南の島の夜明けは遅い。
ベットの中でジッとしていられなくなった。
妻と子供が起きないように、静かに部屋を出る。
まだ暗い中を、石垣公設市場へ向かう。
昼間は観光客で賑わう場所も、まだ誰もいない。
旅も最終日。
昼には飛行機に乗る。
帰りたくない。
市場を通り抜け、宮良殿内へ。
夜明け前のこの時間に見る、古い建物は訴えかける何かがある。
その先にあるのは『池原酒造』。
八重山の人でも好き嫌いが分かれると言う
独特な味がする泡盛、『白百合』そして『赤馬』。
私は、その味に惹かれてしまった。
海に出る。
もうすぐ夜が明ける。
空港まで向かうタクシー。
ドライバーが言った。
「『八重山病』って知ってる?」
この病に罹ると、
八重山諸島が好きになってしまい、
年に何回も訪れるようになって、
最後には八重山諸島に住み着いてしまうという恐ろしい病らしい。
「暮れに乗せたお客さんは、今年は14回、石垣島に来たってサ」
私が帰りたくないと思ったのは、
どうやら、八重山病の初期症状になってしまったかもしれない。
楽しかった4日間。
思い起こして観光雑誌を見れば、
行きそびれた場所もたくさんある。
食べそびれたモノもたくさんある。
『石垣島ラー油』も手に入れていないし、
幻の泡盛、『泡波』も飲んでもいない。
また来よう。
その時は、娘が行きたいと言った場所にも行こう。
ふと、そう思った旅だった。
・・・よし、
また来年訪れるぞ!
