グローバルスタンダードを日本から発信

―――ポルトガル語言語圏3億5千万人と日本国1億2千万人による新しい商圏について


 かつてパクス・アメリカーナと言われた時代においては、良いものを作れば売れるという時代が続いた。しかし今日においては、良い製品を作ることは売れるための必要条件でしかない。売れるネットワークや環境が必要である。そのために、排他的なグローバル・スタンダードを含め、それぞれの国家や企業が、製品の効用とは別に、商圏を作るための国際的規則作りに奔走する。
 

 そして、商圏獲得のための国家間の経済連携は、こうした規模の大きなスケールメリットを伴う商圏づくりに重要である。その際の理由は、地理的関係、宗教的関係、言語的関係などの様々な要素を取り入れることとなる。
 

 言語圏というものは、商圏を作るときの大きな起爆剤となる。ブラジルなどの旧ポルトガル植民地を糾合して、ポルトガルがポルトガル語諸国共同体(CPLP)を作ったのは三年前のことである。そこには、ポルトガルを中心とする、文化的、歴史的連携がある。参加国は、ブラジル、モザンビーク、アンゴラ他の国家であり、その総人口は3億人をはるかに超える。
 

 かつて日本製品である地デジが日本ブラジル方式として、世界の中で一定のスタンダードを獲得したことがある。これはその製品の優秀さはさることながら、ブラジルと連携することによって、アンゴラやモザンビークといった、アフリカにあるポルトガル語諸国に商圏が拡大したことが要因であった。
 

 こうした成功事例を踏まえた上で私はCPLPという国際的ネットワークを日本の商圏拡大という観点から応援する議連を発足した。発足にあたって、ポルトガル大使、ブラジル大使、モザンビーク大使、アンゴラ大使を交えてキックオフの会を行った。今後はこの会を充実させて新しい商圏を創造するために尽力したいと考える。
 
 
―――ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)推進議員連盟の設立総会には駐日CPLP諸国大使の皆様にもご出席いただきました。(2015年9月24日)


 TPPは環太平洋の経済連携として商圏の拡大と、新しい環太平洋発のグローバル・スタンダード発信主体となることが期待される。しかしその時に、日本初のグローバル・スタンダードはあまり期待できそうにないという見方がある。日本がアメリカに対してのバーゲニング・パワーを持たないからである。そのパワーをブーストするために、こうしたCPLP諸国との連携が極めて役立つであろう。

 TPPの八億人の経済力、普遍化力と、CPLPの3億5千万人の経済力普遍化力の結節点に我が国が位置することは、我が国の国際社会に対する貢献する力、経済的な影響力をかつてなかったほどに高めるに違いない。
 
衆議院議員 松原仁