裏付けをとることの大切さ | 弁護士松岡邦佳のブログ

裏付けをとることの大切さ

こんにちは。

私も50台になり昔に比べだいぶ記憶力も衰えてきたと感じる今日この頃です。

 

弁護士をしていると当事者双方の主張が全く違うことが良くあります。

たとえば、AがBに対し100万円貸したのに返してくれないという相談があります。

それに対し、Bは「100万円借りていない」とか「100万円借りたけれとすでに返した」と主張しているケースです。

この場合Aから相談を受けた弁護士はどうするのでしょうか。

100万円借りたのに返さないなんてけしからんとすぐに相手方に請求する方もおられるかもしれません。

 

私の場合まず、Aさんに100万円を貸した証拠があるかないかを確認します。たとえば、借用書はありませんかとか、相手にお金を渡した領収書はありませんか、お金を振り込んでいれば振込票はありませんかとか、100万円を貸すために口座から100万円を引き出している場合には通帳を見せてもらったりします。

そうしたうえで仮に裁判になったとしても100万円を貸したことはAさんに立証責任がありますので裁判を起こしても勝訴判決が出るのか裏付けを取りながら進めていきます。

 

そうしないと、相手から借りていないと言われた段階で何も取るべき手段がなくなってしまうからです。(弁護士費用をお支払いいただいたにも関わらず弁護士としてできることは相手に手紙を出すだけになってしまいます)

同じように離婚の場合にはまず戸籍謄本を確認しますし、相続の場合には相続人調査をして裏付けを取ってから、相手に手紙や請求をすることになります。

 

容易に裏付けが取れる重要な事項について裏付けを取らずに相手方に手紙を出すと無用なトラブルに発展してしまいます。(先の例でいうとBさんはお金を借りてもいないのに突然弁護士から100万円返せという内容証明郵便が届いてしまいます。Bさんの立場に立てばトラブルに発展する可能性があることはわかっていただけると思います)

このような観点(また、裁判所に主張を認めてもらう観点)から弁護士は相談者の主張の裏付けをとることが必要となってくるのです。