近松物語(1954・日)
監督 溝口健二.。
「死ぬのはいやや、生きていたい。」
この一言がこの映画に永遠の命を与えました。
昨日、どうも私の好きな日本女性は
色気がなくて、と嘆いておりましたが、
反射的に浮かび上がってきたのがこの映画。
清楚で気品溢れ、
ひたむきでほとばしる情熱は、
ふん、フランスが何だ、イタリアが何だ。
日本だって、日本だってと
郷ひろみのように
Japan Japanと
止まらなくなってしまうのです♪
原作は
近松門左衛門の「大経師昔暦」と
井原西鶴の「好色五人女」中の「おさん茂右衛門」。
心中ものです。
良家の奥様、おさんと手代の茂兵衛。
おさんは2度目の若い妻。
兄の金の無心に困り、夫にはすげなく断られ、
手代の茂兵衛に工面を頼むが、
タイミングの悪さと偶然が重なり、
二人は駆け落ちを余儀なくなれます。
死を決意する二人。
「私のためにお前をとうとう死なせるようなことにしてしもうて。
許しておくれ。」
「何をおっしゃいます。
茂兵衛は喜んでお供をするのでございます。」
「いまわのきわなら罰もあたりますまい。
この世にこころが残らぬよう一言お聞きくださりまし。
茂兵衛はとうからあなた様をお慕い申しておりました。」
茂兵衛はとうからあなた様をお慕い申しておりました。」
「えっ、私を。
…お前の今の一言で死ねんようになった。
死ぬのはいやや。生きていたい。」
揺れる小舟に乗る二人。
まわりは漆黒の闇。
モノクロ画面のこのシーンは、
日本映画の白眉のひとつです。
もちろん、添い遂げられるはずはなく、
市中引き回しの上
処刑されてしまう二人の表情に、
見る人は安堵と幸福を見出すのです。
乗りに乗る溝口健二監督の
絶頂期の作品の一つです。
「西鶴一代女」(1952)
「雨月物語」(1953)
「山椒大夫」(1954)
みんな好きです♪
おさんは香川京子さん 茂兵衛は長谷川一夫さん


