【(ありがとうございます))フィリピン滞在記186】

教室で詩を朗読した。

題材は 『ありがとう』 菊田 心

東北大震災のときの詩だ。

当時、小学生の菊田心さんが書いた。

 

複数のクラスで朗読した。

いつも笑顔の絶えないクラス。

ところが変わった。

どのクラスも雰囲気が一変した。

 

彼らは苦労している。

家族思いだ。

菊田さんの思いが伝わる。

 

詩の最後の部分。

 

最後に。

おじいちゃんを見つけてくれてありがとう。

さよならすることができました。

 

思わず声が詰まりそうになる。

彼らはどう感じているのか。

 

突然大きな声がした。

「先生、ありがとうございます」

 

30歳のAくんだ。

家族を残して日本へ行く。

子どももいる。

難しい日本語を必死に勉強している。

 

家族が亡くなった悔しさ。

それでも感謝する心。

「ありがとう」

小学生の思いだ。

 

会話では感謝の言葉を大切にする。

「ありがとうございます」

「すいませんでした」

「感謝しています」

 

言葉が美しい響きになる。

言葉に感情がこもる。

伝えるモノは情報だけではない。

 

思いが伝わる。

言葉の美しさ。

言語を学んで良かったと思う。

 

授業中に大きな声で「ありがとう」

初めての経験だ。

フィリピン人の気質。

 

それだけではないだろう。

この国では初めての経験が多い。

人として大切なことを教えてもらう。

 

正直、そう思うことが多い。

苦労している生徒たち。

それだけ人の痛みに敏感だ。

 

学校もそうだ。

生徒たちは必死に学ぶ。

わがままは言わない。

 

教えてもらうことに感謝する。

学校では技術を学ぶ。

 

ただ、その前提が違う。

感謝する気持ちを持っている。

これはとても大きいことだと思う。

学校の本来の姿をみる。