羽田空港飛行空路及び飛行機増便を質す

(まつばら仁レポートより)
 

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松原仁レポート表 

 

 松原仁レポート裏

 

 

 

 

 

 

国土交通委員会質疑応答(委員会開催日:平成28年11月16日)

 

松原委員 

 まず、十月二十六日、本委員会において、私から、成田空港周辺における航空機からの落下物についてお伺いしました。航空局長は、過去十年間、氷の塊が七件、航空機部品十四件の落下物が報告され、航空機部品については重さは最大で約一・八キロのものが報告されているという答弁でありました。

 しかし、翌日の東京新聞には、平成二十年五月に成田空港発シドニー行きJALウェイズ便が千葉県香取市の畑に重さ十キログラムのエアコンパネルを落としたはずであり、航空局長は誤って答弁したと報道がありました。

 この事実関係はどうなっているか、お伺いします。

佐藤政府参考人 

 お答え申し上げます。

 十月二十六日の本委員会においては、松原委員の成田空港周辺における落下物に関する質問に対し、国として事実の裏づけが確認できた範囲内で、過去十年間においては航空機部品十四件の落下物が報告され、部品の重さは最大で約一・八キログラムのものが報告されていると答弁をいたしました。

 その後、国土交通大臣からの指示を受け、過去十年間の十四件の航空機部品の落下物事案について、改めて関連資料を収集し、事実関係を確認したところ、御指摘の報道で取り上げられた平成二十年五月に発生した落下物の重さは約十二キログラムで、これが過去十年間で最大であることが確認されました。

 改めまして、十月二十六日の本委員会の答弁時において調査が十分でなかった点を深くおわびいたします。

松原委員

 これは極めて重要なことなので、国土交通省、特に航空局では、こういったことに関してきちっと答弁をしてもらいたいと思っております。

 十二キロというのは大変な重さでありまして、これは大変なことであります。もともと、上空から落ちてくるので、大臣、これは氷の塊だって当たったら大変ですよ。そういう状況であります。今国が提案している新しい航空経路は人口密集地の上を飛んでいるわけでありまして、住民が不安を感ずるのは当たり前であります。大丈夫なのか、こういうふうな不安の声が上がるのも当然であります。

 私は、羽田空港における新飛行経路の導入に当たって、航空会社をしっかりと指揮、指導するなど、国としての責任を持って落下物対策に取り組むべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

石井国務大臣

 委員御指摘のとおり、羽田空港における新飛行経路の導入に当たりましては、これまで以上に落下物対策を強化し、安全対策の徹底を図りたいと考えております。

 落下物を防止するためには、本邦航空会社はもちろんのこと、外国の乗り入れ航空会社も含め、機体の適切な整備点検を徹底させることが重要であります。

 具体的には、羽田空港に乗り入れる外国の航空会社に対して、機体の整備点検の徹底を厳しく指導してまいります。また、航空会社による整備点検に加えまして、駐機中の航空機に対し、国の職員が、落下物の発生防止の観点から注意すべき機体の箇所を重点的に確認する仕組みを新たに構築いたします。さらに、国、航空機メーカー、本邦航空会社との間で落下物に関する情報共有のために定期的に開催している会議に、羽田空港に乗り入れる外国の航空会社の参画も求めまして、未然防止策に関する情報共有の徹底を図ってまいります。

 これらの方策によりまして、落下物対策の強化を図ってまいりたいと存じます。

松原委員

 本当にこれは一番重要なことなので、十キロを超えるものが降ってきたら大変な衝撃であります。こういうものが仮に降ってきたら、これは全体のグランドデザインを変えざるを得ないことになろうということは、この場で率直に、強く御指摘を申し上げておきたい。

 あわせて、航空会社の航空機が整備点検をした場合に、部品が脱落していることが確認される場合があると聞いています。それがそのまま落下物になるとは承知をしておりませんが、可能性は十分ある。こういったものに対して航空会社に報告を求める制度があると聞いております。どのようなものか、お伺いします。

