親を知らねば

親の仕打ちを怨む事もなく

恋などせねば

裏切ったり背いたり

死別、離別の哀しみを知らず

子を持たねば

愛しい我が子に先立たれ

喪う事の辛さも知らず

飄々と気ままに生きてこれたものを

運命とか宿命とかに振り回され

この道は間違っていなかったかと

立ち止まり振り返り

でも結局は自らが進んで来た人生

サイコロをふったように

あみだくじを引いたように

行き当たりばったりの成り行きか

それとも計算高く賢く選んだのか

そんな違いはあろうとも

其々が突き進んだ人生

修羅の道であったとしても

それは誰でもない自分の責任

もうここまで生きてきたんだから

泣き言も雄叫びも噛み殺し

潔く全うしたい

大切なものは全て手放し

老いて醜い我が身ひとつ

ここに残った

あと少し

もうあと少しだけ

修羅の道は終わりに近い