非課税である。我々も非課税であるというぐらいの、まあ、それほど大胆でもないんですよ。財務省的には、いや、それは清水の舞台から落ちるぐらい大胆だと言うかもしれないけれども、それぐらいのことを、少なくともイコールフッティングは、国内産業のイコールフッティングは大事だけれども、国際間のイコールフッティングを重要視しないと私はこの国はもたないというふうに思っていますので、ぜひそこは御検討いただきたいというふうに思っております。

 次に、IMOの議論に進みます。

 海洋国家日本として、海事分野でグローバルスタンダードをつくっていくのは重要だ。これは極めて重要で、いわゆるグローバルスタンダードを、自国に有利にして、世界的にもウイン・ウインの形でつくる。エゴイストじゃないので、自国に有利だけではない。それが、トン税みたいなものを、先ほど言ったように、日本が、財務省の御理解や、むしろ財務省からの御提言が先にあってトン税が進むぐらいであった方が、私はグローバルスタンダードとしての日本の立ち位置になったと思うんです。

 海事局長、ちょっとこれは通告していませんが、日本発の海事関係のグローバルスタンダードというのは何かありますか。海事関係のトン税みたいなグローバルスタンダード。何か思いつくものがあったら言ってください。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 全てを網羅して調べたわけではございませんが、我が国の海運業あるいは造船業は、世界の中での技術力も極めてすぐれている、こういうことでございます。

 例えば、先進的な船舶、例えば省エネの技術を持っている船舶、あるいは壊れにくい船舶、こういった意味では、我が国の造船業の持っている技術というのが世界の中でリードしている、グローバルスタンダードとなって各国が模倣している、こういうものだと思っております。

松原委員 時間配分がちょっとまずくなってきたので。

 これは、日本発のグローバルスタンダードというのはそういう意味じゃないんですよ。技術が優秀だなんて、それはわかっているんですよ。一つのグローバルスタンダード的なもので、日本の海運がつくって世界の海運のグローバルスタンダードになったものは幾つあるか。それをやはり幾つかつくらないといかぬと思っております。

 ちょっと時間がなくなってきたので、あとは簡単に質問して、御答弁いただきたい。

 離島における交流を活性化させる観点から、三宅島―新島―調布間の航空航路の開設により、離島間交流の促進を図ることが必要と考えるが、国土交通省の見解いかん。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、地方航空ネットワークの維持、充実により、離島間の交流促進を図ることは重要であると考えており、離島航空路線に係る運航費補助や航空機購入費の支援を行っているところでございます。

 一方で、航空路線の開設は航空会社の判断により行われるものでありますので、航空路線の開設には、航空会社と地元自治体との連携が重要になってまいります。

 国土交通省といたしましても、今後とも、地域の御意見を踏まえながら、先ほど申し上げました支援措置を活用するなどして、地方航空ネットワークの維持、充実に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

松原委員 伊豆諸島の航路の現状についてお伺いいたします。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 東京と伊豆諸島の間を結ぶ定期航路につきましては、現在、三つの事業者が四航路の運航を行っております。具体的には、東京―八丈島航路、八丈島―青ケ島航路、東京―大島―神津島航路、式根島―新島航路となっております。

 これらの航路では、貨客船、ジェットフォイルなどにより、週四便から一日三便程度の運航が行われており、移動手段、生活物資の輸送手段として住民生活を支えるとともに、観光客の輸送手段としても地域経済を支えているところでございます。

松原委員 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に向け、伊豆諸島の活性化を図る必要がありますが、同時に、これは二つのルートが別なんですよね、局長は御案内のように。したがって、ここをくっつけた方がいいんじゃないかという議論は現地においてもあります。

 このことについての検討といいますか、御認識というか、あればお伺いしたい。

羽尾政府参考人 お答えをさせていただきます。

 御指摘のように、東京と伊豆諸島を結ぶ航路は、大きく南北の二本、一つは、東京から三宅島、八丈島、御蔵島、青ケ島を結ぶ南側の航路と、東京から大島、利島、新島、式根島、神津島を結ぶ北側の航路、この二つに分かれております。

