さてさてさてさてさて!
ネタバレあり編です。
少女たちは過酷な運命に立ち向かうーーー
というわけで、本編のあらすじをば。
あらすじ。
勇者部はある日の授業中不思議な現象に襲われる。スマホから不気味な音が鳴り響く。画面には「樹海化警報」と書かれている。友奈達が顔を上げると時間が止まっていた。
と、なんとも不思議というか、不穏な気配。
「私たちが当たりだった」そう言うのは勇者部部長、犬吠埼風。
その後、景色は一転し樹海化する。
まさに樹海。木の根がいたるところに巡らされた神秘的な風景。
勇者部の面々は合流し、勇者部の本当の意味を知ることになる。
なんと、勇者部はただの部活ではなく、この世界の信仰の対象である「神樹」様を管理する組織の「大赦」により勇者適正値の高い少女が集められたグループの中の一つだったのである。その大赦によって派遣されたのが勇者部部長、犬吠埼風だったのである。
ここで勇者部がただの部活ではないことがわかります。
樹海化した世界に謎の生物らしきものが現れる。「バーテックス」。勇者はこの「バーテックス」を倒し「神樹」を守ることがお役目である。
風と樹は、スマホを取り出しとあるアプリを起動し画面に触れる。すると、瞬く間に姿が変わり、勇者装束に身を包む。
さらに、精霊と呼ばれるマスコットのような見た目をした守護神の様なものが現れる。
大剣を手に取り、戦いながら状況を説明する風。姉についていく樹。
簡単には受け入れられない友奈と、東郷。
それもそうである。突然穏やかな日常が一変してしまったのだ。
このシーンでもずっと東郷の隣にいる友奈はまじかっこいい。
そして、次の瞬間。バーテックスが友奈と東郷を襲う。そこで友奈は決断する。「誰かが傷つくくらいなら、私が頑張る!」「私は勇者になる!!」東郷を守るために親仕込みの格闘技の動きで攻撃しながら変身!
ここの変身シーンは本作でも屈指の名シーンです。
そうして、勇者部面々は世界を守るため星座になぞらえられるバーテックスと戦い、神樹を守る役目を決意する。
後日、東郷も友奈のピンチに変身を決意する。それ以降の東郷の活躍は勇者部でも屈指の実力。一撃で敵を倒したり、高速で動く敵を狙撃したり。
さらに後日。勇者部に新たな助っ人が現れる。
大赦から派遣された完成型勇者「三好夏凜」である。彼女はバーテックス襲来より少し遅れて、友奈たち勇者部と合流する。
ついに勇者部全員集合!ちょろい!夏凜は長妻樹里さんが声を当てています。
夏凜は最初、素人同然の勇者部の面々とは相容れなかった。しかし、友奈をはじめとした勇者部のみんなに触れ合っているうちに心から打ち解けられるようになる。
夏凜の誕生日のお祝いのシーンは勇者部のみんなが本当にいい子達なんだなって思わせてくれます。そして、夏凜自身も嫌々ながらもみんなをほっとけなかったり根はとってもいい子なんだろうなってことがよくわかります。
夏凜が合流後、最悪の事態が起こる。バーテックスが一挙に襲撃してきたのである。
それでもみんな諦めずに、夏凜含めて円陣を組み、最終決戦に挑む。
そこで、夏凜を除いたみんなは勇者の切り札「満開」を使う。
最終決戦は無事に勝利し、「満開」という大きな力を使った勇者たちは検査入院をする。
