【⑳探究学習における数学的思考①】

学校で行われている探究学習。

学習内容に苦労していると生徒が多いと聞く。

探究学習での思考は数学的思考そのものだ。

 

探究学習のねらいはいろいろある。

ひとつは課題についての調べ学習。

調べ学習は知識を増やすだけではない。

実は知識をどう使うかが問題だ。

 

調べ学習だけではもったいない。

高校生の探究活動については特にそう思う。

 

疑問から仮説を立てる。

その仮説に対して知識を集める。

仮説の正しさを知識から検証する。

あるいは体験で検証する。

仮説から疑問を解く。

 

検証はいろいろやり方があるであろう。

今なら生成AIと対話するのもよいであろう。

仮説学習の方法はいろいろある。

 

あらゆる学問は仮説検証を行う。

特別な活動ではない。

数学、科学も同じである。

 

そんなことを探究学習で行う。

あまりにも調べ学習で終わっていることが多い。

私の経験した探究学習を紹介する。

 

修学旅行を題材にした探究活動だ。

修学旅行先は広島。

旅行のねらいの一つは平和学習。

 

われわれは別の観点も考えた。

広島はどんな地域であるか。

ここで、問題がテーマ選びだ。

テーマをどう考えるか。

 

学校は名古屋(尾張)にある。

広島と尾張に何か関係はないか。

地元尾張との関係性から広島を捉える。

 

広島藩は初代が毛利氏だ。

ところが関ヶ原の合戦で毛利氏は敗れる。

毛利氏は長州に飛ばされる。

 

当時の徳川は尾張だ。

後の藩主は尾張と関係がないはずがない。

これが仮説思考だ。

 

広島藩2代目藩主は福島正則。

尾張の清須城城主だ。

やっぱりということだ。

        (福島正則)

広島の城下町

福島正則が実質、作ったといわれる。

広島の街は尾張の影響どころではない。

 

ではどんな影響があったのか。

福島正則が尾張で行っこと。

それを広島でも行っていないか。

これも仮説思考だ。

 

こと時、地元清須の公民館に行った。

福島正則の資料を調べるためだ。

正則は地元の英雄。

正則小学校があるほどだ。

 

福島正則が尾張で行ったこと。

堀川の削減工事の責任者。

徳川家康に命じられた大工事だ。

 

福島正則は剣の達人として知られる。

土木工事の指導もした万能人であった。

 

当時、名古屋城も作られた。

石垣は諸大名が分担して作った。

福島正則も加わっている。

得意の土木工事である。

ならば広島城の石垣工事もしていないか。

 

これも仮説だ。

当時の広島城は水害に悩まされていた。

実際、石垣が何度も崩れ工事を行っている。

福島正則の工事のあとはあるのか。

 

ここでヒントは名古屋城の石垣にある。

20名近くの大名が分担して石垣工事を行った。

大名は自分が運んだ石に印を刻んだ(刻印)

 

もちろん、福島正紀も刻印をしている。

 

ここからまた仮説だ。

では広島城に福島正紀の刻印のある石垣はないか。

 

ここでは現地での調査となる。

幸い、時代ごとの石垣の位置はわかっている。

 

福島正則の刻印のある石垣が見つかった。

原爆を乗り越えて今も残っているのだ。

嘘のような話であるが本当である。

  (福島正紀の刻印のある石垣)

 

こんな具合に仮説学習が進められる。

仮説学習は仮説思考を学ぶことだ。

成功も失敗もない。

探究学習の大切なねらいの一つだ。

 

このときは、実際に石垣が見つかった。

これが仮説学習の楽しさだ。

 

楽しみながら学ぶことが一番だと思う。

 

この探究活動でいろいろなことがわかった。

その内容は次回以降にお伝えしたい。