「『紅毛人の小説大騒動』との言葉をどこかで目にし、
派手な調子、芝居がかった物言い、
物事を切り取る鮮やかな角度、凛冽する気合い。
石川淳のものに決まってる」と
丸谷才一先生がお書きになっていらしたのですが、
出典探し出せん(涙)
石川淳先生はカッコいいのです。
派手で、明るくて、気力充実しまくり。
「だれそれとだれそれが出会った。うまくいかなくて悶々とした」
の類の読物に慣れていた私には、
新鮮でした~。
歌舞伎で、「荒事」ってありますよね。
男性の勇猛さを見せ場とする演目。
めるめる造語で、石川淳先生は、「華麗事」です。
男性の、華やかな男っぽさを見せつけられてしまうんですの♪
文体を自在に使い分ける超大物。
(祖父漢学者。仏文ながら江戸文学に傾倒。
永井荷風先生も同じなんですが、
個性違えばここまで違ってくる、のお手本のような~)
このお話は読みやすく、王朝文学の系譜を踏まえながら、
源氏とも平家とも違う、
魔や妖が跋扈する
幻想文学を超えた危険な叙事詩。
超現実派でございますの♪
文字でそんなことできるんですかって?
出来るんですよ(^-^)v
石川淳先生なら。
時代は王朝末期。
都の歌の勅撰の選となるべき家に生まれた宗頼。
幼い頃から抜群の才をしめすものの、
「生まれる前から上手く作れるに決まっている歌を、
なぜつづけなければならぬのか」
と弓に傾倒。
こちらも都にかくれもないつわものどもと比べて
劣らぬ実力を身につける。
忌み嫌う父は、息子を遠い国の守に追いやる。
18才の宗頼は、鄙の地へ。
守りのすることは何もない。
ほとんど流謫である。
若き守は狩を好む。
弓は百発百中獲物を捕えるが、
獲物は常に宙に消える。
刷毛で払ったように黄の影がかすめる。
守の放った矢は草に光る。
初めて捕えた獲物は…。
鄙の白皙の貴公子。
狩りにかけめぐる山々。
太腿を射抜かれ歩くのも不自由な
矢の名手の野獣にも似た存在感。
狩りを求め、吠え盛る黒犬。
うつろ姫の赤黒く醜く、ぬくぬくと権門の家に育った生きものの威令。
うまれ里を追われ、算の術をもって守に仕え、
その座を取って代わらんとする男。
野よりあらわれ守の寵を受ける手弱女。
「行くな」と止められた地で出会った
岩に仏を掘り続ける若い男。
月光を浴び、守は矢を放つ。
「確かに射たぞ。」との叫び。
轟く雷鳴。
廃墟と化した守の館には
紫苑の花が咲き乱れて…。
ああ、映像化されなくて良かった…。無理です。絶対。
