松原委員 質問に入る前に、ネパールにおいて、また大きな余震といいますか地震がありました。本当に、被災された方、関係の皆さんにお悔やみ、またお見舞いを申し上げたいと思っております。あわせて、日本でも宮城、岩手で余震があったわけでありまして、このことでまたさまざま被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。
 さて、この会社法に関する議論でありますが、まず冒頭、日本のような国において重要なことは、常にそこに住む人がどこにでも移動できるという、その移動の能力というのは極めて重要であるというふうに思っております。
 今般の、JR九州は上場ということを目指しているわけでありますが、このことによってどういったことが招来されるかについて議論していかなければいけないと思っています。
 まず、国土交通省的な観点からいきますと、道路行政においては、ミッシングリンクをつくらない、ミッシングリンクを解消するというのが道路行政においては一つの根本的な発想にあるというふうに私は承知をしているわけでありますが、鉄道に関して、このミッシングリンクというものに関して、道路とは大分その状況も変わっているわけでありますが、このことについてどのような御所見をお持ちかをお伺いいたしたいと思っております。

藤田政府参考人 お答えいたします。
 鉄道に関しまして、私ども、大事なことは、やはりネットワークを維持するあるいは充実するということだと思っております。
 現に今、これは都市部が中心でございますけれども、いろいろな鉄道のプロジェクトが検討されております。そういったものの中には、例えば、公共交通、鉄道の空白地帯を解消するでありますとか、あるいはつながっていないところをつなぐといった意味でネットワークの充実を図ろうとするプロジェクトがございます。それから、今あるネットワークの維持を図っていく、こういったことも大変大事なことだと思っております。
 そういった意味で、必ずしもミッシングリンクという言葉を鉄道行政の世界で使っておりませんけれども、ネットワークをきちんと大事にしていくということにおいては発想は同じだと思っております。

松原委員 このミッシングリンクというものがないこと。ミッシングリンクは、あると思う条件は、そこが回れるだろうみたいなことになるわけでありますが、それがミッシングリンクをなくすことによって恐らく、さまざまな利便性の向上だけではなく、また利用客の増加も見込めるんだろうというふうに思っております。
 ちょっと関連してでありますが、JRの路線が第三セクター化した場合に、私の友人なんかでも、青春18きっぷが利用できなくなるというふうなことも言っているわけでありますが、これもある種ミッシングリンク、ある意味においてそこが、鉄道は走っていますが、事業主体がかわるという意味においてはミッシングリンクの一つだろうというふうに思っているわけであります。このことに関しての御所見もお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、青春18きっぷにつきましては、その乗車区間はJR旅客鉄道会社全線であります。したがいまして、JRから分離して第三セクターが運営することになった路線は、基本的には対象区間から除外されるということになります。
 ただ、他方で、例えばJR九州におきましては、旅名人の九州満喫きっぷ、こういう名称がついておりますけれども、肥薩おれんじ鉄道等の第三セクターの路線を含めて九州の全鉄道事業者の普通列車に乗り放題となる、そういった企画乗車券も発売されております。
 基本的には、この企画乗車券、鉄道事業者の経営判断に基づいて決定するものでありますけれども、いろいろな創意工夫を凝らして、利用者の利便の充実を図っていただきたいと考えております。

松原委員 今御答弁いただきましたが、ぜひ、こういった部分の、実際、本来はJRが運営していた、しかし、いろいろな理由からその路線は、廃止されてしまうとどうしようもないわけでありますが、第三セクターに移管されるというふうなケースにおいては、ある種、それを従来どおり使えるようにすることが全体のイメージアップと、そしてお客さんといいますか顧客の底上げにもつながるというふうに考えられますので、ぜひとも、既に今、企画として、それぞれの創意工夫でということでありますが、もちろんそれはそういうことですが、国土交通省の中でもこういったものに関しては前向きに促すようにお願いしたいと思っております。御所見をお伺いします。

藤田政府参考人 原則論としましては、これはやはり鉄道会社のいわば商品でございますので、基本的には鉄道会社の経営判断で設定されるべきものだと思いますけれども、他方で、これはやはり利用者の利便性、あるいは場合によっては観光の振興、こういったいろいろな意味での意義がございますので、その辺をよく各事業者と私どもの間で相談をしながら話を進めていきたいと思っております。