「満開」の力とは勇者たちには満開ゲージというものがあって、勇者の力を使うごとに溜まっていきゲージが溜まると大きな花の紋章が広がり勇者装束が変わり、大きな力を使うことができるというもので、とっても綺麗です。
検査の結果は「満開」をしたものはみな、体のどこからしらに不調が出る。
友奈は味が、東郷は左耳が、風は左目が、樹は声がそれぞれ感覚がなくなってしまうのである。
大赦、及び病院から一時的なものと言われ、バーテックスを全て倒した勇者部には平穏が訪れた。
おぉ、なんとも不穏な雰囲気。身体中に不調が。
しかし、その平穏は長くはつづかなかった。
また樹海が発生したのである。
そして、またもバーテックスを倒すことに成功し、樹海化がいつものように解け、さらに学校の上にある祠のようなものに戻ると思っていた勇者部はいつもとは違う事態に襲われる。
友奈と東郷がいないのである。
むむ。いよいよやばい雰囲気に。
友奈と東郷は別の祠に召喚されていた。
そこには謎の、包帯を巻かれ、病院のベッドようなものに横たわった少女がいた。
彼女の名前は「乃木園子」。先代の勇者だと言う。
東郷を「わっしー」と呼ぶ少女は驚くべきことを口にする。それは、この世界の真実と勇者の本当の意味について。
衝撃的でした。ここまでずーっと不穏な気配はしていましたが、不穏なんてそんな甘っちょろいものじゃなく、勇者とはあたかも生贄であり、世界そのものももうすでに四国以外は決して人間が住めるような場所ではないことが明かされた訳です。ここの絶望感と言ったらありませんでしたね。また、ここで登場した先代の勇者、「乃木園子」も痛々しくてつい、目をそらしたくなるほど。園子は花澤香菜さんが演じているんですが、その儚さが痛々しさをさらに増していました。
さらに、ここで明かされてことで重要なのが「満開」の後遺症についてです。「満開」には必ず「散華」が伴う。つまり、「満開」後の、身体的不調は決して一時的なものではなく、「満開」への代償だったわけです。
「「満開」かっけー!」なんて言ってる場合じゃないことがここでわかります。
さらに、この世界の神世紀に生まれた人間たちは世界のあり方について四国の外は「ウイルス」の蔓延により未曾有の被害を受けたと教育を受けてきたのですが、事実は、人類に怒った「天の神」が遣わした尖兵「バーテックス」により滅ぼされていたのです。
神樹が守る壁の外に出れば真実の姿が現れます。その世界は灼熱の炎に包まれた赤く爛れた大地。そして、無数の星屑と呼ばれるバーテックスの原型。
さて、このあとはまたあらすじで、最後まで駆け抜けます。
真実の世界と、「満開」について知らされた2人は最初に風にその現実を教える。
風はその現実に打ちのめされ、絶望に打ちひしがれる。
それから妹の現状を知った風は大赦を潰そうと突撃し、東郷もいっそのこと世界を終わらせてしまおうと神樹様の加護がある壁を破壊してバーテックスの侵入を手助けする。
しかし、勇者部のメンバーによってそれは阻止され東郷は友奈の一撃により考えを変え、さらに、夏凜の満開や友奈の一撃により今度こそ最後の戦いに勝利し、その勝利によって身体機能が戻る。
東郷は足も含めて回復し、その他のメンバーも身体機能が戻った。
ただし、友奈以外が…。
友奈だけは昏睡状態に陥り、目覚めなかったが、東郷や他のメンバーの声により意識を取り戻す。
そして、物語は幕を閉じる。
