これも、友人U子の孫娘、N子の話だ。
だだし、体験させられたのは、今度は彼女の娘、N子の母親であるK子だ。
ある休日のこと。N子が父親と出かけることになった。
K子は家の掃除をしたかったため、家に残ることにした。
N子の支度を終わらせ、父親が先に車の準備をするのでN子を玄関で待たせていた。
K子がかたずけを始めると、ほどなく玄関から「うわーん」と、N子の泣き声が聞こえてきた。何かあったのかと慌てて玄関まで行くと、玄関わきの洗面所を指さしながらこう言った。
「おじちゃんが、おじちゃんが...こわいよぉ。」
K子は、本当にその「おじちゃん」が洗面所にいるのかと思い、おそるおそる洗面所を確認したが、もちろん誰もいなかった。
泣きやんだN子に、
「どんなおじちゃんだった?知らないおじちゃん?」
と聞いても、要領を得ない答えが返ってくるばかりだった。
「当分、洗面所に行くの、怖かったわ。」とK子は言っていたが、そのあとも、また別の場所で、怖い思いをすることになる。
今度は、U子とK子、親子そろって体験させられた話だ。
アンティークの食器や陶器を集めることがU子の趣味であることは前述の通りだが、彼女はインテリア全般に興味があるため、家具屋にもよく出かける。
その日は娘のK子を誘って、行きつけの家具屋に行くことにした。
手作りの家具も作成している、小さいながらもセンスのいい家具屋。
その地域は、古くから家具作りで有名であり、地域特有の貴重な家具を保存したいという店主の思いから、その家具屋の2階には、古い家具が保管、展示されている。
アンティーク好きのU子は、この店に来ると必ず二階のアンティーク家具も見るようにしている。
その日も、K子とN子を連れ立って、二階へ行こうとした。
ところがN子が、母親のK子にぎゅっと抱きついて、二階に上がることを嫌がった。
大丈夫よ、となだめながら二階に上がろうとすると、ついに泣き出した。
その様子を見ていた店主が、
「あの、たまにいらっしゃるんです、二階に上がるのを嫌がる方。古い家具ばかり置いてますから...いろいろと、感じる方も...いらっしゃるんですかね。」
「様々な事情で、手放さなければならなくなった家具もあると思うのね。
嫁入り道具だったりとかさ。現代の私たちの家具に対する思いと、ちょっと違うというか。
職人さんとかさ、色んな人の思いが入ってるというか。」
U子は、それ以来自分のところにたどり着いたアンティークをそれまで以上に丁重に扱うようにしている、と言った。
