数学的思考に目覚める会話4-6

拡張版チェバとメネラウスの定理①

 

こんにちは。ヨッシーです。

私は長年数学教師をしておりました。

現在はフィリピンで日本語を教えております。

 

中学校のとき、はじめてメネラウス定理を知りました。

何という美しい式。証明が鮮やかで感激した覚えがあります。

このような定理を自分で見つけてみたいと思ったものです。

 

幾何学は図形の学問のことで、多くの人が魅せられた数学の分野です。

私もその幾何学で数学に魅せられました。

幾何学は美しさが目に見えてわかるからです。

 

目には見えないが世界の背景にあるのが数学です

最先端の人工知能もその背景は数学なのです。

美しいモノは、なぜか役にも立つようです。

 

数学の魅力がわかれば世界が変わって見えるでしょう。

あなたもそのような数学の魅力に触れてみませんか。

 

数学的思考は公式を覚えるモノではありません。公式を導き出す思考です。

 

数学的思考に目覚めた人々が世界を創造していきます。

 

 

【今回の課題】

拡張版:チェバの定理とメネラウスの定理

 

登場人物はヨッシー先生(Y先生)、努力家のM君、直観のするどいH君、

冷静なSさん。この3人とヨッシー先生の会話で構成されています。

 

ヨッシー先生「みなさん、こんにちは」

H「今回は何のお話ですか」

ヨッシー先生「拡張版のチェバとメネラウスの定理について」

 

ヨッシー先生「拡張された定理を具体的に見てみましょう」

 

 

 

 

H「直線が三角形の辺上で交わらなくてもいいわけだ」

M「辺を含む直線と交わればよい」

H「チェバの定理の拡張版はどうなりますか」

 

 

 

 

ヨッシー先生「いずれも辺を含む直線上で交点を持てばよい」

H「見事ですね」

 

   問題はどうして拡張した定理が成り立つか。

   その原理を追求するのが数学的思考です。

            

H「どうしたらよいですか」

M「図が変わるので証明が大変です」

H「いくつも図を書かないといけなくなります」

 

ヨッシー先生「点の表現を一般化します」

H「どういうことですか」

ヨッシー先生「簡単に言うと文字で比を表現するのです」

 

ヨッシー先生「具体例で見てみましょう」

ヨッシー先生「直線ABを(1-t):tに分ける点P

を考えます」

 

 

H「tの値によって点Pの位置が変わります」

M「0<t<1で点PはABの内分点。

        他の場合は外分点になります」

 

   チェバの定理の証明を考えます。

   辺上の点を文字の比で表して証明します。

   証明はベクトルの計算になります。

 

M「辺上の点LとNの位置をtとsで表します」

 

具体例で見てみましょう。

 

 

 

 

M【2、3番目の場合は、交点Pが三角形の外部にあります」

H「いわゆる拡張されたチェバの定理ですね」

 

H「辺OA、OB上の点L、Nがtとsの値で表現できます」

M「内分点、外分点が表現できるわけだ」

 

H「BLとAMの交点Pの位置をベクトルで求めてみます

 

  具体例で計算してみましょう。

  具体例での計算が一般の計算につながります。

 

ヨッシー先生「具体例で計算します」

ヨッシー先生「3つ目の図の場合で計算しましょう」

 

M「どうやって計算するのですか」

H「交点Pを比LP:PB=m:(1-m)、

         AP:PN=l:(1-l)で表します」

 

   ここからはベクトルの計算です。

   図を見ながら確認してください。

 

 

M「それぞれの比が求まります」

 

 

 

H「確かに拡張されたチェバの定理が示されました」

M一般の場合の証明も同じ計算ですね」

 

  比を文字で表して拡張された定理が示されます。

  これが数学の抽象化です。

  抽象化により広い視野から問題を捉えることができます

 

  一般の場合の証明は以下に載せます。

  参考にしてください。

 

 

    係数比較の計算は各自で確認。

 

 

   実は、上の図で△OAMを直線LBが切るという形の

   メネラウスの定理が証明できます。

   是非、挑戦してください。

 

  次回は拡張したメネラウスの定理の証明です。

  今回はここまでです。