教室で詩を朗読した。
題材は 『ありがとう』 菊田 心
東北大震災のときの詩だ。
当時、小学生の菊田心さんが書いた。
複数のクラスで朗読した。
いつも笑顔の絶えないクラス。
ところが変わった。
どのクラスも雰囲気が一変した。
彼らは苦労している。
家族思いだ。
菊田さんの思いが伝わる。
詩の最後の部分。
最後に。
おじいちゃんを見つけてくれてありがとう。
さよならすることができました。
思わず声が詰まりそうになる。
彼らはどう感じているのか。
突然大きな声がした。
「先生、ありがとうございます」
30歳のAくんだ。
家族を残して日本へ行く。
子どももいる。
難しい日本語を必死に勉強している。
家族が亡くなった悔しさ。
それでも感謝する心。
「ありがとう」
小学生の思いだ。
会話では感謝の言葉を大切にする。
「ありがとうございます」
「すいませんでした」
「感謝しています」
言葉が美しい響きになる。
言葉に感情がこもる。
伝えるモノは情報だけではない。
思いが伝わる。
言葉の美しさ。
言語を学んで良かったと思う。
授業中に大きな声で「ありがとう」
初めての経験だ。
フィリピン人の気質。
それだけではないだろう。
この国では初めての経験が多い。
人として大切なことを教えてもらう。
正直、そう思うことが多い。
苦労している生徒たち。
それだけ人の痛みに敏感だ。
学校もそうだ。
生徒たちは必死に学ぶ。
わがままは言わない。
教えてもらうことに感謝する。
学校では技術を学ぶ。
ただ、その前提が違う。
感謝する気持ちを持っている。
これはとても大きいことだと思う。
学校の本来の姿をみる。