東欧10カ国が昨年5月1日に欧州連合(EU)に加盟して1年がたつ。この地域への海外からの投資は、インフラが整備されたチェコ、ハンガリーが低賃金と低税率で先行したが、最近、ポーランドへの投資が目立ってきた。日本勢はトヨタなど自動車・電機を中心に進出しているが、このところ、欧米のIT(情報技術)企業が増えてきた。現地で現状を探った。

 ポーランドの古都・クラクフ郊外に、米モトローラのソフト開発研究所がある。最先端の携帯電話や無線電話を開発しており、ドゥビック所長は「人材は優秀で、給与も抑えられる。開発費は米国の3分の1」と強調する。海外の問い合わせに24時間応じる欧州のサービス拠点で、技術者を06年度に今の倍の1000人にするという。同社は「インドに次ぐ世界2番目の拠点」と位置付ける。

 ポーランドには、米インテルと欧州系のエリクソンも進出している。インテルはグダニスクにネットワークの開発拠点を設立した。カズバ・ポーランド情報外国投資庁副長官はIT企業進出の背景を「労働生産性が高い」と説明する。ポーランド工科大のジャブロニスキィ教授は「三菱グループなど多くの日本企業とも共同研究を実施している」とアピールする。

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 一方、ポーランドに進出している日系企業は自動車・電機を中心に130社に上る。

 チェコ国境から20キロのワウブジフにあるトヨタ自動車ポーランド工場は、1月にエンジンの生産を始めた。エンジンはチェコにあるプジョー・シトロエンとの合弁工場に運び、欧州向け小型乗用車「アイゴ」に載せる。今は年8万基の生産体制だが、年内に25万基体制に強化する。

 ポーランド国内のトヨタ車の販売台数は1月、欧州メーカーを抜き、初めて1位となった。人員も今の1100人から年末に1800人に増やす。06年度に単年度黒字になる見通しだ。同工場の井上洋一副社長は「日本の7分の1の労働コストで、欠勤率も2%だ。今後、管理職も現地スタッフに任せる予定」と強調する。

 ポーランドはEU加盟で他国との物流が円滑になったが、道路などインフラ整備は遅れている。年内にはクラクフとベルリンを結ぶ高速道路が開通する予定だ。海外からの投資手続きは簡素化されたが、まだ、政策の意思決定がチェコなどに比べ時間がかかるのが課題という。

 ポルカ大統領顧問は、「チェコやハンガリーはここ数年、積極的に海外企業を誘致してきた。ポーランドは先端技術を中心に投資を呼べるよう努力している」と話す。



著者: ウワディスワフ シュピルマン, Wladyslaw Szpilman, 佐藤 泰一
タイトル: ザ・ピアニスト―廃墟ワルシャワからの奇跡の生還
著者: ウワディスワフ シュピルマン, Wladyslaw Szpilman, 佐藤 泰一
タイトル: 戦場のピアニスト