松原委員 こういった上場の場合に一番懸念されるのは、今申し上げた部分の、上場後において、赤字路線がかなりあるわけでありまして、赤字路線が切り捨てられるおそれがあるということについて大変に危惧の念を持つことが多いわけであります。
 鉄道ネットワークを維持するという観点から、このことに対して、この問題に対して、そういったことはないということをどのように担保されるのかをお伺いいたしたいと思います。国土交通大臣とJR九州にお伺いいたします。

太田国務大臣 JR九州は、完全民営化後におきましても、九州の基幹的輸送機関としまして、必要な鉄道ネットワークをしっかり維持する必要がある、このように考えています。
 このため、本法律案におきまして、JR九州が配慮すべき事項としまして、国土交通大臣が、現に営業している鉄道路線の適切な維持について指針を定めるということにしています。その上で、この指針を踏まえた事業運営を確保するため必要があると認めるときは、国が指導、助言、さらには勧告、命令を行う、このようにしております。
 さらに、JR九州の発足時に設けられました三千八百七十七億円の経営安定基金につきましては、鉄道路線維持のための安全投資など、鉄道ネットワークの維持向上に資する資産等に振りかえることとしています。
 これらによって、JR九州の上場が安易な鉄道路線の廃止につながらないようにしていきたいと考えております。

青柳参考人 お答えいたします。
 九州の鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核事業とする当社にとって重要な役割であると認識をしております。
 観光振興や交流人口の拡大を通じた九州全域の活性化により、地域を元気にし、ネットワーク全体の価値向上を図っていくことが、鉄道事業を初めとする全ての事業の持続的な運営に資すると考えております。
 引き続き収入の確保や経費節減に努めることにより、今後もネットワークの維持、活性化に努めていく所存であります。

松原委員 非常にいい答弁をいただいたと思っておりますが、なぜこの質問をさらに深めていきたいかといえば、JR東海であるとかJR東であるとか、従来上場した会社は体力もあったわけでありますが、JR九州の場合は、もちろん、上場するということで、その部分において大丈夫だということでその方向が今打ち出されているわけですが、鉄道事業本体ではまだまだ厳しいものがあるわけでして、さまざまな観点から、JR東やJR東海では起こらなかったような切り捨てというのがJR東や東海に比べたら起こりやすいような経営的な後ろ盾というか、そういう認識も一方にあるものですから、あえて聞いているわけであります。
 そこで、ちょっとお伺いしたいわけでありますが、JR以外の民間の鉄道事業者、この三十年間に第三セクターに移行した路線や廃止となった路線というのはどれぐらいあるか、これをちょっとお伺いいたしたいと思います。

藤田政府参考人 昭和六十年度から平成二十六年度までの三十年間におきまして、JR以外の鉄道事業者の旅客路線、このうち、第三セクターに移行したものが七路線でございます。それから、廃止となったものが五十路線でございます。

松原委員 JR以外の民間鉄道事業者においては、七路線が第三セクター、そして、はるかに多くの路線が廃止になった、このように今聞いたわけでありますが、その具体的な中身をちょっと教えていただきたいと思います。
 その七路線は、どういう形で今存続しているのか。また、残ったところは、それにかわる代替の交通網というのは今はなくなってしまったのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。
 七路線につきましては、引き続き、いわゆる三セク、第三セクターとして現在経営がなされております。
 それから、廃止のケース、これは五十路線、個別にはいろいろなケースがございますけれども、基本的には、例えば代替バスを運行するでありますとか、そういった地域の足の確保をしながら廃止しているといったケースが多いものと認識をしております。

松原委員 要するに、民間事業者の部分においては五十の路線が廃止をされてしまったということであります。
 私は、ここは鉄道局の範疇を超えるのかもしれませんが、こうしたところがどれぐらいのダメージを受けるかということを考えたときに、そのダメージをトータルで考えて、それと比較して、あえて採算が若干とれなくても頑張るということは一つの考え方としてあろうかと思っておりますが、今、そういったお話がありましたので、これに関してはここまでにしておきたいと思います。
 こういった民間事業者が鉄道を廃止する場合、また第三セクターに移行する場合、このことに関しては、国土交通省は、民間事業者が路線を廃止する場合や三セクに移る場合には関与をどのような形でしてこられたのか、このことについてお伺いいたします。

