④「鷲尾須美は勇者である」 ネタバレあり編 | 好きなこと、好きなもの、自分の言葉で〜MY worLd〜

好きなこと、好きなもの、自分の言葉で〜MY worLd〜

どーも卓です。(名前考え中)
是非読者登録、質問など!励みになります。
基本趣味。
卓球。おされ的ななにか。アニメ。
画像の削除依頼随時受付中。是非コメント欄にてご一報ください。

さて、今回は「結城友奈は勇者である 鷲尾須美の章」、「鷲尾須美は勇者である」について書いていきたいと思います。

 

では、あらすじから。

 

これは、3人の勇者の物語。

 

香川県大橋市にある小学校。神樹館。そこは、神樹信仰にも力を入れた由緒正しい学校である。

そこに通う勇者の御役目を与えられることになっている3人がいた。

 

物語は友奈達が讃州中学に入学する前の話!

 

 優等生である鷲尾須美はいつも通り挨拶をして教室に入る。すると、隣の席で寝息を立てる同級生がいた。乃木園子だ。

それを気にしつつも後にし、授業の始まる前のいわゆる朝の会を待つ。

教室に担任の先生の安芸先生が入ってくる。いよいよ始まる。

すると、先生より遅れて少女が入ってくる。三ノ輪銀だ。

そうして朝の会が始まる。日直の須美が号令をかけて1日が始まった。

 

この3人がこの物語の中心。つまり、勇者になる少女達。

 

 いつも通りの日常を過ごすと思いきや物語は大きく動く。樹海化である。友奈達の時とは違い樹海化警報はない。大橋の鈴が役目を知らせる。須美達にしてみれば、突然時間が止まったのである。

 このとき須美たちの日常は終わりを告げた。

事前に役目を知らされていた3人はいよいよ来たかと、意気込む。

友奈のときと同じく幻想的な樹海が広がる。

 そしてバーテックスから、神樹様、すなわち人類を守るため端末を携え祝詞を唱えて変身する。

 

友奈たちとは違い事前に役目について知らされていたため心構えの点でスムーズさが伺えます。

とはいえ、3人の信頼関係は非常に薄く連携がうまくいかない点も友奈たちとは違うといえますね。

 

 バーテックスを追い返すことに成功し、鎮花の儀が起きる。不器用ながら初戦を傷だらけになりながらも辛勝し、人間関係も変わっていく。

 

後日、教室に戻ってから銀が友人に囲まれているところを見ると人望の厚さが伺えますね。

 

 それから、小学生らしい日常を送りながらも、訓練や厳しい困難に立ち向かい友情を育む。

 そんな中、辛い出来事が起きる。

  三ノ輪銀が落命する。

 

堪え難い辛さ。見ていられませんでした。こんな事を言うと身も蓋もないですけれど、銀の落命には今後の物語を左右する重要な意味も込められていました。

 

 精神的支柱でもある銀を失った穴はとても大きい。しかし、それでもお役目は終わらない。

無慈悲なまでに当たり前のようにバーテックスは進行してくる。

 銀の葬儀の際、バーテックスが進行してきて樹海化が始まります。銀のたましいを受け継いだ須美と園子は奮闘する。

 さらに、銀の落命により勇者システムのアップデートが執り行われる旨が大赦の職員でもある安芸先生に伝えられる。「精霊」と「満開」の実装である。

 

そのときの戦い方はい痛々しくて見て入られませんでした。

 

 そして、ついに後に「大橋の戦い」と呼ばれる鷲尾須美の章では最後の戦いが訪れる。

結果は散々なものだった。

満開の影響で両脚の機能と記憶の一部を失う須美。

戦えなくなった須美の代わりに世界を救うために満開を繰り替えす園子。

被害は2人のみに留まらず現実世界にも影響が出て、死亡する人も出てしまった。

 それから、時は進み鷲尾須美は東郷美森になり、友奈と出会い、物語は一区切りする。

 

と、あらすじはこんな感じ。

思い返すだけで辛い気持ちになると言えます。

 

勇者システムについて。

この時代の勇者システムには精霊のバリアがついていません。そのため生傷が絶えないと言うのも友奈たちとの時代との大きな違いです。さらに、満開についても、恐らくこの時代にも構想段階では精霊と同様、存在していたはずですが銀の落命時には実装されておらず、銀の落命によって実装が実現したのです。つまり、銀の落命は友奈たちの時代の勇者をバーテックスの攻撃や天の神の呪いから守ったのです。

 

大赦について。

大赦の隠蔽体質は基本的には変わりません。須美たちにも、バーテックスが天の神の尖兵だとは知らされていないし、これだけの、須美たちという前例があったのにも関わらず友奈たちには知らされず、東郷の記憶の欠如についても利用したのです。再度、勇者として戦わせる事を想定して友奈の家の近くに引っ越しさせるなども含めて。

