慌ただしく引っ越した

やっと決心したひとり暮し

見えないNとのふたり暮し


大嫌いなこの季節に

頑張って見つけた

小さなアパート


踏み出したひとり暮し

生まれてくる時は何も持たない

還る時も何も持っては逝けない

だから身軽になろう

大切なものはもう

何もかも喪ったから

ひとりに戻ろう

見えないNと

ひっそり生きよう


窓から見える景色は

緑の田んぼと

ローカル線の線路


Nと乗った古いディーゼル

カーブを曲がる時

鈍いきしみ音を響かせて

2両編成の車体が傾く

あの懐かしい元風景


本当はね

ひとりは寂しい

ひとりは哀しい

でも

もう、ひとりがいい

見えないNと

ふたりだから

これがいい

これでいい

人生最後のひとり暮し

ねぇ。。。。。

Nちゃん