松原仁が行く! 2016年10月26日 国土交通委員会

 

 

以下議事録を、掲載いたします。

 

 

西銘委員長 次に、松原仁君。

松原委員 引き続きでありますが、リニア中央新幹線に関する質問を続けてまいりたいと思います。

 このことによるさまざまな効果というものを、我々は、経済的な部分、また時間的な部分、まあ、これも経済に換算できるわけでありますが、さらには、さまざまな技術的な部分、そして精神的な部分、さまざまな部分からリニア中央新幹線の効果というものは我々の国民経済にあるだろうと思っております。

 精神的な部分を言うならば、私は、人間というのは、経済で活動する場合も単純に経済の原則だけではない、やはり、新しいものに乗ったときの驚き、空を初めて人間が飛んだときの驚きとか、こういったものは我々人間の創意工夫や情熱を極めて高からしめるものであるというふうに思っておりまして、その意味において、リニア新幹線が一つの新しいインパクトを我々の経済、そして我々の行動に与えるのではないかということで、大変に期待をしているところであります。

 質問に入りますが、リニア中央新幹線の整備によって時間短縮効果というのはどのように行われるのか、お伺いしたい。


    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕



藤井政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線の開業によりまして、東京―大阪間は約一時間で結ばれます。これによりまして、国土構造に変革がもたらされまして、三大都市圏から地方へのアクセスが向上いたします。

 具体的には、三大都市圏から四時間で移動できる県庁所在都市が次のように拡大をいたします。まず、東京からは、今二十九都市に四時間で行けるんですが、それが三十四都市に拡大いたします。名古屋は三十一都市から三十八都市へ、大阪は三十一都市から四十都市へ拡大をいたします。

 例えば、名古屋においては、四時間で移動できる県庁所在都市がこれまでは仙台までであったものが、リニア中央新幹線の開業によりまして、山形や盛岡まで移動できるようになります。

 さらに、地方を中心に考えますと、例えば、盛岡から四時間で移動できる県庁所在都市は現在十六都市というふうになっておりますが、これが二十六都市に拡大をするなど、地方のポテンシャルも向上していくものと考えております。

松原委員 先ほどからスーパーメガリージョンという議論もあるわけでありますが、リニア中央新幹線の整備による経済効果として、東京―大阪間の開業で八千八百億円、東京―名古屋間の場合は五千二百億円。当面、この五千二百億円ということになるわけでありますが、この試算の根拠とか、具体的なイメージでどういうものがどうなるのか、そこまで色のついた説明はできないかもしれませんが、できる範囲で御答弁をお願いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきました八千八百億、五千二百億というのは、国土形成計画の策定に向けた検討の一環として試算したものでございます。

 具体的にその試算の考え方を申し上げますと、リニア中央新幹線によりまして所要時間の短縮が起きまして、これが交通コストを削減いたします。この交通コストの低減が国内の生産量を増大させるということから、その拡大する生産額の経済モデルというものをつくりまして、これによってその効果を算出したものでございます。

 もうちょっと詳しく申し上げますと、二十六年の国土形成計画の一環として、その当時の最新のデータで計算をいたしまして、全国の合計の生産額の増加が、二〇四五年で東京―名古屋のみが開業している場合は年間五千二百億、東京―大阪間が全線開通した場合は年間八千八百億というふうな結果になっております。

 以上でございます。

松原委員 GDPの押し上げ効果というのは、これは事前の通告のときはちょっと言ったんですが、その後ちょっと消えているわけであります。押し上げ効果はあると思いますが、この辺についての認識をお伺いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げた数字は生産額の拡大でございまして、GDPの拡大効果というものは計算をいたしておりません。

 ただ、当然のことながら、生産額が拡大していきますので、GDPも拡大をしていくというふうな効果があろうかと思っております。

松原委員 今、東京一極集中というのが言われておりまして、いろいろな理屈を考えることができるわけであります。

 私は、東京一極集中に対して、東京―名古屋が先に開業されますと、大阪圏の経済的な活動が、それを短縮するための財投の融通でありますが、大阪まで開業する間の次の十年間、この間に東京―名古屋がさらに浮上して、大阪圏が結果としてその経済活力をさらに東京―名古屋圏にとられる可能性があるというふうに考える一人であります。むしろ、理屈からいくと、東京―名古屋圏の前に名古屋―大阪圏からやった方が実は東京一極集中に対して国土の均衡ある発展に資するものだったのではないか、こういうふうな発想もあるわけであります。

