田辺聖子さんは、
売れに売れた流行作家で、
お若いころは書きに書く。
雑誌に文芸誌に新聞、対談・エッセイ…。
当然目にする機会も多い。
おせいさんの本はとにかく読みやすい。
すーっと頭に入る。
そして引っ張って読ませる。
たいした芸です。
今の林真理子先生みたいなもんですか。
あとは林芙美子先生なんかも
女流流行作家の名にふさわしい。
そしてこのお二人は
作品以外でもエピソードに事欠かず、
話題を振りまく・振りまいたものですが、
おせいさんは
おっとりと楽しげな
カモカのおっちゃんこと、
ご主人とのやりとりをここかしこで散見し
豪腕なのに、
見聞するお姿とのギャップが、印象的でしたね~。
膨大な著作のうちから、大好きなこの本を。
私がこの小説を愛してやまないのは、
ヒロインの魅力。
そして細かいエピソードの一つ一つが
女の子(読んだ当時は女の子だったんです♪)の心に染み入り、
想像を掻き立てること。
同感できること。
なるほどそうだよなあ、と
素直に学べたこと。
そして朝焼けのオレンジ色の空が
いつの間にか青に変わっていくように、
日が落ち、夕焼け空が暮れていくように、
書かれている内容に夢中になって
読み進んでいくうちに、
お話のトーンが変わっていき、
読後感の切なさに、良い意味で浸れたこと。
主人公は眉子ちゃん。28才のハイミス。
(注:初出1977年)
ひとり旅に出て、偶然出会った41才の東野に、
惹かれていく。
フツーのOLの、
ふつーにちゃーんと働いてまじめにやってる女の子が
なぜ不倫の恋に落ちるのか、
読み進み、納得できるのです。
週末ごとの楽しい逢瀬。
それでも何もかもが、
少しずつ、変わっていきます。
約束を待ちわび、フイになるとぺしゃんこになりそうな心。
男を待ちわびる女になっていることに気がつく。
恋をして、我ながら綺麗になっちゃって。
でも自分が闇夜の蟹みたいに思える。
この恋は「笑い恋」。
「目の前の草だけぬいてたらいいねん」の意味深な男の言葉。
女友達が、
自分にまんざらでもなかった男の子と結婚する。
変わったなあ、と無意識のうちに
わが身と比べずにはいられない。
男の妻が重い病気にかかり、
小躍りして喜んで当たり前なのに、
男が実は妻を愛していることを見抜き、
妻がいなくなったら男は変わってしまうのではないか。
変わらず愛し続けられるか、と
自分に尋ねる
ふんわりと女の子らしいのに、怜悧な目。
女の子が生まれたら、
「まゆちゃん」って名前、つけたかったな~。
「なるべく、人生、<いそいそする>ことが多いと多いんだけどな。」
「『笑い恋』を育てるには、細心の注意がいるのだ」
「幸運になる能力は『棚上げできる』にあるのではないか」
女の子にも、元女の子にも!?
金言、
いっぱい見つかるはずです。


