[熱い情熱の男達]

太陽が西に沈みかけた時間、暖かい食卓に灯が点り誰もが家路に急ぐ時、男達の熱いハートに炎がやどる。


いつもよりも念入りに磨きあげた鉄の棺桶は、情熱の熱さから今にも燃え上がりそうな勢いで眼前にそびえ立つ。


それはまさに、昨日までの自分に別れを告げるかのように心に決めた何かを感じさせる。


情熱のハートに火がついた。ハンドルを握った瞬間から魂が鬼に変わった。


負けられない。ハンドルを強く握り締めると、脳裏に数々のコーナーが頭に浮かぶ。


走り出した。軽やかな足取りは韋駄天の如く飛び出していった。

ライバル達との差も殆どないスタート直後の激しい鼓動の中にそいつはいた。


最初のコーナーに差し掛かり狙った獲物を捕らえるかの勢いで飛び掛かった。


そいつは、お目当ての商品を買い物カートに入れると次のコーナーに駆けて行く。


「お客様、店内を走られると大変危険ですので、おやめください。」


しかし、そいつは白銀のペガサスのように走り続けた。


熱いぜ、たまらんぜ。しかし、あまいな、お前は何かに取り憑かれている。


そのとき、天からの声が響くように、アナウンスが流れた。


「お買い物のお客様にお知らせします。」

「お客様の中にに魔物が一名暴走しております。」


「大変危険ですので、十分御注意下さいますようお願い申上げます。」


店内に爆走する、買い物カートの音だけが、いつまでも俺の頭の中に響き続けた。