 途中の体力を復活する期間というのを財投によって短縮するわけですが、それにしても、このことによって東京―名古屋圏が活性化し、関西圏がさらにこの十年の間に極めて厳しい環境になるのではないかという指摘もあるわけであって、このことについての御意見というんですか、御感想というものをお伺いいたしたいと思います。答弁はどなたでも結構です。大臣でも結構ですが、いかがでしょう。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘のとおり、東京―名古屋間が先行すれば、大阪の方がその間に劣後するというふうな危険性もあるわけでございますが、このたび、前倒し、こういうふうなことになりました。

 それとあわせて、大阪の新しい拠点性をどうつくっていくかということを、開業に向けて、まちづくり、都市づくりというものを先行して進めていくということによりまして、大阪も劣後することなく、その開業に備えて発展基盤をつくっていくということが重要ではないかと考えておりまして、こういうふうなことを国土政策の観点からも進めていく必要があるというふうに思っております。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

松原委員 先ほど質疑がありましたが、今回、国土交通省が、国土交通省側の大臣のイニシアチブで財投のことをやって、次の工事に関する時間を短縮した。私はこれを非常に高く評価しているんです、それ自体は。

 ただ、それにしても、十年間先行するということのダメージは関西圏には必ずあるわけであって、そういったことを考えたときに、一方において、そこで働く方々の環境や危険というものは極めて抑制しなければいけない大切な問題でありますが、他方において、こういったことによる開業、特に東京―名古屋間の後の大阪―名古屋間は、予定は予定でありますが、技術の更新もあるでしょう、速やかにこれを実際に実行していくということは、劣後する可能性が非常にあると私は思うんですよ。

 やはり二つの都市がくっついたときに、それはもう相乗効果は大きい。それは先ほどのスーパーメガリージョン効果でもそうなんです。であれば、逆に、その後の十年間の間にやはり一層東京、名古屋に人が集まってしまう可能性がある。

 こういったことに関しては、できれば、技術的な更新も含め、この辺を早く進める必要が一方においてあると思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。最後の質問です。

石井国務大臣 今の御質問は、名古屋―大阪間の開業時期をなるべく早くすべきではないかという御指摘かと存じます。

 まだ、名古屋に開業するまで十数年時間がございますので、その間の技術革新がどれだけあるかということは、今の段階ではっきり申し上げられないところでありますけれども、そもそも名古屋―大阪間については、まだルートが確定しておりません。工事の内容が未定でございますので、現時点で工期短縮の可能性について申し上げることはちょっと難しいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、全体的な姿勢としては、今後の技術開発の動向も踏まえまして、一日も早い開業に向けて、安全かつ確実な施工に努めてもらいたいと考えております。

松原委員 当然、答弁はそういう答弁になろうかと思います。

 私は、東京―名古屋が開業して、名古屋―大阪の開業の時間差というのが、均衡ある国土の発展に対して、プラスマイナスの意味を含めてかなり決定的な影響を持つと思っております。今大臣おっしゃったように、名古屋―大阪間というのはこれからの課題で、どういうふうなところをどうするのかというのはこれからでありますが、少なくとも、東京―名古屋の開業の段階では、これはスタートダッシュしてできるような環境をつくる。そして、当然、そのときは十年先になりますから、技術も変わってきている。そういったものを、やはり国土交通省においてはJR東海と真剣な議論をしてやっていただきたいと思っております。

 次に、いわゆるリニアにかかわる地震対策、火災対策としてどのような対策が考えられているかをお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 鉄道構造物の整備に当たりましては、従来より、阪神・淡路大震災や中越地震などにおける被災状況等を踏まえて新たな対策を講じ、さらに、その効果を検証しながら地震対策に関する知見を深める取り組みを積み重ねてまいりました。

 また、それらの知見は、鉄道構造物の設計、施工の際に用いられます「鉄道構造物等設計標準・同解説」に反映されておりまして、リニア中央新幹線の工事に当たりましても、JR東海は、これに基づき、地震に対する安全対策を講じることといたしております。

 さらに、超電導リニア車両は、U字型のガイドウエーに囲まれて走行いたしますため、物理的に脱線しにくい構造となっていること、リニアモーターカー内の超電導磁石と地上に設置された浮上案内コイルとの間で作用する強力な電磁力により、車両は常に軌道の中心に位置するように保持される性質を有していることから、超電導リニアは地震に強いシステムとなっておるというふうに考えております。

