カラスの声域と声質は、本来、野太いドラマティック・メゾソプラノにもかかわらず
師事したイダルゴ先生というのが、軽いコロラテューラ・ソプラノ
それ以外教えられないってんで猛特訓
ワーグナー歌える(実際歌った)ドラマティックな声にして、ロッシーニの装飾技法も転がす
驚異のソプラノ歌手、20世紀屈指の歌姫誕生
Maria Callas - Vissi d'arte (Puccini, Tosca)
Maria Callas: Vissi d'arte (1958) (埋め込み不可のため文字リンクのみ)
フランコ・ゼフィレッリは、1964年、英国ロイヤルオペラの♪トスカ演出の際
「トスカは、悪人スカルピアを愛する可能性を封じるため、彼を刺した」という解釈を示しました
正直な話、「女をわかってないね」
トスカというのは、美声を認められた羊飼いであり、根はごくごく純朴な娘
恋人カヴァラドッシの描く肖像画のご婦人に嫉妬する、何とも単細胞
亭主が浮気しようものなら、狂言騒動起こして周囲を振り回す嫁タイプ
言い換えれば、貞操観念シッカリした古風な女性
他の男に目をくれるなど聖母様から怒られちゃうと震えるはず
歌に生き、恋に生き、決して悪いことはしませんでした。
哀れな人たちと知れば、手を差しのべて助けました。
いつも心からの信心を込めた私の祈りは祭壇に昇り、
いつも私は心からの信心を込めて祭壇に花を捧げました。
この苦しみの時において、主よ、なぜ私にこんな報いをお与えになるのですか?
私は聖母様のマントに宝石を捧げ、星々に歌を捧げれば、
星々は天上で一層美しく微笑みかけてくれたのです。
なぜ・・・ なぜ、主よ・・・! 私にこんな報いをお与えになるのですか?
( 参考文献: 名作オペラブックス4 プッチーニ ‘トスカ’ )
注:歌に生き、愛に生き
一般には「歌に生き、恋に生き」で知られているが、
トスカは「私は歌に生き、神へのamoreに生きてきたのです。」と歌うので、
ここでのamoreは「愛」と訳すのが妥当である。
(amoreを「恋」と訳すと「神への『恋』に生きる」になり、間違いである。)
( Wikipedia:『トスカ』より引用 )
♪歌に生き、愛に生き
ここで歌われる『愛』、神への信仰という意味ですよ
おっさんイタリア人のくせに、キリスト教の知識あらへんのかい?
主演のカラスが、JFK未亡人へと走った海運王オナシスから捨てられた
オナシスには、ジャッキー・ケネディが求めた財力と暗殺の恐怖からの保護する力
一方ジャッキーには、オナシスが渇望した真の上流人種たる高い社会的地位
利害関係が一致しており、悪い組み合わせでないに加え
カラス自身、イタリア田舎紳士である爺さん亭主からの出奔歴があるものの
(イタリアでは1970年まで離婚が認められなかったも一因ながら)
カラスが懐妊を告げたら、オナシスは冷酷にも堕胎を命じ、女性の誇りを傷つけた
その愛憎劇が念頭にあったみたいですが…
声の調子は、1958年が断然良い。1964年には、もうガタガタに近い
しかしながら、役を血肉化させた表現力では、年輪を重ねた後者の勝利
1973年と翌1974年、カラスは当時の彼氏ジュゼッペ・ディ・ステファノと一緒に来日公演
テノール歌手ステファノも衰えが早く、どちら様も敬老会状態
とはいえ、福岡、大阪、東京と続き、札幌の北海道厚生年金会館で締めくくられた日本公演
これがカラスの生涯における最後の公式な舞台であり、貴重には違いありません
Maria Callas (High Quality sound)sings O mio babbino caro
もう歌えるだけで幸福という表情に見えますね
Maria Callas (High Quality sound) Tu qui,Santuzza? with Giuseppe di Stefano
元彼女(といっても、既に他人の嫁)とよりを戻した彼氏にすがりつく現彼女
若い娘が窮屈な因習の支配する田舎で生き残るため、必死なのですってば
Maria Callas - Suicidio, La Gioconda - Original Sound
ポンキエッリの歌劇より、そのものズバリ、♪自殺!
愛と希望を失った歌姫の告別場面ですね…