産業再生機構の支援で再建中のカネボウは31日、05年3月期連結決算を発表した。事業譲渡などリストラを進め、売上高は前期比41.1%減の2685億円だった。本業のもうけを示す営業利益は、シャンプーなど日用品や薬品、食品の主力3事業が堅調で16億円の営業黒字に転換した。最終(当期)利益は化粧品事業の営業譲渡益など特別利益の計上で3149億円の黒字を確保した。最終黒字は6年ぶり。

 有利子負債も同5434億円減らし、残高は579億円になり、債務超過を解消した。ただ、今後もリストラを続けるため、06年3月期は売上高は1400億円に減る見通し。営業黒字20億円を見込むものの経常損益は35億円の赤字、最終利益もゼロを見込む。

 カネボウは旧経営陣による粉飾決算で、6月13日の東証上場廃止が決まっている。上場廃止の企業が再上場する場合、再生機構の支援企業は利益面で審査基準を緩和する特例措置があり、最短で06年度中の再上場も見込まれていた。しかし、06年3月期が経常赤字の見通しのため、早期の再上場は極めて難しくなった。

 中嶋章義会長は「上場廃止が決まり、株主には大変ご迷惑をおかけした。これからも事業価値の向上に専心したい」と語り、3事業に注力する考えを強調した。3事業は堅調で、いずれも05年3月期では営業黒字を確保した。

 本体から分離したカネボウ化粧品は、5月18日に05年1~3月の四半期連結決算を発表した。営業権などの償却費を控除する前の営業利益(償却前営業利益)は再生計画を6億円上回る36億円の黒字だった。欧州の売り上げが好調だったという。

 中国向け輸出は、中国の製薬大手の三九企業集団の販売ルートのドラッグストアを使った供給を予定する。また、国内向けは、肌荒れに効く新成分を含むクリームなど新製品の発売を秋に計画している。だが、化粧品や日用品は価格競争が激しく、利幅も限られている。本体の上場廃止で資金繰りが厳しくなることも予想され、スポンサー選びを含む再建策は予断を許さない状況が続きそうだ