正多角形の勉強をしていますので,少し教材研究をしてみたいと思います。普通「正n角形」といったときのnには「自然数」が入ります。普通は「3以上の自然数」になります。しかしそれ以外の数,例えば「分数」などは当てはまらないのでしょうか。何を馬鹿なことを言っているんだ,と言われるかもしれませんがこれが面白いことに存在するのです。
イメージ 1 左の式はよく見かける式だと思います。上は「n角形の内角の和」を表したものです。その値をnで割った下は「正n角形の1つの内角」を表しています。例えば正10角形であればこの式を適用して1つの内角は「144°」になると思います。

イメージ 2 この下の式が「36°」,つまり1つの内角が36°になる正多角形を探してみましょう。この方程式を解いてみるとn=5/2となります。つまり1つの内角が36°になるのは「正5/2角形」ということです。
 確かに計算上はこのようになります。しかしこのときの「図形」はどのような形になっているのでしょうか。このことを正多角形の定義に従って作図してみたいと思います。
イメージ 3 正多角形は辺の長さが等しく,角度も等しいので,まず一本の直線を引き,36°の線をとった後,先の直線と同じ長さにします。次に2本目の直線の端からまた36°をとり,長さが等しくなるようにします。すると5本目の直線の終点が,一本目の直線の始点と重なり,1つの図形が完成します。よく見かける「星形」になっています。実はこれが「正5/2角形」なのです。
 「へー,こんな形なの。」
と言われるだけで終わりそうです。しかしもう少し掘り下げてみると不思議なことが分かってきます。
イメージ 4 実は先の星形は,「円周上に5つの点を等間隔でとり,2点おきにつないでいったとき」にできる形なのです。この2つの数字が分母と分子に来るようになっているのです。例えば「正8/3角形」は「円周上に8つの点を等間隔でとり,3点おきにつないだ形」になっているのです。
 このような形は「星形多角形」と言われているようですが,正n角形の考え方とつながっているのです。数学って本当に不思議なものだと言わざるを得ませんね。