自作小説~「現代忍者にお任せを!」プロローグ | 健康上、趣味は必要ですよ

自作小説~「現代忍者にお任せを!」プロローグ

忍者―それは領主に仕え従い、情報収集、暗殺といった隠密行動を行う者たち。
それは徳川幕府が栄えていた時代の話。
幕府が終わり明治に変わる頃、世の忍たちの役目は終えた。
世は平成、今も尚、現代に生き残る忍者の物語が始まる。


俺は今、レジのカウンターに居る。 
大手コンビニのチェーン店のレジに居る。
店内は誰一人としてお客さんは居ない。
居るのは俺と20歳前後の男で、ここでバイトをしている。
因みに俺は今日からここで働くことになった。
バイトなんて初めてなので、分からないことづくしの俺に、先輩は親切に色々と教えてくれた。きっといい人かも知れない。そんな先輩は、裏で在庫チェックをしている。
「そろそろだな。」
俺はレジカウンターから在庫が置いてある裏の棚に向かって歩き出した。
在庫が置いてる倉庫はペットボトルコーナーの隣にある。
ペットボトルの棚を横目に、倉庫の扉の前に着いた。
扉をそっと開け、部屋の中を覗いた。
ポテチの棚の前で先輩が座って作業しているのが見えた。
部屋に入ってきた俺に気づかずに黙々と何かやっている。
俺は先輩に近づきながら声をかける。
「せんぱ~い、何やってるんすか?」
男は体をビクッと震わせながわ、恐る恐る顔を振り向け、口を開いた。
「な、なんだ。お前かよ。えーと風間・・・仁くんだっけ?何の用だよ。」
「いやねぇ、レジに一人で居るのも心配だったので思わず来ちゃいました。」
「ははは・・・そんなことかよ。驚かせやがってよぉ。ビックリしたじゃねぇか。」
「ほんと驚きましたよ。まさか初日でアタリを引いちゃうんすから。」
「はぁ?何を言ってるんだ?お前」
「依頼人から頼まれましてね。あっ依頼人ってのは、このコンビニのオーナーさんね。その依頼人からですね、日に日に商品が減っている被害についての調査を依頼されたんですよ。監視カメラを確認しても売り場では商品を盗ってる人は居ないし、売り場チェックをしていても問題は無いので、内部の人間じゃないか?ってね。それで調査のためにアルバイトをするフリをして今日から調査を開始したんですが、まさか初日でバイトをやめるとは思いませんでしたよ。」
男は立ち上がり、振り向いた。
「あぁ、そうだよ。俺がやったんだよ。店員になれゃ倉庫から商品は取り放題だしよ。
在庫チェックの紙も細工すりゃあ盗り放題ってわけよ。コレを見られちゃあ、ヤバイんでな、悪いが無かったことにしてもらうぜ。」
と男は殴りかかってきた。
男は右、左と殴りかかってきているが、男の腕は空を切っている。
それは俺が避けているからだ。
「んー仕事の内容は調査だけど、こうも襲われてきちゃあメンドくさいし・・・正当防衛として、少し大人しくして貰いますよ。」
といった瞬間、俺は男に向かって突進した。
突進されて男は倒れ、俺はそのまま男の上に乗った。俺の左腕は男のこめかみを抑え、男の腕は、膝で押さえた。
男は身動きがとれない状態だ。
俺はズボンのポケットからケータイを取り出し電話をかける。
無論、相手はこのコンビニのオーナーにだ。
ベルが一回鳴っただけで、相手の声が聞こえてきた。
「あっ、オーナーさん、仕事終わっちゃいましたよ。暴れだしたんで、今は取り押さえてる状態です。警察についてはオーナーさんから連絡しといてくださいね。僕の正体もバレるとメンドいので。では、オーナーさんが到着するまで、僕はバイト続けておくので。」
と言って通話を終わらせ、ポケットにしまう。
そして別ポケットから細くて透明な紐を取り出した。
男の腕、足を紐で縛り暴れないようにする。
縛り終えてから、男は口を開いた。
「さっきから、依頼とか何か言ってるが、何なんだよお前。」
そう聞かれて俺はこう答えた。
「今の時代も仕事を続けている忍者です。世間からじゃ認知されてない職業ですし、探偵と間違われることもありますが、れっきとした忍者です。」
と自信ありげにこう答えた。
「・・・なんで俺はこんな頭のイカレたやつにやられたんだ。」
と男が呟いたが、聞かなかったことにした。
そして俺はレジへと戻った。
5分後にはオーナーと警察の人たちが駆けつけた。
その間、お客さんは来なかったけど。