【(感謝する)フィリピン滞在記216】

38年間は日本で高校数学教師でした。

数学教師が日本語教師としてフィリピンに渡り、早くも1年。

日本に行く技能実習生に日本語を教えています。

いろいろなことがあり驚きの毎日です。

もの凄く可能性の多いフィリピンですが問題もあります。

日本から近いようで遠いフィリピンの滞在記です。

 

ディレク先生のクラス。

職種は自動車整備。

今日が最後の授業。

 

「どうしてフィリピンに来たのですか」

生徒からの私への質問だ。

彼らにとって不思議らしい。

 

日本は豊かな国。

きれいでお金持ちの国。

そんな国から来た先生。

 

どうしてかと思うであろう。

給料も日本のように高くない。

まだまだ豊かな国ではない。

 

「フィリピン人は明るくて真面目です」

「そんな君たちに教えたいと思いました」

私の答えだ。

 

これは本当である。

本来の教育の現場。

学びたいから学ぶ。

学ぶ必要から学ぶ。

 

いやなら来なくても良い。

強制ではない。

学ぶ以上は一生懸命に学ぶ。

 

当たり前のことだ。

日本ではどうか。

必ずしも当たり前ではない。

 

私は続けた。

「日本は働く人が足りません」

「君たちのような若い人に助けてもらいたいのです」

これも本当だ。

 

 

明日、卒業式がある。

代表のスピーチはA君だ。

「A君、スピーチをやってもらえますか」

 

学業成績もトップのA君だ。

みんなに一番、一番と呼ばれている。

前に立ってスピーチを始める。

 

「神様に感謝します」

「家族に感謝します」

「先生に感謝します」

何度、感謝の言葉が出てきたか。

 

これがフィリピン人だ。

感謝の気持ちを持っている。

こんな彼らにいつも感動する。

                      (マニラ湾の夕日)

「技術より人間性です」

「君たちは本当に素晴らしいです」

「フィリピン人として自信を持ってください」

 

A君は日本語を流暢に話す。

優しいだけではない。

能力も高い。

将来がとても楽しみな若者たちだ。