 

勇者の選ばれ方について。

友奈たちの時代との違いは家柄も重視されていると言う事です。友奈たちの時代は四国中から勇者適正値の高い少女が選ばれていましたが、東郷が鷲尾家の養子になっている事や、園子が乃木家という大赦の中でもトップの家出身である事、銀の三ノ輪家も乃木家ほどではないにしろ家柄としては大赦の中で高い位置にある事からもわかります。

そもそも神樹館小学校も神樹信仰に厚い学校でもあり、この点からみても、大赦は勇者というものについても神聖さを保とうとしていることが伺えます。

 

園子について。

園子はとても大赦の中で地位の高い乃木家の人間です。一見天然で抜けている子に見えますが、ある意味ではそれは間違っていないとも言えますが、色々な事に気づくのが早く、ひらめきや直感もするどいです。様々な才能も合わせ持っていて、突飛な発想は周囲の人間を度々驚かせます。小説の方で描写されていますが、両親からもその本質を認められているようです。

園子はそのキャラから友達が決して多くなく須美や銀との出会いも園子の人生の中では大きな出来事であったと思います。

 

須美について。

東郷家に生まれた須美は鷲尾家の養子ですが、鷲尾家の両親にも愛されていた描写があり、アニメでは勇者部のメンバーの中で養子とはいえ、唯一家族との関係がうかがえます。性格としては護国思想に燃えるお堅い性格で、銀や園子のことを最初は不真面目にも見える言動から厳しい目でみていました。園子と同じく、その性格から友人は少なく銀や園子との出会いは大きな出来事だったように思えます。

 

銀について。

銀は男女ともに人望は厚く友人も多く、「勇者は気合と根性」このセリフは須美と銀の心の支えになる「たましい」でした。いや、です。トラブル体質でトラブルに巻き込まれることも多々ありますが、決して人のせいにもせず、ほっとくこともできない姿はまさに勇者です。家族との関係もとても深く愛し愛されていたところが随所に伺えますね。

アニメでは4話である「たましい」で落命してしまうシーンはこの作品屈指の名シーンで、とってもとっても辛いシーンです。守るべきものが多すぎた銀が死んでしまう。字面だけでみても心が震えます。日常シーンから始まる4話は前半こそ幸せが見えますが、後半になり遠足の帰りに訪れるバーテックスは、3体も同時に現れるという絶望的状況。天の神という存在が憎くて憎くて仕方ないというのが正直な感想です。精霊バリアがあれば…。とかどうにかして生きている未来はなかったのかを想像せざるを得ません。

「またね」このセリフは何度聞いても行かないで欲しいと心の中で叫ばずには入られません。

葬式のシーンではこの世界の倫理観が伺えます。神樹信仰が行き届いているこの世界ではお役目により落命することは一種の名誉であるということがわかります。大人たちが「英霊になられた」という風に言います。しかし、銀の弟は悲痛な叫びを響かせます。その言葉こそが本来人間が感じるべき感情なのです。

いくら、形式上名誉なことであろうと、子どもたちが死ぬことに対して正当化してはならないのです。銀は自分の判断でみんなを救うため戦い、最後まで帰ることを決意したまま落命しました、それは間違ってはいません。しかし、本来責任を持つべき大人が、そうでなくても他の全ての人がそれを正当化してはならないのです。そんなことが許されてはならないのです。

バーテックスを追い返し、睨んだまま死んでいった銀の後ろ姿は一生忘れないでしょう。

 

安芸先生について。

本作で勇者以外で重要なキャラクターである安芸先生。勇者のお目付け役でありながら、巫女の力を持ったキャラクターです。先生として3人をみていた安芸先生は勇者というお役目に貼り付ける大赦の人間としての立場と生徒を愛する先生としての立場の両方に挟まれたキャラクターです。その葛藤は勇者たちたとはまた違ったやるせなさがあったでしょう。戦えず、力になれず、死なせたくなく、世界を滅ぼすわけにもいかない。本当のことを知っていても話せない。責められるべきことも大赦の人間として多いでしょうが、責めきれない存在と言えるのもまた、確かです。本来、大人の誰もが感じるべき葛藤を抱えていたことは疑う余地もないと思います。

 

鷲尾須美の章について。

最初バラバラだった3人が力を合わせて困難に立ち向かう。本作の世界観を理解する上でも重要な章であったと言える。銀という大きな犠牲が友奈たちの時代に影響を与えた。友奈たちの時代への橋渡しとしても重要な展開であった。このようにあげられる物語としての「勇者であるシリーズ」での重要さも計り知れないと言えるでしょう。

 

では次回。