藤田政府参考人 鉄道路線の廃止について申し上げますと、まず手続でございますけれども、鉄道事業法に基づきまして、廃止予定の一年前までに国土交通大臣に届け出るということになっております。
 その届け出があった場合に、国土交通大臣は、廃止を行った場合の公衆の利便の確保に関しまして、関係地方公共団体、利害関係人の意見を聴取するということになっております。
 それから、関係地方公共団体の申し出があった場合には、代替交通機関の確保等に関する関係者間の調整を行うために、地方運輸局の主催で地元協議会を開催するということになっております。現にこういった形で地元協議会を開催し、代替交通機関の確保を図っているという事例がございます。
 それから、第三セクター化に関しましては、交通機関そのものがなくなるわけではございません。ただ、営業主体が変わるという意味で、所定の鉄道事業法の手続をとっていただくということになります。

松原委員 これは極めて重要なことだと思うので、やはり、特に国土交通省の立場としては、きょうはJR九州のことが議論になっておりますが、鉄道事業者が鉄道事業から撤退する、廃止をするということは、地域にとってはある種極めて致命的なことになることもあるわけでありますので、この部分に関しては、今局長がおっしゃったような意味において、きちっと対応し、代替交通機関をつくるということも含め検討を続けていっていただきたいというふうに思っております。
 その中で、今回JR九州が上場する。先ほどの御答弁にも重複するわけでありますが、JR九州が上場する場合、当然新しい株主がたくさん参加をするわけであります。株主側の考え方としては、利益を最大化したいというふうに考えるのは、これはもう当たり前のことであります。利益を最大化するとなれば、赤字を切り捨てろというのは、株主側からすればもう当然の理屈として出てくる。
 株主に対して、この会社はこういう条件だからというのをあらかじめ、どこまで告知するのか、できるのかというのは私はわかりませんが、株主からはそういった認識が出てくる。
 逆に、それに対して国の方は、赤字路線は、廃止といってもそんな簡単にはいきませんよ、ミッシングリンクの問題もこれあるし、やはり地域の人の利便性もあるということで、先ほど大臣が言ったような指針の議論がある。
 株主のそういった強い要望が将来上がったときに、それとこの大臣指針とは具体的にどういうふうに折り合いをつけるのか、このことは極めて難しい議論になってくると思います。当然、海外の方々が株主として会社に参加するということもあるわけでありますので、このことについて大臣及びJR九州にお伺いいたしたいと思います。

太田国務大臣 まず、松原先生から指摘のありましたように、私たちとしましては、完全民営化後においても鉄道路線の適切な維持に努めるという指針の考え方を株主に対して十分に説明していただきたいというふうに思っています。
 なお、この指針におきましては、そうした適切な維持に努めると同時に、路線の廃止ということについては次のような要件を課すことを想定しています。国鉄改革の実施後の事情の変化によって当該路線を廃止することが妥当であると認めるに足る事情があること、そのような事情の変化について地元関係者に対して十分な説明責任を果たすこと、こうしたことを要件として課すことも想定しているところです。
 仮に、株主からの意見などによりJR九州が路線を廃止しようとする場合には、国としましては、この指針に照らして、必要な指導、助言及び勧告、命令を行うことにしております。

青柳参考人 JR九州につきましても、上場後も鉄道路線の適切な維持に努めるよう、JR本州三社と同様に、ただいま大臣からもありましたように指針が定められるというふうに伺っております。
 当社といたしましても、この指針に沿って対応してまいると同時に、ただいまお言葉がありましたように、指針があることを株主に対してもきちっと説明をしてまいりたいというふうに思っております。
 以上です。

松原委員 ちょっと細かい議論なんですが、株主に対して説明をすると。具体的に、どのようなタイミングでどう説明するのか、今その構想があればお伺いしたい。

青柳参考人 これから上場に向けてまだ時間があるということでありますので、この法案が成立後、我々、会社として、こういった指針を持った会社であるということはきちっと申し述べてまいりたいというふうに考えております。

松原委員 それから、JR九州が上場後、廃止をする、もしくは第三セクターに移行する区間というのは、今後は基本的にはないというふうに思っていいのか、いや、それはありますよというふうなことなのか、そこも、この段階で御答弁できる範囲でお伺いしたいと思います。