 一方、リニア中央新幹線の例えば長大トンネルで火災が発生したような場合の対策につきましては、これまでの技術評価委員会でありますとか交通政策審議会におきます議論の中で、火災時には原則として次の停車場またはトンネルの外まで走行して停止すること、万一トンネル内で停止した場合、乗客は、山岳トンネルの場合は、乗務員の誘導等により、風上に避難した後、最寄りの非常口、横坑や斜坑を通って地上に避難すること、都心部の大深度地下トンネルの場合は、乗務員の誘導等により、トンネル下部の煙の入らない安全な通路に移動し、最寄りの非常口、立て坑から階段またはエレベーターで地上に避難することなどの方針が確認されておりまして、JR東海は、これに基づき火災等の避難対策を行うことといたしております。

 いずれにいたしましても、御指摘のリニアに係る地震対策及び火災対策につきましては、以上のような取り組みが適切に行われますよう、JR東海の取り組みを促してまいります。

松原委員 私が心配するのは、前に新幹線で焼身自殺という極めてショッキングな事件がありまして、これが、人間の本能的な直観からいくと、地上であればまだしも、地下でそういうことをされた場合、どうなるのか。

 これは、今、火災ということで鉄道局長にはお答えをいただきました。火災が出た場合のシミュレーションや実際のそういう事柄に関するトレーニングというのは、当然、JR東海において開業前に行う、こういうことでよろしいですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたような知見等を踏まえまして、開業までに、JR東海において、しかるべきそういった対策に関するマニュアルでありますとか要員の訓練、そういったことが行われていくというふうに理解をいたしております。

松原委員 次の質問に移りますが、火災に関しては、本当に実際にないようにしなければいけないし、従来の新幹線ではそういった事案というのはなかったんですね。局長、どうですか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような車内での火災といったようなことは、私が知る限り、なかったと承知しております。

松原委員 さて、そこで、先ほど焼身自殺ということを言いましたが、意図的にそれをテロとして行おうとする者がリニアに乗ってきた場合、この場合というものに関しては、抑制する手立てがないのかもしれないし、あるのかもしれない。

 リニアというのは、六百キロ、五百キロで走るというのは準飛行機の速度ですよ。例えば、飛行機であれば、乗るときに全部、通りますよね、磁気のものを。手荷物検査までやる。そんなことを大量輸送手段でやっていたら、商売にならない。

 しかし、そうなると、飛行機よりは遅いですけれども、五百キロ、六百キロで走る。地上ではなく、浮いていくという点では飛行機みたいなものでありますが、私は、日本の技術も信用しておりますし、JR東海の技術も信頼しておりますが、それを意図を持ってやろうとする者が入ってきたときの危険性というものに関して、可能性というのをゼロというふうには言えないと私は思っておりまして、このテロ対策についてどのような御所見をお持ちか、大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 リニア中央新幹線などの高速鉄道におけるテロ対策については、大変重要な課題であると認識をしております。

 既存の高速鉄道である新幹線におきましては、駅構内や客室内における防犯カメラによる常時監視、駅構内や車内、重要施設における巡回警備の強化などのテロ対策を関係省庁やJRと連携して実施しているところであります。

 リニア中央新幹線のテロ対策に関しましては、現段階では具体的に公安当局との議論を始めてはおりませんが、国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線の開業までの間に、このような既存の新幹線におけるテロ対策で得た経験を踏まえまして、今後のテロ対策における技術開発の動向も考慮しつつ、関係省庁やJR東海と緊密に連携を図りながら、リニア中央新幹線におけるテロ対策に万全を期してまいりたいと考えております。

松原委員 非常に大量輸送手段ですから、飛行機のようにやるわけにはいかないのかもしれないが、飛行機のようなチェックをしないと、本当にそういった悪意を持った人間がやる可能性はあるということだと思っています。今、テロ事案というのは全世界で起こっているわけでありまして、十年後というのが平和な時代になっていればそういうことはないのかもしれませんが、私は、おそれがあると。