佐藤政府参考人

 お答え申し上げます。

 航空の安全を確保するためには、事故や重大インシデントの原因調査、再発防止のみならず、それに至らない安全上のトラブルについての情報も幅広く収集し、未然防止策を講じることが重要であります。

 このため、点検や整備の際に航空機の一部部品がなくなっていることが確認された場合について、航空運送事業者等に報告を求める制度を平成二十一年度に設けたところでございます。

松原委員

 こういったことで、航空の安全は全てに優先する、落下物対策は極めて重要であるということを御指摘を申し上げておきたいと思っております。

 そして、こういった落下物が発生している事実を踏まえると、今後も落下物が生じないとは言い切れない。ということは、私は、このままではきっと落ちるんじゃないかと思わざるを得ないわけであります。

 未然防止のことは全力で取り組んでもらいたいわけでありますが、十月二十六日のこの委員会でも質問させていただきました、成田空港周辺で人的被害が生じているのかどうか、どんな被害があったのか、そして、こうしたものに関する御答弁とあわせて、新航空経路の下において実際に被害が発生した場合、その補償はどうなるのか、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人

 お答え申し上げます。

 まず、成田空港周辺での落下物でございますけれども、成田空港周辺におきましては、人的被害は生じていないものの、ビニールハウスの破損等の物損の事例があったということでございます。

 それから、もし万が一落下物が生じた場合に、被害に遭われた方々への補償をどのようにするのかということにつきましては、航空機からの落下物と疑われる事案が発生した場合には、まず、国が原因究明のための調査を実施いたします。その結果、航空機からの落下物であると判断され、原因者たる航空会社が特定された場合には、当該航空会社が被害を補償することになります。

 また、航空機からの落下物であると判断されたものの、原因者たる航空会社が特定されない場合には、落下物による被害について、原因者である可能性がある航空会社が共同して補償する制度が設けられております。

 このように、万一の場合でも被害に対して補償する仕組みを構築しているところでございます。

松原委員

 ちょっと質問が後先になりましたが、いわゆる航空会社に報告を求める制度が設けられているということで、二〇〇九年から先月末までに我が国の航空運送事業者からどのぐらいの件数の報告があるのか、お伺いします。

佐藤政府参考人

 お答えいたします。

 部品の脱落について航空会社に報告を求める制度を設けました平成二十一年度以降、先月末までに、我が国の航空運送事業者から、空港内の滑走路上で脱落が発生した事例を含めまして、合計四百三十七件の報告を受けており、その都度、航空運送事業者に対し再発防止を指導しているところでございます。

松原委員

 これは質問の中に入っていませんが、この四百三十七件は、その場で発見して、その扱い、運びはどうなっていますか。

佐藤政府参考人

 その場で発見して……(松原委員「手直しをするわけですよね」と呼ぶ)手直しというのは、見つかったものということでしょうか。

松原委員

 四百三十七件に関してが、航空運送事業者からこういったさまざまな問題があるという報告があったわけですよね。それに対してその場ではどういう扱いをしているか。

佐藤政府参考人

 お答え申し上げます。

 航空会社から報告があるのは、その場であるだけではなくて、例えば、その後、点検や整備をした際に見つかるといったようなケースもございますので、その報告があり次第、先ほども申し上げましたが、事業者に対しまして再発防止を指導しているというところでございます。

松原委員

 やはり抑止効果というのが大事なんですね。

 これは次の質問にもなるわけでありますが、被害者が発生しないようにするのが第一義的であります。ですから、繰り返しになりますが、落下物が生じないようにする、そして、こういった指導、点検をする。この指導、点検において、きちっと、件数が多いところや実際に落下物を発生させた会社に対しては、補償がどうのこうのという議論は、これはもうでき上がってしまったことで、大問題なんですね。その前の段階でペナルティーを科するなど、抑止効果というのが必要だと思っておりまして、このことはどのようにお考えか、お伺いします。