青柳参考人 先ほども申し上げましたように、九州の鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核とするJR九州にとりまして重要な役割であるということで認識しております。
 引き続き収入の確保や経費節減に努めることにより、今後もネットワークの維持、活性化に努めていく所存であり、第三セクターへの移行を検討している区間はございません。

松原委員 極めて重要な御答弁をいただいたと思います。
 その上で、JR九州発足後、第三セクターに移行した肥薩おれんじ鉄道がありますね。これがどのように地域の方に御評価をいただいているのか、あわせて、もし数字があればですが、従来と比べてこの路線の運行状況は今どのようになっているのか。ダイヤがどれぐらい減ったかとか、そういう議論であります。そして、利用客の増減というものも、もしわかれば、どういうふうになったかということをちょっとお伺いいたしたいと思っております。

藤田政府参考人 肥薩おれんじ鉄道でございますけれども、平成十六年三月に経営分離をされております。経営分離後、地域の輸送を担う重要な輸送機関として機能しているものと認識をしております。
 輸送の実績でございますが、手元に今、旅客輸送量の数字がございますので、その点でお答えさせていただきますけれども、経営分離前、これは当時鹿児島本線が通っておりましたので今とは機能も違うわけでありますが、経営分離前の平成十二年度の八代―川内間の輸送量と、分離後の十六年度の輸送量を比べますと、約八割の減少となっております。これは、例えば特急列車が新幹線に移行してこの在来線を走らなくなった、こういった要因が大きいものと思っております。
 それから、肥薩おれんじ鉄道の開業後について見ますと、十六年度から二十五年度を比べますと、約二割減少しているという実態でございます。

松原委員 これは自然の動向でそうなったのか、人為的なことが大きいのかわかりませんが、このように減少しているわけであって、この辺もぜひ、国土交通省だけではなくて、地域活性化という観点から他省庁とも連携をして、このことの意図や意味をまた解析をしていただきたいというふうに思っております。
 JR九州にお伺いしますが、この肥薩おれんじ鉄道に関しては、第三セクターに移っているわけですが、今どのような評価を会社の中ではしているのか、地域からどういう評価を受けていると認識しているか、お伺いいたします。

青柳参考人 当社におきましては、肥薩おれんじ鉄道が開業した平成十六年度より十年間、八十九名の出向者を派遣するとともに、出向者に対する肥薩おれんじ鉄道側の負担金を大幅に引き下げる支援を行ってまいりました。
 平成二十六年度以降の支援につきましては、熊本県、鹿児島県、肥薩おれんじ鉄道と当社の四者で新たな支援の枠組みをつくり、協定書を作成したところであります。肥薩おれんじ鉄道へ引き続き要員派遣を継続するとともに、その人件費負担についても軽減措置を図っております。さらに、営業協力といたしまして、共同企画切符の販売や、肥薩おれんじ鉄道が運行する観光列車「おれんじ食堂」の宣伝協力や、座席指定券の発売などを実施しておるところであります。
 肥薩おれんじ鉄道も、当社と同様、厳しい経営環境の中、地域住民の足として重要な役割を担うためにさまざまな尽力をされているものと認識しております。当社といたしましても、上場後も引き続き協定書に沿って支援を行っていきたいと考えております。

松原委員 上場ということでありますが、JR会社法に絡む鉄道の中で、さらにまだ今後、JR北海道やJR四国、JR貨物というものが将来それを目指して今また努力をし、汗をかいているというふうに認識をいたしております。
 JR貨物にお伺いしたいわけでありますが、今回はJR九州の上場でありますが、JR貨物は上場に向けて今どのような活動をしているのか、また、目標、見通し等、さらには具体的に今講じられている施策等をお伺いいたしたいと思います。