 ですから、本来であれば、そこは、今の新幹線に入るようなやり方ではなくて、ちょっと工夫をして、そこには当然しかるべき警察的な人が立つ、それで、出入り口で見るというようなことも含め、少しそういった工夫をする用意というものが、それはJR東海だけの作業ではありません、やはり公安的な立場のものがありますので、そういったものについては国が目配りをしていただきたいと私は思っておりまして、このことについての御所見を、どなたでも結構です、お伺いしたい。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような問題に対する意識というものは、私どもも鉄道事業者もしっかり持っておるところでございます。

 鉄道におけるテロ対策に向けた取り組みといたしましては、昨今のそういった鉄道を狙ったテロの事件の発生を受けまして、省内に鉄道テロ対策連絡会議を設置いたしまして、駅などの防犯カメラの設置、監視の徹底など警備強化に向けた取り組み、また、国民の安心感とテロなどに対する抑止力を高める見せる警備といったようなものと、監視ネットワークの強化のための利用者の参加を軸としたテロ対策などの検討、実施を進めるとともに、危機管理レベルを設定し、テロ発生の脅威の度合いに応じた適切なテロ対策の強化、実施に努めておるところでございます。

 先生も御案内のとおり、新幹線におきましては、例えば、警官が警乗いたしたり、駅の角々には立哨したり、あと、ごみ箱の集約、撤去、透明化でありますとか、防犯カメラの監視の徹底でありますとか、あと、そういった監視をしていることを見える化するといったようなことを通じまして、テロの防止、抑止に努めているところであります。

 今後、そういった対策でより有効なものがあれば、そういったものもやってまいりたいと思っておりますので、先生御指摘のリニアのテロ対策にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

松原委員 これはちょっとリニアから離れますが、幾つか聞きたいことがありまして、今、成田空港周辺で、羽田空港の国際化という議論の中で航路変更があるということでありますが、成田空港周辺で航空機から落下物があると聞いております。ファクト、事実として、過去十年間の落下物で、具体的にどのようなものがどれぐらいの頻度でおっこちていたか、お伺いします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 成田空港周辺における落下物につきましては、過去十年間で、氷の塊が七件、航空機の部品が十四件、計二十一件が報告されております。

 具体的には、航空機部品の落下物といたしましては、長さが数センチのものから最大で約三メートルのゴム製保護材が報告されており、重さにつきましては、数グラムのものから最大で約一・八キログラムのプラスチック製部品が報告されております。

松原委員 これは、長さが三メートルのものから、重さが一・八キロのものまでおっこちてきているということでありまして、そういった意味では、飛行機というのは物を落とすことがあるということで、今の局長の話だと、平成二十七年度にかけて十年間で二十一件、一年間に二件ぐらい、こういう認識でよろしいですか。

佐藤政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、平成十八年度から二十七年度の十年間で計二十一件ということでございます。

松原委員 三メートルのものがおっこちてくるとか、氷の塊もどんな感じかわかりませんが、一・八キロのものというのはこれはかなりダメージになると思っております。こうした落下物により人的被害が生じているのかどうか、お伺いします。

佐藤政府参考人 被害についてお答え申し上げます。

 これまでに、ビニールハウスの破損等の事例はございますが、人的被害は生じておりません。

松原委員 これは確率の問題であるわけでございますが、ちょっと大臣にお伺いしたいのは、こうした事実を考えると、羽田空港において新飛行経路が導入された場合、同様の飛行機からの落下物が生じる可能性は否定できない。

 そういったことを含め、私の地域でもありますが、現地の住民の中にもさまざまな心配をする声があるわけですが、これについての大臣の御所見をお伺いいたします。

石井国務大臣 羽田空港の機能強化に係る説明会等におきまして、住民の皆様から、航空機からの落下物に対する懸念の声などをいただいていると承知をしております。

 こうした御意見を踏まえまして、七月に開催をいたしました国と関係自治体から構成される協議会におきまして、新経路の運用に当たっては、乗り入れ航空会社に対し、点検整備の徹底を厳しく指導する、駐機中の航空機を国の職員がチェックする仕組みを新たに構築するなど、落下物の未然防止に万全を尽くすための方針をお示ししたところでございます。

 国としては、これらの対策を早急に具体化し、安全対策を徹底してまいりたいと考えております。

松原委員 本当に安全対策というのは何よりも大事だと思っております。これで何か起こると、百歩後退、一歩前進みたいになってしまいます。これは航空行政の後退になるということになりますので、くれぐれも安全が脅かされることがないように、責任を持って、石井大臣、決意をして頑張ってください。

 終わります。