と、まあ「結城友奈の章」のキャラクターを中心にした全話のあらすじはこんなもんですかね。
お分かりの通り、この物語はアニメだけでも「結城友奈の章」「鷲尾須美の章」「勇者の章」で構成されています。要はここで物語は終わりません。このハッピーエンドも決して終わりではありません。
キャラクターについて。
園子について。
先程出てきた、先代勇者の園子は東郷のことを「わっしー」と呼んでいましたが、これはもちろん伏線で、東郷はかつて養子として大赦の中でも家柄のある鷲尾という苗字だったんです。ここまできて初見の人でもわかると思いますが、そうです「鷲尾須美」の鷲尾です。つまり、東郷美森=鷲尾須美。東郷美森とは生まれた東郷家の名前で、以前は東郷は「鷲尾須美」という名前だったんです。そして、園子が「わっしー」と言ったのは人違いではなく以前呼んでいたあだ名で呼んだ訳です。なんとも切ない…。
それでは続けて須美、東郷について。
性格は容姿からも滲み出る通り容姿端麗、才色兼備といった感じではあるものの、たまーにみせるトリッキーさがお茶目だったりと目が離せない存在です。
友奈とは自他ともに認める大親友で友奈のことになるとちょっと?やばい人にすらなります(笑
東郷は友奈に会う以前の2年間の記憶がすっぽりと抜け落ちています。それは当時起きた事故によるものだと聞かされていました。足の機能もその時失われたものだと。しかしそれは全くの嘘。実際は「満開」の後遺症で失われたものだったのです。つまり、園子と東郷は同じく先代勇者だったわけです。
そして、さらには記憶を失い、入院した後、東郷は結城友奈の家の隣に引っ越してきます。
これが東郷と友奈の出会い。それすらも偶然ではなく、全国で1番勇者適正値の高い友奈と東郷を大赦が意図的に仕組んだことでもあったわけです。
この大赦の体質はなんとも形容しがたい不満感や不信感が募るばかりです。
戦い方は銃を用いての戦闘で、実力者です。
それもそのはず、勇者部の面々とは違い先代の勇者として戦ってきたのですから。この強さにも切なさや意味が垣間見れます。
東郷としての最初の戦いのとき変身できなかった姿は視聴時は分からなかったですけれど、後から鷲尾須美の章を見た後だと身体が拒絶してたんだろうなと辛い気持ちになります。
友奈について。
友奈は根っから明るい子でまさに主人公といった感じ。勇者部の中で最初に出会ったのは東郷。讃州中学に入学後、部活を決める際に風と出会い東郷とともに勇者部に入部し平穏な日常を過ごしていました。まぁ、その東郷との出会いと勇者部入部も大赦により仕組まれていたと一蹴してしまうとそこには運命力はあまり感じられませんが、東郷はもちろんのこと、風ともとってもいい関係をバーテックス襲来以前から築けていましたところをみれば間違いなく運命と言えるでしょう。
誰にでも分け隔てなく接する姿はまさに勇者。
ただ、分け隔てないだけに少々人たらし的なところもあって、夏凜もほとんどほだされる感じでしたね(笑
戦闘では親譲りの格闘技を使って戦います。
「勇者パンチ」はちょっぴりダサい名前ですけど、今となっては輝いて見えます(笑
勇者部の中で唯一籠手はつけているものの素手で戦います。
身体能力は高いようだけど頭脳の方はどうなんでしょうね!天然なのは間違いない!
