「武士の娘」 杉本 鉞子 (著) (1925・日)
大岩 美代 (翻訳) 。
「住むところは何処であろうとも、
女も男も、
武士の生涯には 何の変りもありますまい。
御主に対する忠義と 御主を守る勇気だけです。
遠い異国で、祖母のこの言葉を思い出して下され。
旦那さまには忠実に、
旦那さまのためには、何ものをも恐れない勇気、
これだけで。
さすればお前はいつでも幸福になれましょうぞ。」
数えで14才の小さなお姫様は、
駕籠に揺られ、何日も何日もかけて
お輿入れの旅に出ます。
知らない土地へ。
一度も会ったことのない、
生涯の伴侶とのこれからの生涯のために。
今に生きる私たちは自分の人生は自分で決めてきた。
そして、その昔。
決められた人生を全うした人も、
確かにいたのです。
著者は 杉本 鉞子(えつこ)。(1873-1950)
旧姓「稲垣」。
越後長岡藩の筆頭家老のお嬢さま。
冒頭の言葉は、
明治のころ
わずか13才で結婚が決まり、
花婿はアメリカに渡った兄の友人。
異郷の地へ
遠からず旅立つ孫娘に
祖母が贈るはなむけの言葉です。
誰もに慕われたお祖母さまだった。
と鉞子さんは回想されます。
周りの人はみな、
お祖母さまと一緒にいるだけで心安らいだ、と。
運命を受け入れることを当然として生き、
与えられた試練を乗り越え、
敬愛を集める人生…。
おそらく、
幸せは、見出すことにもあるのでしょう。
自ら打って出て、つかみ取るもの。
の他に。
どちらも正しい。
正解は1つではない。
自分の意志とは
はじめから関係なしに
決められた結婚。
不幸なのか。
違いますよね。
幸せになることもできる。
不幸せになることもできるのです。
祖母の言葉を胸に、
そして家族に見送られ、
故郷を出て、
小さなエツ坊は
東京へ。
アメリカへ、旅立ちます。
この本は、英語で書かれ、
後に日本語に訳されたものです。
東洋の女性が見た西洋が描かれたこの本は
7か国語に訳され、
日米の比較文化の古典として
海外での評価も高い。
めるめるが
この本を手に取ったきっかけは
「武士の娘」が原作の少女マンガです。
「パンと懐剣」(神坂智子)。
ご愛読だったものですから。
明治の越後・東京。
そしてアメリカの暮らしや描写を
読み進み、
でも心に残ったことは、
著者の平明な心だったように思えます。
目の当たりにするものを受け入れていく。
人は、きっと、自由に生きることが
できるのですよ。
誰にも迷惑をかけることなしに。
変かなあ、この読後感。
ほかの人のこの本の感想と、
だいぶ違うような。。。
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