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Christian Dior "Venus" dress, 1949  Source: MET




思い出話とまいりましょう。



車で3時間くらいのところに

出張に出ることになり、

評判のフレンチの店でランチを決めました。


超有名店で修業を重ねたシェフだそうで、

構えたお店は

ものすごい田舎の川のほとりです。


肉魚は吟味したものを

毎日送ってもらっており、

野菜は自家栽培らしい。



お店に着けば

ものすごい田舎のお店に

似つかわしくない風情のカップルが2組。


こんな田舎にお洒落したカップルが

平日お昼。

いわくがありそうだわ、

と余計なことが頭に浮かぶ。


ま、私たちもカップルよね。

(めるめるの連れは一応男。5つ6つ下のフツーのリーマン)

オーダーの際、

「13時から仕事です。

 間に合うように出してくださいますか。

 ちなみに、私たち、食べるの早いです。」

とお願いしたところ、


お願いしたとおりにしてくださいました。



前菜は、野菜と肉の盛り合わせだったのかな。


一見し、

和えてるのですから

めるめるの料理とたいして

盛り付け、変わらないような。


ただし、野菜の種類は

そこらへんのスーパーで

手に入るものではなく、

口にしたら…。美味しい。


びっくり。さすがだ。

「おいしーですよね~」

と二人で感嘆の声を上げ、


次の一皿への期待は

嫌が応にも高まります。


肉・魚。

細かいトコは忘れてしまったのですが

美味しい。


デザートは

焼き上がったばかりのタルト。

あったかくてほっくほく~♪


大満足のランチでした。



一度行けば一生行ったことがあると

言えるのだ、と


いちおう


銀座のマキシム・ド・パリにも


今は亡き恵比寿のタイユバン・ロブションにも


行ったこと、あります。

(まさかブログネタにする日がくるとは

 夢にも思っていませんでしたが…)



入った途端

日常とは別世界の空間。


ギャルソンなどという職業は、

パリのガイドブックでしか

見たことなかったのですが、


燕尾服をひるがえし、

キビキビとした身のこなし、

行った人の気持ちをくみ取るサービス。


私、左利きなのです。

初めの一皿を食べ終わった途端、

次からナイフとフォークの位置を変えた。

見ているのです。

一見のお客を。


一時が万事この調子で、


そして本格フレンチって、

量が多いでしょう。


もうダメだ、のところで、


カート一杯のケーキ。

何十種類もあって、

色とりどり。


「どうぞ好きなだけ」と

おっしゃってくださるのですが


なんとしても入らず

今思い起こすだけでも

口惜しさがこみ上げてまいります。



焼きたてのタルトを

ぼっと1個、


出された時、

頭に浮かんだのは、

銀座で目の前に現れたケーキのカートでした。



これが組織の力ってものなのでしょうねえ。



一軒家のシェフは、

一つ一つを

至高の味に作り上げることはできても、


カート一杯のケーキを

目の前に出して選ばせることはできない。



お店には

超有名店でのシェフの

写真が飾ってあります。


奥様が優しい微笑みをたたえて

出してくださる

お料理と


何人ものギャルソンが

かもしだすハーモニー。



綺麗に整えられた

20人も入ればいっぱいの

お店と、


ルイ王朝様式のシャトーや

真紅とゴールドのアールヌーボー。

そしてずっと続いていく伝統。



美味しさは、

変わらないのですけど。