佐藤政府参考人

 お答え申し上げます。

 先ほどの大臣の答弁のとおり、これまで以上に落下物対策を強化し、安全の徹底を図ることとしておりますが、松原委員の御指摘も踏まえ、落下物対策の強化の一環として、落下物の原因者である航空会社が特定された場合において、当該航空会社にどのような措置を行うことが必要か、検討を行ってまいりたいと考えております。

松原委員

 これは極めて重要なことですから、きちっと対応していただきたいと思います。

 なお、騒音であります。やはり航空機は騒音を発生するわけでありますが、この騒音問題は新飛行経路の導入においてどのような対応をするか、大臣の御所見をお伺いします。

石井国務大臣

 新飛行経路の導入に当たりましては、昨年の七月より、延べ九十五日間にわたりまして、延べ三十四会場において説明会を開催し、約一万一千人の方に御参加いただくなど、丁寧な情報提供に努めてまいりました。こうした説明会等を通じまして、騒音について懸念する声があることについては承知をしてございます。

 こういった住民の皆様からの御意見も踏まえまして、本年七月に、国と関係自治体等で構成される協議会におきまして、環境影響等に配慮した方策をお示ししたところでございます。

 この中では、発生源対策といたしまして、航空機の低騒音化を図るため、飛行機の重量だけでなく、音の大きさも加味した着陸料体系への変更を行うこととしております。あわせて、空港周辺の騒音対策といたしまして、防音工事に係る基準を見直すことによりまして、経路周辺の学校、病院等に対して助成を行うことができるようにすることとしております。

 こういった方策を講じることによりまして、騒音に係る影響をできる限り少なくするよう努めてまいりたいと存じます。

松原委員

 当然でありますが、騒音問題は極めて重要でありますが、むしろ、冒頭申し上げた落下物、これがやはり一番心配でありまして、地域の方々と私が議論するときにも、これはとんでもない、何とかしてくれという声がたくさん寄せられているわけであります。

 こういったことを払拭するには、結局、言葉で相談して納得させるという議論ではなくて、物理的にこれを実行し得る状況をどうつくるかだと思うんですよね。人的被害が発生したら、これはもう本当に航空経路そのものの大問題になってしまいますが、今言ったような、航空会社に対してそのことをきちっと未然に抑止するようなペナルティーをつくる等々を含め、本当に可及的速やかに取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 大臣の御所見を、この懸念に関してもう一回お伺いしたい。

石井国務大臣

 先ほども航空局長が御答弁させていただいたところでありますが、落下物対策の強化の一環として、落下物の原因者である航空会社が特定された場合におきまして、その航空会社によってどういった措置を行うことが必要か、委員の御指摘も踏まえて検討を行ってまいりたいと存じます。

松原委員

 四百三十七件の報告があったというのもありますが、そういった調査報告で、駐機中の飛行機でさまざまな問題があるというのがたくさん生じている航空会社に対しては、その段階で教育的な指導をするということも必要だと私は思っておりますが、航空局長、いかがですか。

佐藤政府参考人

 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたが、報告を受けた場合には、その都度、航空運送事業者に対し再発防止を指導しているところでございますが、先ほども申し上げましたように、その航空会社に対して具体的にどういった措置をとるかということにつきまして、今後さらに検討してまいりたいと考えてございます。

松原委員

 つまり、個別の案件に対しての措置はそうですが、例えば、方程式はわかりませんが、トータルで全駐機数の一定数以上においてそういう案件が発見された航空会社については申し入れをするとか、そういったことをするぐらいの背景がなければ、それは、安全ですよ、安全ですよと言ったって、安全ですよで安全ですになるわけではないので、そこはきちっとやっていただきたいと思います。

 さっき言ったように、これで何か起こった場合には、本当に、空港が、日本の我々のマインドからすると、これについてはどうなんだ、もう一回見直せという話になってしまいます。そのこともきちっと考えてもらいたいと思います。

 

 

衆議院議員 松原仁