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「炎のランナー」(1981・英)


ヒュー・ハドソン監督

第54回アカデミー賞作品賞受賞作品。


ヴァン・ゲリスの重厚なテーマソングとともに、

夏の朝もやの中、

海辺を白い服を着た若者が駆け抜けていきます。


原題は「Chariots of Fire」。炎の戦車です。


先頃、ロンドンオリンピックの際に、

リバイバルでだいぶ取り上げられた様子ですから、

思い出された方も多いことでしょう。


舞台は1919年。イギリスのケンブリッジ大学。

ユダヤ人のハロルド・エーブラムス。

宣教師となる敬虔なキリスト教徒、エリック・リデル。


ハロルドはユダヤ人であることへの圧力をはね返すため、

陸上競技にのめりこむ。

金でコーチを雇い、あくまで勝利にこだわる。

エリックにとって、走ることは神の恩寵を受けること。


2人はパリオリンピックに出場。

予選が安息日であることを知ったエリックは棄権を決意する。

英国皇太子の説得にも動じない。


ハロルドの優勝を、コーチは会場の外で、

英国国家吹奏と英国国旗の掲揚で知る。


エリックは出場予定の100mは棄権。

しかし400mでの優勝を果たすのだった。



様式美と映像美を堪能できる映画です。


1920年代、イギリス・ケンブリッジですから

登場人物は基本英国紳士(の卵というべきか)。


トラディショナルの王道とも言うべき舞台設定のもと、

(建物・風景・大道具・小道具・小物・風俗

                  バリバリ英国映画^^)


個性は違えど、学校生活や研究ではなく、

スポーツに打ち込む青年たちの姿が映画向けです。


名だたるスターではなく、全体を見せるのですよ。


念のため書いときますと

スポーツ映画ではありません。


もちろん、オリンピック出場なんですから、

素質ある若者が必死で努力するお話です。


そちらはあたりまえの前提で、

その上で

描かれるのは人間の葛藤で、

人種差別と宗教が軸となる。


闘志をむき出しにして勝利をつかむハロルドですが、

勝ったからと言って、

有頂天で大騒ぎなんてしないし。


棄権した予選の日、ミサでキリストの教えを

淡々と信者に語りかけるエリック。


紳士として取るべき行動を、

と出場権を自ら譲り受けるべく進み出る友人。


二重三重、その上を行き、周到に準備立てされた作品。


超大作・血沸き肉躍る映画ではないものの、

重すぎず、軽すぎず。

見終わったあとは心地よい充実感が味わえます♪



この映画は封切時、

「フラッシュ・ダンス」との2本立てで

友達と映画館で見ました。


町に映画館はいくつかありましたが、

今はもう1軒も残っていません。

かわりに出来たのがシネコン。

時代は、動いていくんですね…。





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