田村参考人 JR貨物につきましては、国鉄の分割・民営化で発足しておるわけでございますが、一連の閣議決定におきまして、経営基盤の確立等条件が整い次第、完全民営化するということで一括整理されております。
 弊社では、完全民営化に向けた足がかりといたしまして、平成三十年度における経営の自立達成を目指したいわば長期的な経営自立計画を平成二十三年度に策定いたしまして、現在取り組んでおるところでございます。
 その中で、現在、中期経営計画、三年単位でございますけれども、中期経営計画二〇一六を作成しておるところでございます。
 この中期計画に基づきまして経営改革を推進中でございますけれども、弊社の経営成績は景気動向とか災害の影響を極めて受けやすいという傾向がございますけれども、鉄道事業部門がまだ営業損益レベルでは赤字でございますので、この鉄道事業の部門を黒字化するというのがこの中期計画の柱でございます。これが最大の経営課題でございます。それを必達目標として、平成二十八年度に鉄道事業部門黒字化を掲げて、その実現に向けて役員、社員一丸となって取り組んでいるところでございます。
 初年度を終えたばかりでございますけれども、さまざまな外的な要因がございましたけれども、着実に足場を固めているという評価をいたしております。
 全般的に申し上げますと、トラックドライバー不足の傾向は構造的な問題として続くというふうに考えておりまして、いわゆるモーダルシフトの動きもずっと顕在化してきております。それに向けて、私ども、機敏にお客様へのセールスとかコストダウンに取り組みまして、この目標を達成いたしたい。そのさらに先に、平成三十年度における経営の自立化を達成していきたい、こういうふうに考えております。

松原委員 いずれにしても、この民営化というのは、言ってみれば、昔の表現で言いますと親方日の丸と言われていた体質から脱却をし、競争原理を一方で入れながら切磋琢磨する、民間企業のように、これが原点だと思っておりますので、そのことはぜひ、もちろん、今回JR九州ということでありますが、残るJR会社法を所管する各JR会社にもお願いをしたいと思っております。
 次に、やはりこういった巨大な地域においてネットワークの中心にある存在が、さまざまな部分に、まさに自己判断で上場すれば活動を広げることができる、こういうことになるわけであります。従来は大臣の許可が必要であったものも、一定、自社自発的にどんどんできるようになる。そうなると一番心配なのが、関連事業を展開した場合に、それが特に商店を中心とした地域の地場商店街といった方がいいですかね、そういったものに対して明らかに比較優位の状況で話が始まるわけであります。
 私の友人である中山義活前衆議院議員が上野を中心にやっていましたが、やはり上野駅の駅中と駅外では全然場所の違いといいますか場所のメリットが違いますから差がついてしまう、随分そういったことを最初言って、そのことに対してJR東も随分とまたさまざま対応をしていただいたのだろうというふうに思っておりますが、JR九州が株式を上場する、そのメリットとして具体的に社長はどういうメリットがあると考えておられるのかが一点。そして、その上で、こういった中小企業圧迫のおそれに関して、どのようにウイン・ウインの関係をそういった中小企業とつくろうとしているのか、お伺いいたしたいと思います。

青柳参考人 ただいま御質問がありました中小企業への配慮ということでありますが、本案が成立するならば、当社はみずからの責任と判断に基づいて経営を行うことになります。
 具体的には、新しい関連事業を始める場合や金融機関から長期に借入金を借り入れる場合などに国の認可を受ける必要がなくなったというわけでありますので、機動的な投資判断や資金調達を行うことが可能になるということになるわけであります。
 これまでJR九州におきましても、JR会社法の十条に規定されております中小企業への配慮につきまして、中小企業との協力をしながら事業を展開してまいったわけであります。例えば、当社駅ビルへの地元企業の出店や駅ビル開業に伴う地元雇用の創出等を実現しているほか、地元自治体や駅周辺の企業、商店連合会が主体となったまちづくり推進事業等に参加しまして、連携しながら町全体の活性化の推進を進めております。
 当社といたしましても、上場後もこれまでと同様に、地元の中小企業に配慮しながら関連事業を展開し、九州地域の活性化に貢献してまいりたいと思っております。

松原委員 きょう冒頭申し上げたように、日本は地震大国でありまして、さまざまな地震が発生をしているわけでありますが、防災ということに関して、もちろん従来からもこれをずっとやってきた。それは、特にまた国土交通省との関係も含めてやってきたわけでありますが、独立した後の防災に関して、JR九州は上場後しっかりと取り組むということだろうと思いますが、その具体的な進め方というものをお伺いしたいと思います。