 これらの航路の間を結ぶ航路は現在存在しておらず、一般的には、伊豆諸島の南北を結ぶような航路が運航されれば、離島間の人的交流の活発化に資するものと考えます。

 航路の開設に当たりましては、臨時的な航路での運航につきましては、海上運送法上、事前に届け出を行えば実施することが可能となっております。

 ただし、実際に新たな航路での運航を行うに当たりましては、事業者の方々におきまして、具体的にどのような需要があるか、あるいは船舶を使用する上で既存航路のダイヤとの調整が可能かどうか等の点について、実情に即した検討を行うことが必要だと思っております。

 このため、臨時航路の開設につきましては、第一義的には、地元のニーズ等も踏まえた上でどのような対応を行うか、事業者において経営判断をしていただくべき事柄であると考えております。

松原委員 海事局としても、このことに関して、前向きに進めるためのさまざまな検討はぜひしていただきたいと思います。局長、答弁。

羽尾政府参考人 一部繰り返しでございますが、現在、南北二つの航路ができておりまして、その南北をそれぞれ結ぶ航路というのが存在しない。かつて一度臨時的にやってみて、なかなか経営が大変だった、こういうことがございます。

 したがって、これらについては、地元のニーズあるいは観光需要の喚起等々によって人的交流の活発化に資するような形で、まず、地元の方々あるいは事業者の方々の主体的な活動そして経営判断がされていき、そういう状況の中で、私どもも、路線ごとにおきまして、離島航路の補助など、使えるところがあれば支援していきたい、こんなふうに考えております。

松原委員 内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局にお伺いしますが、地方創生の立場から、人口減少の対策が必要であり、離島において安心して出産できる環境を整備することは、地方創生の肝であると考えております。

 このようなことに関してどのように地方創生担当部局として考えているか、お伺いいたします。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 地方創生は、少子高齢化に歯どめをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目的としており、地域の実情に即し、結婚、妊娠、出産、子育てをしやすい地域づくりに向けた取り組みを推進することは、地方創生にとって重要な課題である、このように考えてございます。

 このため、地方創生の一環として、安心して産み、育て、暮らすことができる地域を維持、創造するために必要な環境づくりに取り組む地方公共団体に対し、国として、情報、人材、財政、三つの側面から総合的に支援してまいりたい、このように考えてございます。

松原委員 離島において安心して出産できる環境を整備する観点からいえば、診療所、助産婦の経費を支援することが重要であると考えるが、国としての見解いかん。

奈良政府参考人 地方創生におきましては、国で一律の政策を全国展開するということではなくて、地域の創意工夫を後押しするという観点から政策を推し進めてございます。そういったことから、特定の施策、個別の施策についてこの場で言及することは控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、地方創生の観点からも、安心して出産できる環境、体制を整えることは重要であると考えてございますので、そうした観点から、熱意と意欲を持って持続的な取り組みを進めようとする地方公共団体に対して、情報、人材、財政面から支援してまいりたい、このように考えてございます。

松原委員 あと、小笠原の渇水についてちょっと御所見をお伺いして、時間ですので質問をやめたいと思います。小笠原についてお伺いします。

西銘委員長 厚生労働省橋本大臣官房審議官、時間ですので、簡潔にお願いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 小笠原村におきましては、昨年夏からの少雨によりまして、水源となる父島、母島のダム貯水率が減少しております。昨年十月十一日に渇水対策本部を設置しているというふうに承知いたしております。

 父島でございますが、本年一月二十三日から水道の水圧を二〇%下げて給水を行っております。また、二月十日からは農業用のダムからも取水して給水することに加えまして、二月十三日から海水淡水化装置を稼働して水道用水を確保しているという状況でございまして、三月三十日時点でのダム貯水率が二四・七%という状況でございます。

 母島におきましても、こちらの方では村民への給水は通常どおり行ってございますが、二月六日からは農業用のダムから取水して給水、それから三月九日からは海水淡水化装置により水道用水の確保を図っているという状況でございまして、三月三十日時点でのダムの貯水率が四一・三%でございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、東京都の方と緊密に連携をいたしまして、引き続き情報の把握に努め、必要に応じて協力、支援を行っていく所存でございます。

松原委員 終わります。