ダン ブラウンの書いたThe Lost Symbolについて書くのは、今回で二回目です。650頁のペーパーバックで、280頁ほど読みました。この小説は、読んでいて面白いです。面白いのですが、どこまでが本当で、どこからがフィクションなのかが、ハッキリわからないところが、作者の博識なところ、小説作法の技と言うことでしょうか?
一回目で、米国ワシントンの議事堂の丸屋根の天井に、ジョージワシントンが神様になる様子を描いたフレスコがある、という説明があるのですが、ウィキで調べたところ、その通りのことが説明されていました。
物語は、フリーメーションの秘密のピラミッドを巡って繰り広げられます。主人公は、Langdon という名前で、記号学の専門家で大学の先生です。記号学と言っても、記号論理ではなくって、歴史上に現れる神話がらみの記号に関する薀蓄を持った専門家ということになっています。こういうことを専門にしている人が、アメリカの大学にいるのかどうか、存じません。
問題は、このピラミッドに刻まれている文字に秘密が隠されていて、膨大なパワーをもたらすと言って、それを盗み取ろうとする悪者が一方に居ますが、もう一方にはCIAが居てこれが正義の味方かと言いますと、今のところはどうも違うみたいで、その秘密は国家にとって重大事件なので、悪者と同じようにピラミッドを我モノにし、かつLangdon先生に暗号解読をさせようとかかっています。このCIAの部長ってのは、日系アメリカ人で、名前が Inoue Sato という名前だ、とのことで、最初偉い違和感がありました。
でLangdonは、両方から狙われていて、ピンチになった時には、フリーメーソンつながりで助けられます。専門が専門ですから、フリーメーソンのことは、詳しいのですが、Langdonは基本的には学者ですから、信じているわけではないようです。
この話の基本は、このピラミッドに関する事柄ですが、横糸の一部として、Institute of Neotic Science, Invisible College, ってのが出てきます。小説の冒頭に、実在する組織である、との断り書きがあります。当然、ウィキペディアで調べたわけですが、日本語では出てきません。
Neotic Science と言うのは、意識を実際に物理現象に還元させる ということらしいのですが、いわゆるオカルト とは違うのか違わないのか、小説の中でははっきりわかりません。Langdon教授のフリーメーソンである親友の妹が、このNeotic Scienceの研究者なんですね。
国会議事堂の地下室に秘密の部屋があって、ここがフリーメーションの瞑想用にしつらえてありまして、秘密のピラミッドが隠されていた、と言うのは、本当にあり得ることなのかどうか? この部屋には、髑髏、X字型の骨、ろうそく、塩、硫黄、のセットがあったと書いてあります。フリーメーソンは、秘密結社ではなさそうですが、アメリカ大統領にはいたそうですよ。
ダンテの神曲(天国編、煉獄編、地獄編)も引用されていて、格調が高いんだか、大したことはないのか、よくわからない印象です。
犯罪小説ではないですね。悪漢と常識波が戦う、というまー冒険小説ですかね。贔屓にしているPD James 、 Colin Dexter等の刑事物語も、この小説と同様、何の役にも立ちません。
こちらは米国式英語で、Colin Dexterは英国英語です。やはり、英国の小説の方が、状況説明にはリアリティがありますし、手の込んだ表現が多い。たとえば、acid-faced spinsters with fifty -sixty summers 等と言う表現は、Dan Brown には、出てきません。