さて、早速問題です。
〝次の日本語を、数学語に直せ〟
問 「整数aは、整数bの約数である」
答 「b=ak (kは整数)」
(正確には、
「b=ak を満たす整数kが存在すること」)
ウチの塾では、まず最初に、この
「数学は、数学語という外国語なのだ」
ということから講義が始まります。
かつて高校3年生、理系の担任を受け持った時、クラスの元気な女の子数人からこんな相談を受けました。
「先生、数学のテストを受けて、問題の意味は分かるんですよ。
何を言っているかちゃんと分かるんです。
でも、それをどうやって解いたらいいのかが分からないんです。」
当然です。
そんなもの、分かるはずがありません!
では、こんなことをイメージしてみて下さい。
チェコに両親の友人先にホーム・ステイに行ったとします。
突然の出来事で、チェコ語など全く分かりません。
実はチェコ人の多くは英語が苦手です。
もちろん、日本語も!
プラハの空港に着きました。
すると、自分の名前をローマ字で綴ったカードを持ったホームステイ先の家族が出迎えてくれてました。
さて、この場で貴方は、
・先ずは自己紹介をすべきであること
・チェコでは、これからお世話になること
・是非、宜しくお願いしたいこと
・そちらのご家族はどの様な方々なのか?
など、「何をすべきかは分かってはいる」。
しかし、チェコ語が全く分からないので、日本語としてイメージしていることを相手に伝えることができない。
この状況は、当たり前 の状況ですね。
日本語の通じる環境ではなく、
チェコ語でなければならない環境なのですから。
つまり、先の「クラスの女の子」の相談は、コレです。
数学は、「数学語」という言語での環境で成り立っています。
全て「数学語」という数式で処理されます。
ところが問題文は「日本語」です。
日本語によって解答者である我々に
〝何が起きているか〟
を示されます。
解答者は、この「日本語」による状況を、
先ずは、とりあえず日本語で認識しながらも、
この一つ一つを
「数学語」に翻訳してゆきます。
数学の問題は、
日本語として状況を把握しても、
数学語という数式に翻訳できなければ、
何一つ解答にはならないものです。
チェコではチェコ語。
オランダではオランダ語。
数学では数学語です。
その為に、
テキスト(教科書)の
「定義」や「定理」をしっかり学ぶ必要があります。
言葉は使い慣れることも肝要。
従って、
例題、
基本問題、
標準問題、
応用問題、
全て、その「意味・翻訳」なる所を意識しつつ学習する事が、数学学習の第一歩です。
いいですか、
数学が出来ない、という学生は
そもそも「日本語」⇆「数学語」
の翻訳学習こそ肝要である、
が分かっていないのです。
テキストの解説。
例題の「ソコにある」意義。
練習問題の一つ一つ。
全ては、「日本語」から「数学語」の翻訳練習と心得て学習に励むべきです。
数学は、
問題の意味が日本語として理解できたところで、対応する数学語を知らなければ、数学になるはずがあるません!
問題文の、ソコに表現されていることを数学語として自在に操れる様になりましょう!