風について。
包容力半端ないです。「女子力」が口癖系のキャラクターって実際なかったりしますけど、そんなことはありません女子力半端ないです!てか、もはや母力です。
妹の樹を溺愛していて、何をしていても褒めまくりますね!妹のことだけじゃなく勇者部のメンバーも唯一の3年生として愛しています。
あとお決まりの「告白ネタ」があります!くどい!(笑
はっきりとは描写されていないと思いますが、風はみんなを愛しているが故に自責を感じてしまい、つい、自分を責めてしまうことも多いようです。
そして、意外と忘れられがちなのが風が戦う理由。
風は樹とともに2人暮らしをしています。おそらく大赦の恩恵は少なからずあって暮らしていけているのだと思います。
なぜ2人暮らしかというと、両親が亡くなったから。風と樹の両親は大赦の職員でバーテックスの影響により被害が現実世界に出た際に巻き込まれて亡くなっています。その被害が出るきっかけになった戦いも意味があるかも。
だから、風はバーテックスに復讐するために戦うことを決意したのです。
それでも、根がとてもいい子であるだけに友奈たちや他のみんなを巻き込んでしまったことに自責を感じ、「満開」の真実を告げられ、樹の夢が断たれてしまったことに怒りを感じ、大赦を潰すとして行動したわけです。その後もずっと一歩引いてみてみると実はこの場面でも責任を感じていたんじゃないかと思えてきたりもして、見方がまた少し変わってきますね。
樹について。
樹はずっと自分に自信がなくて、姉の風の後ろに隠れていることが多く、勇者部の友奈たちとの出会いも大きな成長につながっています。
エピソードの中でも歌に自信がなくてみんなの前では歌えなかったりと、ぐいぐいいろんな意味で引っ張っていってくれる勇者部のみんなと比べるとやや内気な女の子でした。
でも、誰よりもみんなの事を大切に思っていて、誰よりも心が強くて、誰よりも心が弱い。そんなみんなの妹です。
風が大赦から派遣されていたことは知らずにいて、最初は驚いたようですが、お姉ちゃんと一緒ならと言って、誰よりも早く風について行く姿は姉妹の信頼関係を表していましたね。
普段の生活は姉に甘えきって、朝も弱い子ですが、そんな子でもなお、甘やかしたくなるようなそんな可愛さの持ち主です。
本作でも屈指の成長を見せるキャラクターで、作品の俯瞰的視点からみて、キャラメイキング的な意味でも清涼剤でした。
夏凜について。
夏凜は当初勇者部ではなく大赦の人間として派遣されてきました。そして、正式な訓練を受けた勇者としてプライドも高く最初は「トーシロ」(素人)な勇者部とも相容れずにいたという点が最大の他のメンバーとの違いですね。
ただ、元々夏凜は勇者に選ばれるだけあってとっても優しい子で、周りをほっとけないというのが登場してすぐにわかりましたね。
クライマックス間近での連続の「満開」は涙なしには語れないですよね。
あとちょろい!ですね。
勇者について。
勇者とはその一般的イメージとは違い本質的にはいけにえでした。
そもそも、なぜ勇者が必要になったか?
それは、西暦の時代に遡ります。
西暦2015年。人類そのものが天の神の怒りをかい、突如として謎の「星屑」という生命体が人類を蹂躙します。そこで、天の神の尖兵である「星屑」を倒すため、対抗するために地の神は人類に力を与えます。その力を与えられた無垢な少女が当時小学生の乃木若葉たち初代勇者。細かい話は「乃木若葉は勇者である」にて。
そらから数年、元号は神世紀になりさらに300年の月日が流れ、乃木園子や鷲尾須美の時代を経て、勇者のバトンは結城友奈たち讃州中学勇者部に受け継がれました。
勇者は表向きには300年の月日がながれるなかで、隠蔽されてきました。それは月日が流れてしまった理由もありますが大きいのはやはり大赦の隠蔽体質。それまでに亡くなった勇者の数をみれば月日以上に人為的介入があったことは明白です。
ですが、どうでしょう。
こういったアニメを見ている時に出会う命題があります「大多数の人間を救うために少々の犠牲は仕方がない」という考え方。これははたして間違っているのでしょうか?
私にもわかりませんし、容易には結論は出ないでしょう。
ただ、それが絶対悪かどうかと言われたらきっぱりとそうだとは言えないのは確かです。
それが大赦の考えな訳です。
大多数の人間を救うために勇者として選ばれた無垢な少女は犠牲になってきたわけです。
もし、それを否定しようものなら今までの犠牲すらも否定しなければなりません。
それが出来ますか?
私には出来ません。
そして、情報の規制についても生きている人々にわざわざ不安を煽る必要があるのでしょうか。
これこそが大赦が秘匿として守ってきた理由なんです。
その狭間に立たされた印象的なキャラクターが安芸先生ですが、これは鷲尾須美の章で語りましょう。
この辺で、残りは他の章や他のタイトル、総括時に記述しましょう。