Nちゃん…


貴女がこの世を棄てて

三年が経ちました


たらればと後悔と自責の毎日を

重ねて重ねて

母は三つ歳をとり

何時でも貴女に遇える準備を

今しています


思えば本当に

愚かで未熟で駄目な母親でした

貴女はそれを気付かせる為に

私を選んでくれたのでしょうか


それとも

ガラガラポンのくじ引きみたいに

私の子供に

生まれてしまったのでしょうか

もしそうなら

本当にごめんね

くじ運の悪さに苦笑してるね


私は貴女の面影だけを

いつもいつも追い求め

ある時は空を仰ぎ

ある時は大地に眼を落とし

生きながらえているのです


先逝く者と遺される者

きっと遺される者の方が

罪深く、辛い事なのだと思います

だから私は

辛い方を引き受けました


この荒涼とした世の中に

貴女を置いて先逝くなんて

とても残酷で心残りだったから

私は貴女を先に送りました


出来るなら

そろそろ私も終わりたい

でもね

まだ少しだけ

この世に未練があるのです

やらなければいけない事が

あるのです


喪失感は永遠に埋まらない

寂しさも深まるばかり

罪悪感は死ぬまでついてくる

ただ、悲しみから

少しだけ立ち直るには

諦め上手になる事


母はこの三年間で学びました


いずれにしても

そんなに長くは待たせません

少しずつ、一日ずつ

旅立つ準備は始めています


Nちゃん

あれから三年

夢のように過ぎた年月


だけど

苦しくて辛くって

狂いそうになった年月


今も貴女と生きています

私の傍には貴女が居ます


いえ

貴女だけしか居ません

貴女ひとりしか居ないのです


私は自分らしく

貴女の母らしく

ひっそりと生きていきます


後少しだけ……