相続対策④(分けられる財産と分けられない財産) | 弁護士松岡邦佳のブログ

相続対策④(分けられる財産と分けられない財産)

自分が亡くなった後の相続対策としてこれまで、①法定相続人と相続割合②財産目録の重要性について述べてきました。

今回は分けることができる財産と分けることのできない(事実上分けられないものを含む)財産を考える重要性を書きます。

 

分けることができる財産は例えば現金・預貯金・経営に関与していない他社株、投資信託など、財産の評価がほとんど一義的に定まりかつ分割することが容易な財産のことを言います。例えば1000万円の現金を子供4人で分けるのであれば1000万円÷4=250万円ずつ分けることはそれほど難しいことではありません(1円単位の端数の問題がありますが、1円のために弁護士をつけて争うことはあまりないかと思います)株式や投資信託も価値がはっきりしており、分割することは比較的に容易です(上の例でいえば100株÷4=25株ずつ分ける、とか現金化して分けるとか)

 

問題は(事実上も含む)分けることが難しい財産、例えば不動産(特に収益不動産)、経営している会社の株式、車、骨とう品など、財産の評価が問題となったり、そもそも分割できない財産がある場合は注意が必要です。不動産の評価は人や不動産会社によってもまちまちです。経営する会社の株式も評価は出ますが、利益の出ている会社の株式はみんな欲しがりますし、分けると会社の意思決定が困難になる場合があります。骨董品は評価が難しくしかも割ってわけることができません。

また、会社を経営している場合、自分の死亡後誰に会社を継がせるのかということも考えておかなければなりません

 

誰がどのように財産を取得するかは法律上は法定相続人と相続割合だけしか規定されていません。

したがって、(事実上も含む)分けることが困難な財産が多くなれば多くなるほど、相続争いが発生する可能性が高くなり、亡くなる前の相続対策が重要になってくるのです。