私は大学生のとき、友人たちと一緒に旅行に行きました。目的地は山奥にある古い旅館でした。その旅館はネットで見つけたのですが、とても安くて、温泉も露天風呂もあるということで、即決しました。

旅館に着いたとき少し驚きました。旅館はとても古く、周りには何もなくて人気もなさそうでした。でも、旅館の方はとても親切で、部屋も広く、温泉もきれいでした。私たちは旅館の方に感謝しながら、部屋に荷物を置いて、移動で疲れたこともあり早速温泉に入りました。



温泉に入っているとき、旅館のことについて話しました。旅館の人によると、この旅館は昔からある歴史ある旅館で、昔は有名な人も泊まったことがあるということでした。でも、最近は客が少なくて、閉館の危機にあるということでした。それを聞いて、残念に思いました。この旅館はとてもいいのに、もったいないと思いました。

そんなことやどうでもいい話を一通り話したら温泉から上がって、部屋に戻りました。部屋にはテレビもなくやることも特になかったのでそれぞれくつろいでいると、怪談好きの友人の一人が、そういえばこの旅館にまつわる怪談を知っているんだと話し始めました。

友人が言うには、この旅館で宿泊すると金縛りにあうことがあるとのことです。金縛りにかかった客は、目は覚めているのに動けなくなり、人間のようで人間でない、黒い影のようなものが枕元に現れるのだということでした。黒い影は金縛りにかかった客に何かをささやくということでした。でも、そのささやきは誰にも聞き取れないということでした。黒い影はささやきを終えると、客の首に噛みつき、噛みつかれた客は、血を吸われたかのように干からびて死んでしまうということでした。

友人はその怪談をネットで見つけたと言いました。ネットには、この旅館で金縛りにあって死んだ客の話が書かれていたと言いました。私たちはその話を信じられませんでした。でも、友人はネットの話は嘘ではないと言いました。友人はその話の証拠を見せてくれました。友人はスマホを出して、ネットの記事を見せてくれました。その記事には、この旅館で金縛りにあって死んだ客の写真が載っていました。その写真には、首に噛み跡のある客の死体が写っていました。しかもその死体は、私たちが泊まっている部屋のベッドの上に横たわっていました。

私たちはその写真を見て、絶叫しました。私たちはその部屋から逃げ出そうとしました。でも、そのとき、部屋の空気が変わったのとほぼ同時に、部屋のドアがバタンと閉まりました。私たちはドアに駆け寄って、開けようとしましたが、ドアは開きませんでした。私たちはドアを叩いて、助けを呼びましたが誰も来ませんでした。


次第に私たちはパニックになり、窓に駆け寄って外に飛び出そうとしました。でも窓も固く閉ざされて開きませんでした。私たちはそばにあったポットで窓を割ろうとしましたが、それでも窓は割れませんでした。私たちは絶望しました。

私たちはベッドに戻って、お互いに抱き合い涙を流しながら泣きました。私たちは死ぬのだと思いました。私たちは黒い影に殺されるのだと思いました。私たちは黒い影を見まいと目を閉じ、ひたすらお経を唱えていました。


すると何かを思い出したように友人が自分のカバンのところに走って行き、カバンの中を探りました。

あった!と叫んで取り出したのは塩と日本酒でした。


ネットでこの怪談を見つけたから万が一の時に備えて塩と日本酒を持ってきていたとのことでした。

急いで部屋中に塩と日本酒を撒いてお経を唱え続けていると、不思議と部屋の嫌な雰囲気がなくなりました。

そこで私は試しに部屋のドアをもう一度開けに行ったら今までびくともしなかったドアが、嘘のように簡単に開きました。


私たちは急いで部屋から飛び出してロビーへと走っていき、旅館の方にことの顛末を話しました。


旅館の方曰く、確かに以前に部屋で不可解な死を遂げることが何度かあり、これは何かおかしいということで有名な霊媒師の方にお祓いをお願いして、それからはそういったことが起こらなくなったので再び客室として利用を再開したということでした。


さらに聞いた話によるとこの旅館は元々精神病院だったらしく、ある時、患者の1人が自分は吸血鬼だと錯乱し、周囲の人の首を噛みちぎり、何人もの死傷者が出たとういう凄惨な事件があったそうだ。


この話を聞いて、私たちが見た黒い影は、この錯乱して人々を襲った元患者の霊が今でもこの旅館に出ているのではないかとゾッとしました。


もう部屋で泊まる気にはなれなかったし、旅館側もお代は結構ですと言ってくれたので、私たちは荷物だけ急いで取りに戻り、旅館を後にすることにしました。


もちろん荷物をとっている間、部屋のドアを1人が閉まらないように必死に抑えていたのはいうまでもありません。。。