数学的思考に目覚める会話⑨問題を作る
数学的思考に目覚める会話⑨ 問題を作る問題を解決するために学ぶ問題を作ると問題を解く力も身につく問題を作るメディアアーティストの落合陽一さんが言っていました。最近の大学生は問題が作れないと。これは、教育の問題が大きいと思います。問題は与えられて、解くもの。大学生になってもそう思っている人が多くいます。今回は、少しレベルの高い思考法です。「問題を作る」について考えてみましょう。問題が作れない。これは言い方を変えると問題を作ることの大切さがわかっていないとも言えます。問題は解くためにあるのはなく、問題は生じてくる、あるいは作りされるものです。次に問題を解くことになります。本来、問題は与えれたものではないのです。受験勉強ばかりやっていると、問題を解くことばかりに集中しがちです。そのため、問題を作るという発想はなかなか生まれません。今回は問題を作ることの大切さについて、深堀して考えます。以下の2点です。① 問題作りはなぜ大切か② どのように問題を作るか① 問題作りはなぜ大切か問題を作ると原理が分かるから。→問題はその原理が分からないと作れません。原理がわかれば、いくらでも問題は作れます。また、少し原理を変えれば、新しい問題も作ることができます。例)三平方の定理は、直角三角形の辺の長さの定理です。直角の頂点から垂線を引くと、相似な直角三角形ができます。実は、これが三平方の定理の原理です。三平方の定理から、いろいろな辺の直角三角形が作れます。辺の長さを変えても、定理から他の辺の長さはたちどころに計算できます。(理由1)解けない原因がわかる。→自分で問題を作るとポイントが見えてきます。引っかかるポイントが見えてくるのです。出題者の意図が透けてくるので、問題が解けるようになります。(理由2)問題の意図や数学の原理が確認できる。→問題は原理や仕組みから生まれます。仕組みがわかれば、解くことが簡単になります。(理由3)問題が問題を生む。拡張し発展できる。→原理や仕組みを応用すれば発展した問題になります。あるいは拡張した問題になるといえます。先ほどの例で、直角三角形は三平方の定理。では、直角以外の角ではどのような辺の関係式になるのか。直角の場合と何か関係があるのか。素朴ですが、当然の疑問とも言えます。⊿A´BCは直角三角形。この関係を使えば、∠Aが直角でない時の辺の関係式が求まるのではないか。実際にやってみましょう。解答例です。⊿A´ACに対して三平方の定理より、a,b,cの関係式が求まります。(これは余弦定理です)(理由4)できない問題がはっきりする。問題を作ったのが自分ならば解けるはずですが、実はそんなに簡単ではありません。数学ではよくありますが、解けない問題が出てきます。できない問題がはっきり見えてくるのです。実はここからが面白いのです。本質的に難しい問題があり思考が止まってしまう場合があります。しかし、実は問題の本質に近づいているのです。さらに、新たな問題が生まれてきます。そこで、少し条件を変えて解ける問題を作ったりもします。試験の得点を挙げることが目的になると、問題をいかに解くかが最大の目標となり、問題を作ると言う発想にはなりません。 確かに問題を解くための力は大切です。知らない問題を解けるようになることは数学の大切な力です。ただ、それだけでは、数学の本来の面白さが分からないのです。問題を作ると言いますが、実は問題だらけなのです。深く考えると問題は必ず出てきます。問題を作らなくても問題だらけなのです。分からないことが分かってくるという言い方もできるでしょう。入試問題を見ていると、解ける問題が並んでいます。一度自分が問題を作ってみると出題の背景やその難しさ、原理の深さが分かります。結果として問題が解けるようになるし、発展させることもできると思います。数学の本当の面白さが分かってきます。② どのように問題を作るか。では、どのように問題をつくるのか。そのヒントを書いてみます。(1)類題を作る。問題の真似をする。例)1簡単な例は、数字を変えるだけ。これなら、だれでもできますね。例)21次方程式から2次方程式の問題を作る。1次方程式から2次方程式。次数を上げた方程式を解くわけです。2次方程式の解法の原理が必要になります。さらに3次方程式はどうなる? これは、2次方程式の原理が使われます。 「ええっ、どういうこと?」ここから深い内容に向かっていきます。これはカルダノの大問題と言われていました。3次方程式の解法は簡単な問題ではありません。だからこそ、解いてやろうという気持ちも出てきます。学校の問題がごく特別な(簡単な)ものだということに気がつきます。解ける問題しか相手にしていないともいえるのです。解けない問題など、いくらでもあるわけです。(2)条件を変えたり、発展させる原理や条件から無数の問題が作られる。原理や条件を変えればさらに多くの問題が作られる。 例)三平方の定理は直角の定理である。直角以外ではどうなるのか。このように、条件を変えてみるのです。(3)拡張するn=2で成立している公式があります。では、n=3では、どうなるのか。さらに一般のnではどうなるか?これは、条件を変えるといってもよいと思います。これらは問題を一般化する、あるいは問題を拡張すると言います。数学では大切な思考法です。これは皆さんにとっての数学公式の発見につながります。面白さが前面に出る魅力満点の問題作りです。公式が自分で作れたら最高ですね。