とっても面白かった本のご紹介です。



タイトル通り、不動産をメインで扱う内容なのですが、、著者の自伝や著者の考える経営の本質とは何かを綴る内容にもなっていますので、不動産投資のための本ではございません。



よって、不動産関係の本で流行りの、不動産のキャッシュフローとかルールやテクニックについて知るため、疑似体験するための本とは、ちょっと別のものになります。



ただ、著者の方の不動産再生の経歴は、本当に素晴らしいの一言につきますし、その根底にある考え方と発想こそが、非常に大事なのかなと思います。通常の不動産投資本とは別の角度から不動産の有効活用とは何か?をきずかせてくれる本じゃないかなと思います。



本の中で、グローカルという造語も初めて知りました。田舎の地域でも世界から大絶賛の評価を受ける不動産を作る事が出来るという、お手本見たいなことをやってのけた人です。



出てくるアセットは、観光用地やホテル、土産物屋等、普通のアセットとは違うものになりますが、不動産について、大きな流れの中で捉えて、時間や歴史を物語る力、人と人とのかかわりあいから、再生へのサクセスストーリーを紡ぎだす力やその見つけ方や捉え方には、学ぶ所は多々あるかと思います。



著者の自伝や経営についての考え方には、興味ないという方もいるかと思います。



ただ、著者の方は、相続問題で家族断絶、30前半で難病にかかり死にそうになったり、離婚したり、実家のビジネスが傾いたり、と決して順風満帆な人生を歩んでいるわけではないです。ある意味、本当にどん底を経験して、掴んだ信念の強さみたいなものを、強く読んでて感じました。



印象的な内容として、語られていたことに悪夢とはどういう夢か?という話がありました。



通常ですと、失敗する夢や、だれかに責められる夢、自分の身や大事な家族の身に災難が起きる夢を想像しますよね?もしくは、非現実的ですが、幽霊やお化け等の怖い夢等ですか。私も始めぱっとそういう夢を思いつきました。



でも、悪夢とは、現実が受け入れがたい程つらい時に見る、もう取り戻せない幸せだった頃の夢だそうです。



そんなふうに夢を見て、起きたときに思いつめてしまう程の状態からどうやって立ちなおったかを知るのも一つ得難い学びになるのかなと思います。



またタイトルの、「物語力」という単語を見て、私は初めは、サクセスストーリを語り、如何に、商品に価値があるか見せるための、物事の整理方法&伝え方として、ビジネスの世界ではよく取り上げられる話なのかなーと思いました。



典型な手法が、アフィリエイト等で、不動産投資をお勧めする教材に使われています。どうやって節税したか、どうやって上手く指値をして安く買えたか、どうやって満室にしたか等、自分の持っている資産内容を公開して、成功体験談とともに、ノウハウを売りつける手法です。



著者の言う物語は、単に「儲けた」「勝った」「得をした」ということだけではなく、「感動」や「納得」があるストーリーがあります。全然レベル感が違うわけです。本の中の記述にもありますが、物語を作るためには、上辺の事象だけ、氷山の一角だけを見てはダメということです。



人生や仕事で成功を手に入れるために重要なのは、問題を如何に乗り越えて、そこから何を吸収し、現実に対処するかと著者はいいます。その根底を支える力として、物語を読み解く力、自分から物語を発信する力が大事だと著者は繰り返し述べています。



不動産は「物語力」で再生する/東洋経済新報社
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面白いです。真面目に不動産に関わっている方には、一読お勧めいたします。