2020年6月24日にリリースされた
SEKAI NO OWARI (以下、セカオワ) による両A面シングル
「umbrella / Dropout」
について、レビューしたい。
本作はメジャー13作目。
長年、メジャーで活躍しているセカオワにしては、
「意外と少ない」
というのが率直な感想。
それだけ、
1つ1つの作品を大切にしているのだろう。
そこも私がセカオワを好きな理由。
リリースに先立ち、
約3か月前から 「Dropout」
約3週間前から 「umbrella」
が、you tube で配信された。
しかも、最初から最後まで1曲すべて!!
すごい時代になってきたなぁ、としみじみしながらも、
私は CD もちゃんと購入しようと思った。
「umbrella」 のジャケットのほうか、
「Dropout」 のジャケットのほうか、
タワレコのCDの棚の前で、迷いに迷って・・・
結局、、
イラストレーターの江口寿史氏が書き下ろした。
傘を持つ少女のイラストが印象的な 「umbrella」 のほうを購入した。
1曲目の 「umbrella」
深瀬さんのハイトーンボイスが胸に響く。
とてもきれいなボーカル。
個人的には、スターゲイザーのような
アンダーグラウンドな深瀬さんのボーカルも好きなんだけど、
umbrella のような、きれいなボーカルも心地いい。
サウンドに溶けていくような透明感がある。
女性の視点で、悲しい恋の心情を深瀬さんが歌います。
ほんのりせつない恋の歌。
Ah この雨がこのままずっと降れば
願ってはいけない そんな事は分かっている だけど
君に降る雨が いつの日か上がって青空を望んだら
その時私はきっと
せつないですね。
願ってはいけない・・・
結ばれることのない恋の歌
まさか傘の気持ちを表現していたなんて、
最後まで気づきませんでした。
女性の気持ちと傘をかけた絶妙な歌詞です。
ピアノや鉄琴 (グロッケンシュピール)、ストリングスなどが、
雨の日の匂いを感じる情緒あるサウンドになっています。
細かいことですが、
曲が終わるエンディングの最後の最後で、小さく
プチプチプチ
とノイズが入っているのですが、
これはレコードのプチプチを表しているのだろうか。
アナログ感あふれる素敵な1曲です。
「umbrella」 は、発売前に江口寿史氏のイラストを
フィーチャーした you tube が公開されていたが、
さらに、なんと
MV (ミュージックビデオ)のバージョンも発売後に
you tube で公開された!
しかも、
MV の監督が、さおりさんの夫の池田大さん!
これはすごいですね。
MVでは、
ものすごい量の雨に濡れながら、
深瀬さんが歌っています。
UmbrellaのMVが出来ました〜!
— Saori(SEKAINOOWARI) (@saori_skow) July 28, 2020
演奏中、目が開けられないくらい濡れた。https://t.co/BxbIdO9vdV pic.twitter.com/2qdg2yqJGG
それにしても、
1つの楽曲に対して、
江口寿史氏のイラストの動画と
池田大さん監督の動画の
2つも you tube で無料で公開するなんて!!
なんて贅沢なんだ。
太っ腹すぎる!
さすがセカオワとしか言いようがない!!
そして、両A面シングルのもうひとつ 「Dropout」
今度は一転して、テクノ調なシンセサウンドが
縦横無尽に響き渡ります。
胸につきささるような、攻撃的なサウンド。
なんて美しい曲調だろう。
いつまでも聴いていたい。
それが私が最初に、この曲を聴いたときの感想。
英語詞なので、
意味が分かりにくいかもしれないが、
ぜひ、歌詞を見てほしい。
意味を調べて、
かみしめながら聴いてほしい。
サビは次のような歌詞になっている。
I came from Dropout Boulevard
Through my darkest days
Bet on myself and beat the odds
I came from Dropout Boulevard
So far away
Look around at where we are
(訳)
僕はドロップアウト大通りから来た
最も暗い日々を通り抜けて
自分を信じろ 逆境など跳ねのけろ
僕はドロップアウト大通りから来た
とても遠かったけど
僕らが今いる場所をよく見てごらん
胸に染みる歌詞だ。
深瀬さんは、自分のことを歌っているのだろうか?
「僕はドロップアウト大通りから来た」 とあるが、
ドロップアウトには、
脱落
落ちこぼれる
などの意味がある。
「最も暗い日々を通り抜けて」 と続くが、
つらく暗い日々が長く続いたのだろうか?
深瀬くん自身は、この曲について、
「今までの自分と、未来に対する自分のことを歌っていて、
サビは今から進んでいく未来について歌っています」
と説明している。
深瀬さんが、これまでの辛かった日々を、
この曲の歌詞に込めたのだ。
「umbrella」 がポップスターとしての光の部分だとしたら、
「Dropout」 はアンダーグラウンドな影の部分、
暗くて長く、苦しかった日々を思い、
素直に言葉に出して歌っている。
ファンタジックなポップスターとしてのセカオワのイメージが強い人には、
もしかしたら、
このような暗い気持ちを表現するセカオワに驚くかもしれない。
しかし、
これも正真正銘、
セカオワの等身大の姿なのだ。
私は、「umbrella」 のセカオワも、
「Dropout」 のセカオワも、
どちらもしっかり受け止めたい。
両A面シングルのカップリング、
3曲目は 「周波数」。
清々しい気持ちになるこの曲は、
見えないものを信じる
というテーマが込められている。
目に見えないものを
信じていたいと思う
もう会えない人たちと
今でも会いたいから
あなたは、見えないものを信じていますか?
この曲の、1人称は 「僕」、
男性目線の歌詞。
だけど、
実は、この曲の作詞・作曲は、さおりさん。
「umbrella」 は、深瀬さん作詞で女性の視点。
「周波数」 は、さおりさん作詞で男性の視点。
なかなか興味深いですね。
「umbrella」 と 「周波数」 を対比して
聴き比べてみると興味深いと思う。
「umbrella」 と 「周波数」 の
作詞、主人公、心情をまとめると。
深瀬さん / さおりさん
女性目線 / 男性目線
せつない / 前向き
となります。
どちらも極上のポップソング。
なお、、、
エレクトリックピアノでしょうか。
「周波数」 には、間奏に
軽快で爽やかな鍵盤のソロ
が入っています。
一方、
「umbrella」 には、エンディングに
控えめではかなげなピアノソロ
があり、幕を閉じます。
セカオワは、カップリングも手を抜きません!
というか、むしろ、
カップリングで自分たちの素直な気持ちを
表現していることもあります。
たとえば、
ファンの間で人気の高い
銀河街の悪夢
も、カップリングの曲でした。
このように、
両A面シングル 「umbrella / Dropout」 には、
セカオワの光と影、
そして、セカオワの 「今」 がギュッとつまった
魅力あふれる楽曲たちが入っている。
ぜひ、あなたも手に取ってほしい。
そして、感じてほしい。
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