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今はもっといい本あるかもしれません。
随分前に発行されてます。


常々「王羲之という人は有名な書道家らしいが
どんな人でなぜ偉いのか」と思ってました。
この1冊で、疑問はあっさり解消です。


王羲之(303~361)は4世紀、中国の六朝時代の人。
当時の良家のおぼっちゃま、高級貴族の子弟です。


武張ったところはなかったらしい。
本職は政治家、になるのでしょうが、


権力に固執したり、はなかったらしい。
そこそこに手腕は発揮したらしい。
病を理由に官を辞し、隠遁したそうです。


その字体は古風(アルカイック)で素朴。


著者の石川先生が

「これが(王羲之の書体に)一番近いのではないか」

とおっしゃる「姨母帖(いぼじょう)」の画像を

トップにのせました。

「え、これが?」とか、意外でしょう。


お習字の時間、たとえば「月」とか「日」とか書くとき、

右肩のところでトンと筆を抑え、下に筆を動かす。

と習いませんでしたか?


「交通安全」の「通」の「辶」(しんにょう)、

いったん筆を沈めてから徐々に力を抜いて三角形をつくる。

と習いませんでしたか?


これは時代が下がり、

唐時代(700年代以降)に完成する技法なのだそうです。
王羲之の時代にはなかった。


もちろん、名を残す方です。

何百年後かに現れ、後に一般化される技法の芽生えを、

石川先生が丁寧に解説なさっています。


そして書かれている内容ですが
「たまらなくつらい」とか
「どうしたらよいのでしょう」とか
「ミカン送ります」とか、


お前それでも男か、とうっとおしいんですが、
石川先生によれば、違うんだそうです。


それまでに政治文書しかなかった

東アジアにはじめてあらわれた、
一人一人の人間の喜怒哀楽を表す文体。


語彙も文章スタイルも当時はなかった。


その目覚めが王羲之の残した書の数々に現れていると、

先生はおっしゃるのです。


下に代表作、「蘭亭序」八柱第一本の画像を載せます。


実は、王羲之の書の現物は1点も残っていません。

美術館とか博物館にあるのは、全部精巧な模写です。


石川先生は、模写には後世の解釈が入る、

と断言なさいます。


字体、違いますね。


ベタベタ押されたハンコは、

この書を手に入れた証拠に、時々の権力者が押しました。


この書は今までに、何を見てきたのでしょうか。

知りたいところです。



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