青柳参考人 JR九州は、発足以来、台風等の災害の多い九州において、毎年のように被災をしておりますが、その都度、社員一丸となり復旧を果たすとともに、線路への土砂流入を防ぐためののり面工事など、災害を未然に防ぐために必要な対策をこれまでも実施してまいりました。
 九州の鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核とする当社にとって重要な役割であるということは再三申し上げておりますが、上場によりその役割が変わるものではないと考えております。
 当社といたしましても、上場後も鉄道ネットワークを維持していくためにも、引き続き防災の取り組みを着実に進めてまいる所存であります。

松原委員 今ずっと議論して、御答弁いただいたように進めば、それは廃線もない、第三セクターも想定していないということでありますから、地域の足が奪われることもなく、そして民間企業としての厳しさの中でやっていけるのかなというふうに期待をしたいところであります。
 ただ、全体のJR各社の企業規模や業績というものを北海道から始まってずっと見ていくわけであります。そういたしますと、これは大臣、やはり大きいところもあれば、小さいところもある。体力があるところもあれば、体力のないところもある。体力がないところというのは、いろいろな意味で、いい意味での節約ではなく、十分に必要なところに必要な手配ができないような節約も、私はやはり起こり得るんだと思うんですよね。
 そういった意味では、私は、さまざまなJR各社、その大きさ、小ささという中において、先ほどJR貨物は平成三十年で一つのめど、区切りをつけてその後の上場の可能性を示唆しているわけだし、他のところも上場を目指して努力をしていく、汗をかいていくということになろうかと思いますが、やはりおのずから、どう考えても、一つの限界があるような気もしているわけであります。
 ですから、哲学として、企業を、会社経営といいますか、上場してやらせるという、そのことは私は一つの方向性として正しいと思っておりますが、余りにも体力が違う各JRの中において、何らかの標準化といいますか、やはりでこぼこがある中で、何らかの配慮といいますか、そういったものが何かどこかであるのが、むしろ国全体として見たら妥当なのではないかという気がしてならないわけであります。
 例えば税金でも、やはり税金がたくさん集まるところから、なかなか税金が集まらないけれどもさまざまな福祉が必要なところにお金が回っていくというのも、実際、国の中でそういった実態があるわけですから、その意味では、JRのそれぞれの会社の中において、何らかのそういったものを、会社になってしまったから今さらできないと言われればそうかもしれませんが、国土交通省の指導のもとで何らかそういった標準化というものができないのか、お伺いしたいと思っております。

太田国務大臣 それぞれの会社が民営化という方針が出ているんですけれども、なかなかばらつきというか、環境が物すごく違っているということは事実だと思います。
 そこで、六十二年の国鉄改革は、旅客鉄道事業を地域ごとに分割して各社の経営責任を明確にするということによって、経営の効率化を図って鉄道事業の再生を目指すという基本的な考え方のもとで行われて、このため、JR各社はそれぞれ独立した会社として健全かつ自立的な事業運営に取り組んでいただくことがまず必要だというふうに考えています。
 そうした考え方に基づきまして、これまで、三島、貨物会社に対しまして、それぞれの経営状況に応じて、経営自立を支援するために、実質的な経営安定基金の積み増しや、車両や軌道を初めとするそうした設備投資への支援を行ってきたところでございます。
 JR北海道、JR四国及びJR貨物につきまして、経営自立を達成できるように、引き続いて必要に応じて支援を行ってまいりたいという考え方、これが基本でございます。互いに収益調整をするかどうかというようなことは現在のところは考えておりませんで、それぞれ非常に厳しい状況を強いられているというふうに思いますけれども、それぞれの必要に応じて経営自立を達成できるように支援を行っていくというのが基本的な考え方でございます。

松原委員 当然、会社になっているわけですから、それはそうだと思います。
 ただ、もともとの根っこを考えると、全国一律でスタートしてやってきて、当然、最初の段階で見通しというのはあったんだろうと思いますが、これはもう初めからわかっていたことかもしれないし、途中から明らかになったことかもしれませんが、明らかにこのでこぼこというのは極めて強烈でありまして、もうかるところはもうかる、もうからないところはなかなか厳しい。私としては、そこはやはり、国土交通省のリーダーシップをもって、一定のことは将来的には検討していただきたいというふうに思っているところであります。
 いずれにしても、JR九州が上場するということで、また、そのことがある種の九州経済の弾みとなる、そして地域の活性化につながることを強くきょうは念じながら、私の質問といたします。
 以上で終わります。ありがとうございます。


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