妊娠中に癌が判明した母は
出産=余命宣告を受け入れてしまいました。
抗がん剤治療もできないため、
日々祈ることしかできませんでした。
35才の母は進行が早く
徐々に痛みや倦怠感がでるようになりました。
大きくなるお腹と比例するように
痩せ細っていく母が痛々しく
強い母が弱々しくなっていくのが
見ていて辛いのと
幼い弟の面倒や学校など
私の足は次第に病室から遠のいていきました。
母に心底惚れ込んでいた父は
人が変わったようになりました。
毎晩のように飲みに歩き、
仕事も休みがちになりました。
ある日母が病室に来た父に対し、
「私がこんなに苦しんでいるのに
あんたはキレイに着飾って
毎晩どこほっつき歩いてるんだ」
と弱々しくも怒っていました。
そしてそんな状況の中
帝王切開で妹が産まれました。